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第106話 渾身の一撃

〇富士山山頂  火口付近



狭間の世界でもう一人の龍道 進が何か言っていたが良く聞き取れないまま・・・・



「!?」



「進!?」「すすむん!!」


光の壁の向うで五月と雫が心配そうに壁を叩いて俺の名を叫んでいる


「!?五月、雫?・・・・って結界の中!?」


そうだ、俺は由利さんによって張られた晴明の宝珠を使った結界に閉じ込められた状態だったんだ・・・


「くっっ・・・この結界を何とか出来れば・・・」


そう俺が結界に触れた瞬間


《賢者スキルを使用して結界魔法の解除が可能です、使用しますか?》


「なっ!?解除?解除できるのか!?」


「か、解除する!!解除だ!!」


《結界魔法を解除しました》


パリッン!!


頭の中にシステムの声が聞こえたと思ったとたん俺の周囲を覆っていたドーム型の結界が脆いガラス細工の様に砕け散った


「結界が!?進!?」「すすむん!!急いでぇオロチが!!」


「!?しまった!!」


急ぎザビーネとオロチの元に駆けよる俺に気付いたザビ―ネが此方を振り返る


「あら?あの結界を破るなんて、どんな手品を使ったのかしらぁ~?でも少し待ってもらえるかしら・・・」


【ヴィーダ・ネル・ウル・ダルド(偉大なる我の主命に従い対象を破砕せよ】


此方に手を翳し爆裂の闇魔法を撃ってくるザビーネ


「聖騎士スキル!!!アイギスの盾ぇぇ!!」


俺は両手を前に突き出しスキルを使用すると目の前に青白く輝く半透明の大盾が現れる


ドドドドドォォォ


盾に爆裂魔法が着弾するが、盾は全てを弾き飛ばす


「忍者スキル!!イベントリー!!出ろ!!木の棒」「呪術師スキル!!エンチャットォォォ!!」


俺は右手で空中に空間を出現させ中から飛び出した、モップの柄である木の棒を掴んで木の棒に俺の魔力を注ぎ込む


「!?なっ!!」


ザビーネは爆煙の中から飛び上がって、木の棒を振りかぶりながら突っ込んで来る俺の姿に驚いて戸惑っている


「喰らえェェェェ!!神龍の渾身撃ぃぃぃ!!」


「くっっっ!!!」


咄嗟に右腕でガードするザビーネ・・・・・バグィィ!!!


振りかぶった木の棒は富士山の火口の半分の地面を切り割いた・・・・地面は割けマグマが噴き出す


「!?上か!!」


吹き出すマグマに構う事無く上空を見上げると・・・・


「ぐぅぅぅぅっ・・・この私の身体にぃぃしかも・・・治癒が・・・効かない・・」


翼を広げて羽ばたいて上空へ回避したザビーネの右腕は肩から脇腹にかけて削り取られた様に抉れて見るも無残な姿になっていた・・・


「降りて来い!!ザビーネぇぇ!!決着をつけてやる!!」


「ふっざけんじゃねぇ――――!!私の芸術品の様な身体をこんなズタズタにしやがって!!」


ザビーネの表情からは余裕は無くなっていて、俺の事を憎悪に満ちた目で睨んでいる


「許さない、許さない、許さない!!!・・・後悔するがいい・・・」


ザビーネが由利の方に手を翳し・・・何やら呟く・・



「!?まっまてぇ!!それは!!」


その瞬間、由利さんが胸を押さえ苦しみ出す


「がぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


「由利さん!」


俺は由利さんの元に向って走り出す・・・・その時、由利さんの近くに布津御霊が投げ込まれ地面に突き刺さる


「我求めるは神の輝きに守られし楽園、安寧の柱と寛美の壁、慈恩の屋根に祈りの聖域を得たり、サンクチュアリ」


五月が投げ込んだ布津御霊に目がけ雫が聖域結界呪文を打ち込む


雫の放ったサンクチュアリが着弾した布津御霊は白く輝き地面に魔法陣が生成される・・・・


「なっ!?私の魔素が遮断さっれた!?くっ・・・聖域結界か!!」



「風神級長津比売にかしこみかしこみ申す・・・導たもう、我が名は龍道 五月なり・・・・神風ナツヒメ!」


「今よ進!!」


背後から五月の風魔法が俺に付与され足元に小さな竜巻が発生する


「うぉぉぉぉぉ!!エンチャット!いっけぇぇぇぇ」


木の棒に魔力を付与し、思いっきり地面を蹴り飛び上がる



「神龍の渾身一撃!!」




【ゼル・ウルベリア・メギド・ネシア(魔道の王命にて黒星雲の滾りを黒き雷の槍とし化し彼の地を焦土せん)】




何処からか聞こえてきた闇魔法の詠唱と共に黒い雷が進に向って降り注いだ・・・・


















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