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第58話 ヒロイン専用スキル

【グルルルル・・貴様等ぁ許さんぞぉぉぉ!】



目の前でAランクハンターの岩城さんがベルセルクの一撃でヤラれた、橋本さんは意識を失い、坂野さんは腹を貫かれうつ伏したまま動かない


木津さんも右腕を無残に引きちぎられた状態で橋本さんの隣で倒れたままだ


「五月ぃ!」


「雫ぅ!」


二人は合流しお互いの身体を見まわし無事な事を確認する


「五月・・・ここは私が・・防御結界を張って足止めする!その間にあなたは逃げなさい!」


「はぁぁ?何言い出すのぉ?そんなわけ行かないでしょ!私も戦う!」


「まだ分からないの!?アイツは普通じゃない!貴方の魔法も通用しなかったじゃない!このままじゃ二人とも助からない!」


「だからって!」


「だから、二人の内どっちかが助かる方法が有るならそれに掛ける、行きなさい!」


雫は五月の前に出てベルセルクの方を向くと集中し詠唱体制に入る


「我求めるは聖なる棺、神聖なる領域にて安寧を約束する、グレートウォール」


防御結界呪文は詠唱者がその結界内に居ないと効果を発揮しない・・・つまり雫はこの場を動けない


「行きなさい五月・・・この場には木津さん達が居る・・私の魔力が尽きるまでに助けを呼んで来てくれると嬉しいわ」


そう五月にウインクして見せる雫・・・


「解っかった・・・絶対に・・・助けるから!!」


五月は目に涙を浮かべキャッスル前から来た道を戻り全力で走りパーク入り口に向かった


【逃がすかぁぁぁ、ワオォォォ】


ベルセルクが雄叫びをあげると五月の前にベイルウルフが数十匹集結する


「そ、そんな・・・このままじゃ・・」


距離を詰めるベイルウルフに後ずさりする五月は雫の張る防御結界付近まで押し戻される


「くっこのままじゃ・・雫や他の人も・・私にも進の様な力があれば・・・」


《ドラゴン・ロードのヒロインからの申請を受理しました:クラスチェンジの条件を確認・・・呪術師への転職を許可します》


「え?何なんの声?」


《龍道 進のヒロイン「さつき」は呪術師へ転職しました:ヒロイン専用固有スキルを開放します》


《雷系の中級呪文を取得しました》


《時空系の中級呪文を取得しました》


《その他の呪文の上級を開放しました》


「え?進のヒロイン?なに?・・・・きゃぁぁ」


声が止むと同時に五月の足元より虹色に輝く光がほとばしる、その様子を見ていた雫の耳にも聞きなれない声が届いていた


「今の声は・・・なんなの?五月?五月ぃぃ」


【グアァァァなんだぁぁこの力ぁぁ】


ベルセルクは雫の張った結界にへばり付き必死で壊そうとしてる、そんな時五月を覆ってた七色の光が収束し収まっていく


五月は俯いたまま、動かない


「パリィィ」


何かが割れる音がして結界が砕ける


「不味い!?」


【ウガァァァ】


ベルセルクは雫や他のメンバーに見向きもしないで一目散に五月の元に駆けていく


「五月ぃぃ逃げなさい!!」


雫の叫びも空しくベルセクの振り上げた拳によって五月の身体が上空に吹き飛び、雫の目の前に落下する


「ヒィィ五月ぃぃ」


【ギャハハハ、驚かせやがってぇ】


グッタリして動かない五月の元にへたり込み、呆然とする雫・・・・もはやMPが残ってない為、初級の治癒魔法も出せない・・


「こんな・・・私がもっと上手く魔法を制御してれば・・・もっと大きな力があれば・・」


《ドラゴン・ロードのヒロインからの申請を受理しました:クラスチェンジの条件を確認・・・賢者への転職を許可します》


「何・・さっき聞こえた声?」


《龍道 進のヒロイン「しずく」は賢者へ転職しました:ヒロイン専用固有スキルを開放します》


《息吹のスキルを取得しました》


《状態異常系のスキルを取得しました》


《その他の呪文の上級を開放しました》


声が止むと同時に、雫の足元より虹色に輝く光がほとばしる


「何なの?これさっき五月に起こってたのはこれなの?」


【な、なんなだぁ?さっきから!?また巨大な力が!】


「・・・・分かったわ・・これが息吹のスキル・・」




「龍道 雫の息吹」



虹の光の柱の中から雫の声がきこえると、雫の足元の床に光の影が現れ広がる・・・


【な、なんだぁ?】


ベルセルクは光る足元に驚き慌ててその範囲から遠ざかる、範囲内に居る岩城さん木津さん坂野さん橋本さん、そして五月の身体が発光する


すると光に包まれた岩城さんの上半身と下半身が結合され、木津さんの右腕は復元し、坂野さんの貫かれた腹部は傷が消える、橋本さんの表情は穏やかな表情にかわりうめき声が寝息に変わった


「雫・・・待たせたわね・・」


五月はフラっと立ち上がると、ベルセルクを睨み付ける


【何ですか!?その目は?何故虹色に!?】


「見せてあげる・・・私らヒロインの実力を」


【させるカァァァ!!】


ベルセルクは五月の方へ向かって突進してくる「雫ぅ!」虹の光が霧散し中なら現れた雫が五月と同じように七色に輝く瞳を輝かせベルセルクを指さし


「パラライズ!」(麻痺)


【がぁぁ?身体が痺れ・・・るぅぅ・・?】


「雷神武御雷にかしこみかしこみ申す・・・導たもう、我が名は龍道 五月なり・・・・神雷ミカズチ!」


五月が詠唱と同時に手を上空に掲げると上空より一筋の落雷がベルセルクの頭上に落ちる


【ギャァァッァァぁぁ!!】


落雷の中、麻痺により身動きが取れずただ絶叫するしかないベルセルク




五月の放った雷系の魔法が収まり、麻痺の効果の切れたベルセルクは、その場で前のめりに倒れた


「やった・・・」「やったわね・・・」


二人はハイタッチしてお互いに勝利を称え抱き合う


「「ふふふ、ははは」」


五月と雫はお互いに背中を合わせて力なくその場にへたり込む




「・・・はぁ~もう一歩も動けないわね」「私も同感・・でも・・龍道 雫かぁ・・・悪くないわね♪」




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