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第2話[ 喫茶店ユウゲン ]

〜有也サイド〜


有也「……はぁ」


甘ったるいコーヒーの匂いが充満する部屋で

俺は軽いため息を吐く、目の前には高く積まれた書類、これをどう処理するか、俺は頭を悩ませ、まず何をどう手を付けるのかすらも分からずに居た、俺は数秒ほど腕を組み頭を悩ませた結果、とりまここの店番をしているアイツらを茶化しに行くことに決めた


だがここは4階、経営している喫茶店は1階

どうにも歩くのがめんどくさい()

誰か俺の事おんぶしてくれねぇかな、なんて思いながら立ち上がり、そして足を動かした


────────────────────


"喫茶店ユウゲン"

それは、東京の隅の隅にある、小さな喫茶店

隅の隅にあり過ぎてあまり人は来ないが、それでもたまに来てくれるリピーターの方や、新規のお客さんとの会話に、俺たちは花を咲かせ、ミルクが仄かに香る紅茶などを提供している


だが、ここのヤツらは全員異能……つまりカルマを持っている、そのせいで、ここ喫茶店ユウゲンには、ルールと言うか鉄則がある


まず1つ目

①物を壊さない

まぁ常識だけど、それが出来ない奴がめっちゃ居るんだよなぁ(テーブルや椅子などの備品をぶっ壊されたり)


そして2つ目

②カルマを使わない

これも常識、カルマなんて人殺しの証なのに

それをここで使われちゃお終いだ、ただでさえ来ない客人がもっと来なくなってしまうし

下手すれば俺の喫茶店経営人生が終わる


そして最後

③接客は笑顔で

これは、俺が皆には笑って接客して欲しいと言う半ば願望のようなモノで作った、まぁ今の時代笑顔の強要はパワハラだとか言われそうだが、それでも笑顔でいて欲しいのは事実


以上上記

①物を壊さない

②異能を使わない

③接客は笑顔で

これがここのルールだ、たまに①や②を破られるが、まぁ③は破らずみんな守ってくれてるから、良しと諦めて俺は判断している


有也「……っと、1階か」


そうこうしているうちに俺は階段を下りきり

1階へと着く、アイツらちゃんと仕事してるかな……なんて思いながら、俺は「よぉ、大丈夫そうか?」と店番してるヤツらに向かって声をかける


?「あ?んだ有也かよ」

有也「なんだとはなんだよ……カイ……」

??「あ、有也じゃん」

有也「星螺セイラか、よっす」


どうやら、今日の店番は星螺と魁のよう

俺はもう一度軽い挨拶を交わし、カウンター内へと入り、少しコイツらと雑談をする


星螺「相変わらず人来ないね、ここ」

有也「わかってることを言わないでくれ…」

魁「なんでこんな所に建てたんだよ」

有也「いやぁ……ミスったよな」


魁にここに人が来ない理由の核心を突かれたような発言をされ、俺はぐうの音も出ず、ただ「そうだなぁ……」なんて中身の内容な言葉を返した、今は午後1時半、もう殆どの会社員の昼休憩は終わっただろう、ここから人が来るのは絶望的かなぁ、なんて考え、俺はスマホを取りだしネットニュースを広げる


魁「何見てんだよスマホ」

有也「俺店番じゃないからセーフセーフ」

星螺「マジで何しに来たんだよ」


なんて会話を繰り広げながら、俺はスマホの画面をスクロールする、相変わらず出てくるのはカルマを利用した犯罪が増加傾向にあると言うニュースだ


魁「カルマ関連の事件なぁ」

星螺「私たちじゃないけどね」


星螺と魁が後ろから俺のスマホを覗き見る

物騒な世の中だなぁ、こんな世界怖いったらありゃしねぇぜ、なんて考えるが、隣の2人もカルマ持ってんだったと何故か変に冷静になり、俺はスマホをピッと閉じる


有也「んじゃ、邪魔したな」

星螺「マジで冷やかしに来ただけなんかい」

有也「だって手伝う事もねぇだろ?」

星螺「無いね」


悲しいことにここ人こないから手伝うことなんか無いんだよなぁ……そんな店長ながらにして抱く感情をしまい込み、俺は「じゃあ、俺は仕事してくる」と二人に告げ、俺は4階の自室へと戻っていく


────────────────────


4階へと上がる途中、2階から声が聞こえる

俺は2階を覗き込み、「何してんだぁお前ら」と問うが、返事は無い、どうやら何かに熱中しているようだ、俺は階段をあがりながら、「何してんだお前ら〜?」ともう一度聞くと

「有兄〜!!!!!!」とか「はよ来い!」なんて言う言葉が俺に飛んでくる、俺は不思議に思いながらも「今行く!」と返事をし、階段を早歩きで登る


そして2階へ到着すると

何やらキッチンを囲んでなにかしているよう

「何してんだ?」と声をかけると、皆口々に「出たんだよ!」と叫ぶ


有也「あ?なにがよ」

??「ゴキ……ゴキ……!」

有也「ゴキ?」


すると突然、目の前になにかが現れる

それは黒光りしていて、なにか触覚が生えていて、カサカサという音を立ててそうな……


有也「……ゑ?」

??「ゴキブリが……!!!!」


有也「ゑ?」


俺の脳みそに混乱と混乱が重なる

どうにかして俺は理性を保とうとし、脳みその無理やり混乱を止め、情報を演算する状態へと移行する


だが、俺の脳みその演算は鮮明になるにつれ

意識を手放して行った……


??「ヤバい有兄が!誰か!棺桶!」

??「おっしゃ任せろ霊柩車で突撃したる」

??「天樂テンガク愁水シュウスイはちょっと黙ってて?」

澪音「ゴキブリにそんな驚くとはな」

愁水「澪音平気なら退治してよ」

澪音「タナトスをゴキブリ退治に活用したくないし……気持ち悪いじゃん……」

愁水「ゴキジェットで良いでしょ」


目の前がクラクラする……

俺は俺の意識が飛ぶ前に、皆に「退治よろしくな…」と一言告げ、俺は4階の自室へと再度足を運んだ


はぁ……ゴキブリのせいで集中できなさそ…

そんなことを考えながら、俺は階段を上がって行った

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