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第78話 ヒロイン達の両親と顔合わせ

〇笹本リゾートホテル フロントロビー



俺は今笹本ホテルのロビーの談話テーブルは挟んでハンター協会の総支部長 犬飼会長に今までの経緯とこの静岡に来てから起こった事を説明していた


「僕はこの町に来てまだ日も浅いですが、色んな人に出会い・・・そして別れました・・俺は自分に何が出来るか・・いや・・出来る事は全力でやりたいんです・・」


「・・・・・・・・」


「そして今俺のやりたい事は、この町の人を・・家族を友人を・・皆の日常を守る事です」


「なるほど・・・君の覚悟と思いは理解した・・・・ああ、そろそろ来たみたいだ・・・」


「え?」


犬飼会長がそう呟くと、ホテルの正面玄関に十数台に及ぶ大型バスが到着する、カラス張りから見ていると物々しい武装した集団がゾロゾロと降りてくる


中には支部で見かけた事のある顔も・・・・


「犬飼会長・・・これは・・・」


源蔵に状況を聞こうと思って居たところ


「犬飼会長、こちらにいらっしゃいましたか!」


「あ、あなたは五月の!?」


そこに現れたのは五月の父親の鳥居 傑さんとお母さんの美月さん、支部で戦った事のある十文字さん、それと雫の母親の雪菜さんと見たことのない男性が犬飼会長に頭を下げ挨拶していた


「小五郎・・・お前まで来て良かったのか?・・・総司が良く許したな」


「ははは、いやぁ~それが逆に義父さんから電話で僕にも行くように言われまして」


「・・・どういう風の吹き回しだ?総司が儂に・・協会に積極的に協力するとは・・・」


小五郎と呼ばれた男性は見た目も優しそうな人で目を細めて照れ笑いしながら後頭部を掻き


「いやぁ~わが娘ながら末恐ろしいですねぇまさか先回りして神医に後ろ盾を取り付けているとは・・・いやはや女は怖いですねぇ~あははは」


小五郎さんは俺の方を向くと


「やぁ君が龍道 進君だね?雫と五月君から話は聞いてるよ、協会では雫達だけでなく妻の雪菜の命も助けてくれたと聞いているよ、いままでお礼も言えず申し訳ない」


「妻と娘の命を救って頂き有難う」


そういうと小五郎と呼ばれた男性は俺に深々と頭を下げる


「や、やめて下さい!?俺は別に・・・・」


そんな小五郎さんの肩をポンと叩き傑さんも俺の前に立ち


「龍道君、こうして面と向かって話をするのは初めてだね、改めて自己紹介させてくれ、僕は鳥居 傑、こっちは妻の美月、知ってるとは思うが五月の親だ」


「こ、これは・・ご丁寧に・・・僕は龍道 進です、五月・・・娘さんには大変お世話になっております!!宜しくお願いします!!」


傑は眉間をピクッとさせたが直ぐに冷静な表情になる


「我々も改めて、娘と我々の命を救ってくれた事・・・お礼を言わせてくれ・・・危ない所を救ってもらい有難う」


そう言うと奥に立ってる美月さんと二人で俺に深々と頭を下げてくれた


「お二人とも!?本当にやめてください・・」


「で?娘にお世話になってるというのは?どういう事なのか聞いてもいいかな?まさかとは思うが・・・・」


「ハイハイ・・・もう貴方は黙っていてね・・・そんな事言ってると五月に嫌われるわよ?」


「し、しかしだな!五月はまだ学生でだな・・・」


そんな傑を見て小五郎さんの後ろに控えていた雪菜さんがケラケラ笑いながら


「フフフ、五月ちゃんのお父さんがこれじゃ私達の娘の方が先に進さんのハートをゲットしちゃうわねぇ~孫の顔を見れるのもそう遠くないかも?」


「!?雪菜さん?」


雪菜さんの言葉に傑さんは驚いた様子で慌てている


「あら?何か可笑し事をいったかしら?蜂須賀の女は自分の子宮で生涯の伴侶を選ぶのよ?雫が自分で選んだ進さんと添い遂げるんだから、後継ぎは早い方が良いに決まってるじゃない?」


「雪菜・・・うちの五月は私に似て負けず嫌いなのよ?器量だって雫ちゃんに負けてないと自負してるわ、その勝利宣言は受け入れられないわね?」


アタフタする傑さんの肩を引いて下がらせると美月さんが鋭い目を雪菜さんに向け言い返す


「へぇぇぇ美月ったら、面白い事言うのねぇフフフ」


「雪菜こそ、少しバスで酔ったんじゃない?フフフ」


どうやら場外で母親の意地をかけた戦いが起こってる様だ・・・小五郎さんは微笑んで見てるだけ、傑さんはオロオロと美月さんを止めようと必死だ


「お前ら・・・師匠の前だぞ・・・いい加減、学生の時の様なノリは卒業したらどうだ?」


不毛な争いを止めたのはサザンクロスギルドの十文字 南斗さんだった、南斗さんは呆れた様子で奥から二人の間に割り込み双方を見て溜息をつく


「・・・・ちょっと南斗?あんたそんなんだからモテないのよ」「そうよ、その歳になって彼女も居ないくせに黙っておいてくれる?」


「なっ!?てめぇぇ人が気にしてる事をぉぉ!!」


痛い所を突かれ美月さんと雪菜さんを睨み付けすごんでいると・・・・


「お前ら、いい加減にしたらどうだ?」


静かに様子を伺っていた犬飼会長が低い声で一喝すると全員が口を閉じる


「はぁ~龍道君にこんなみっともない姿を見せる為にここに呼んだのではないぞ?儂に恥をかかすな」


「「「申し訳ございません!!」」」


一斉に頭を下げる一同


「犬飼会長・・・他のギルドメンバーの代表の方もホテルのイベント会場でお待ち頂いております」


声のする方をみると、いつものシスター服では無くスーツを着込んだ真理恵さんの姿があった


「真理恵さん!!ご無沙汰してます」


真理恵さんは此方をちらっと見ると優しく微笑んでくれた


「うむ・・・では皆も会場へ・・・それと・・・龍道君も・・会場へ来てもらえるか?」




俺は黙って頷き真理恵さんが案内するイベント会場へ犬飼会長達の一番後ろを付いて向って行った


正面の扉が開くと、会場には50人近いパーティーリーダーが集結している、ザワザワと談笑していた参加者も犬飼会長が入場した途端パタリと静まり返り壇上への道が開ける


「龍道君、君は儂の後ろに、傑や小五郎は各自席で待つ様に」


犬飼会長の言葉に皆頭を下げ、それぞれ割り振られたテーブルの前に立ち壇上に上がる犬飼会長に視線が集まる



壇上に上がり用意されたマイクの備え付けられたテーブルの前に立ち、集まった全員をゆっくりと見渡し軽く頷く



「まずは、皆よく集まってくれた、この場を借りて礼を言う」


犬飼会長の話が始まり会場は言いしれない緊張感が張りつめていた・・・







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