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第二章☆サーファイヤーの心の中

第一部☆土星の武器商人 第二章☆サーファイヤーの心の中

祭壇に祈りを捧げるロカワ氏を、サーファイヤーはぼんやり後ろに立って見ていた。

「この教会の信者なの?」

「いいや」

「じゃあなぜお布施までしてお祈りしたの?」

ロカワ氏はこの問いに片方の口の端をあげて笑って見せた。

「じいさんからの遺言で、ありとあらゆる神に覚えを良くしておけって言われてるんだ」

「なにか良いことあるの?」

「あったさ。戦争の時に以前お布施していた記録が残っていた教会に匿われて命拾いもしたんだぞ」

「へええ」

「お前は信仰は?」

「私は神様を信じないの」

「なぜ?」

「一度夢に一人の青年が現れて私の心を離さないの。彼は老若男女のいずれでもあって、いずれでもなく、超越した存在だったわ。でも神様じゃないの。私の一生涯のうちにきっと目の前に現れる」

「それは運命の人ってことか?」

サーファイヤーは首を横に振った。

「お前にもお前だけの世界があるんだなぁ」

「そうね」

ロカワ氏はサーファイヤーの髪に触れて、ちょっとだけ楽しむと、教会を後にした。

「カジノに連れていってもつまんなそうだし、どこへ行ってみたい?」

「世界の果て」

「そこにはなんにもないぞ」

「だから良いのよ」

「かもしれんな」

ロカワ氏は笑った。

サーファイヤーは豪華な食事には目もくれず、レストランの庭で飼われている鳥ばかり見て楽しんでいた。

「生き物が好きか?」

「ええ。特に鳥が大好きよ」

「鳥、ねぇ」

ロカワ氏は何とかしてサーファイヤーの心を掴みたかったが、難しそうだった。


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