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第109話 父親として・・・・


〇富士山山頂  火口付近




由利さんに埋め込まれた魔族の肉腫を無力化するため、竜の呪いを肉腫に掛けるというオロチの提案を聞いて・・・


「由利と言ったか・・・竜族の呪いは強力だ放置すれば進行してやがては、人間の血にも伝染する・・・一年・・・いや半年・・もって半年だ」


オロチは俺に向き直ると


「主様、それまでに・・・」


「あぁ・・・解ってるそれまでに必ずあの魔族を・・・ザビーネを仕留める!!」


「・・・・それと主様先ほどご自分に出来る事は何でもと仰られていました・・是非ともお願いしたき義が御座います」


オロチは背後に控えていた紅の背中を押して俺の前に立たせると




「どうか娘を奥方様方の末席にお加えください」





「・・・・・?・・・・ええええええ!!!」


突然の事に一瞬思考が止まり間抜けな声を上げる


「待て待て待て!!俺は30歳手前のオッサンだぞ!?」


「ご心配には及びません、娘は今年で40歳になります」


「・・・・はぇ・・・いや、それに俺は人間で竜族とその・・・繁殖は・・・」


「!?っ・・・・」


急に紅が顔を赤くして俯てしまう


「その点は、ご心配に及びません主様からは私よりもさらに高ランクの希少金属を感じます、竜族の雌は自分と同等かそれ以上のランクの金属血液を持つ者を番とします。ですので主様であればなんら問題は御座いません」


(やはり・・俺にはドラゴンロードの身体的特徴が・・・血液はスタープラチナで出来てるのか・・・)


「さぁ紅、主様にご挨拶を」


「・・こ・・この度は・・主様の奥方衆の・・末席にお加え頂き・・・有難く存じます・・どうかこの紅の事も末永く御傍に・・」


「お、おいオロチ、紅の・・・娘の意志を無視するような・・・「主様・・此度の事は私から父上に願い出た事で御座います」・・・え?」


オロチも紅にならって俺に頭を下げる


「私も父親です、それが一番大事でそれが私の生きる意味・・・そう主様が教えてくれました・・1000年以上生きて来て誰かに生き方を教わったのは、初めての経験で御座いました」


「娘の事・・・よろしくお頼み申し上げます」




オロチは俺に頭を下げると由利さんの前に立ち自分の親指を噛み青紫色の血を滲ます・・・


「では始めるぞ・・・・奥方達は宝剣による封印のご準備を・・・」


オロチは親指から滲み出る血を見つめブツブツと何やら唱え出す・・・周囲の空気に黒い灰の様な物が混じり焦げ臭いにおいが充満する


「呪」


オロチは親指の青紫の血を由利さんの胸に埋め込まれた黒い肉腫に押し付ける


「くっ・・・胸が・・・・」


由利さんの胸の肉腫・・・黒い黒子が真っ赤に変色する・・・


「今です!!奥方様!!」


「おんかかか・・・・そわか・・・ばさら・・・だんかん・・・・封印!!」


布津御霊が激しく輝きオロチに向って白い糸が伸び纏わりつく・・・・糸はオロチを包み込むと繭となる・・・


「父上ぇぇぇ!!」


「主様・・・ご武運を・・・紅・・・良い子を・・・産めよ」



・・・・・・繭は黒く変色し・・・岩となった・・・・




「由利の肉腫が!?・・・消えた」



俺は岩になったオロチをそっと撫でる・・・・


「オロチ・・・お前も必ず助けるから・・・少しだけ待っていてくれ・・・」





俺はオロチの岩にそう誓い振り返る






「皆・・・帰ろう、待ってくれてる人達の元へ・・・・・」





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