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第56話 ネームドの魔物 ベルセルク

〇テーマパーク内、中央キャッスル前




【ぐぅぅぅ・・お初にお目にかかります・・・私はコボルドキングから昇格しました、ベルセルクと申します・・主よりあなた方の殲滅を仰せつかりました、不本意では御座いますがここで始末させて頂きます】


大きさはコボルドキングと変わらないが、その体毛が真っ黒になっており赤く光る両目が不気味さを増している


「ネームドは初めてだな・・・木津すこし下がるぞ!」


「親ッさん!背後の狼共が戻って来やがった!?やべぇぞ退路が右も左も囲まれてる!!」


「万事休す・・・か・・橋本ぉお前も前衛に入れぇ木津2-1で行くぞ!」


「了解ぃ」


「坂野ぉ蜂須賀ぁ俺たちにバフを掛けろぉぉ」


「「了解ぃ!」


「鳥居はもう一発デカいの詠唱始めろぉ」


岩城の号令が掛かり各々がポジショニングしながらヒーラーからのバフを受ける距離をとる、五月は坂野さんと雫の丁度中間に位置取りしながら詠唱の為に集中する


【ははは、大丈夫ですよ此方も主より強化して頂いてますから、あなた方の強化をお待ちしますよ】


ベルセルクと自分で名乗った黒いコボルドキングは、コボルドがどこからか持ってきた無骨な大剣を受け取り目の前に掲げて品定めしている


「なめやがってぇぇ」


木津さんがギリギリと歯ぎしりしながら自身の大剣を握りしめて、ベルセルクを睨み付け今にも飛び掛かりそうだった


「言わせておけ・・俺らは俺らで出来る事をするだけだ・・」


「「我求めるは聖なる盾、破邪の守りをかの者与えん、プロテクト」」


「「我求めるは聖な剣、邪悪を打ち払いし破邪の剣かの者与えん、アタック!」」


まず岩城さんと木津さんに防御呪文と物理攻撃アップの呪文をかける


その後、坂野さんと雫は手分けして橋本さんに同じバフを付与する


「行くぞぉぉ」「うおぉぉぉ」「くっそぉぉやってやらぁぁ」


【おっようやく準備が出来ましたか・・結構待つのは退屈ですね、では此処からはお互いに楽しみましょう!】


余裕の雰囲気で気だるそうに大剣を肩に担いで3人にコイコイと手で挑発するベルセルク


こっちにはそんな余裕は無い、3人がほぼ同時に左右と中央からベルセルクに迫る、まず左右から岩城さんと木津さんが構えから渾身の一撃を放つ


「アックススマッシュ!」岩城さんが左から大斧を横から薙ぎ払う、狙いは大剣を持っている右手だ


「パワースマッシュ――!」木津さんは反対から右腕を狙って大剣を横に薙ぎ払う


「シャドウ・ロック!!」橋本さんがベルセルクの足元に先ほどの影縛りを放つ


【おおお、これは先ほどの素晴らしい連携でしたねぇ真向から御受けしますよ!】


岩城さんの斧がベルセルクの腕に届くかと思ったがベルセルクは大剣をくるっと回し斧を大剣の腹で受け止める、反対の木津さんの横なぎは手で木津さんの剣を掴み受け止める


上空から落下しながらナイフを構える橋本さん


「両手が塞がった!もらったぁぁぁ」


ベルセルクの頭部めがけてナイフを突き出したが、ベルセルクは橋本さんに口を大きく開ける


【ハウリング(咆哮)ワオォォォォォォン!!】


ベルセルクの咆哮に周囲の音がかき消されキャッスルの窓ガラスが割れる、前衛の木津さんも岩城さんも轟音に堪えきれず武器を手放し両手で耳を覆う、坂野さんもその場に蹲り雫も耳を覆う


木津さんはベルセルクの咆哮が止んだのを見計らい目を開け耳から手を離すと・・・「橋本ぉぉぉ!」


橋本さんは白目を剝いて口から泡を吹き出し痙攣しながらベルセルクの足元に転がっていた


【コボルドキングとは違いますよ?この姿は伊達では有りませんので、それではまず一人始末させていただきますか】


ベルセルクは大剣を振り上げ倒れたままの橋本さんめがけ振り上げる・・・その時



「我求めるは、地獄の業火、深淵より吹きあがり我が敵を焼き尽くせ!ヘル・ファイア――!!」


五月の掲げるスタッフの先端の宝玉から先ほどより大きな炎の玉が出現しベルセルクの頭部めがけて飛んでいく


【ドガァァァ!】


爆音と共にベルセルクの頭部に直撃しその漆黒の身体が炎に包まれる、その一瞬を見逃さず岩城さんが橋本さんを抱え坂野さんの隣まで後退してきた


その後を追いかけるように木津さんも橋本さんの元に駆けよる


「おい!しっかりしろぉぉ!」


橋本さんの頭を抱きかかえ必死に呼びかける木津さん


雫は五月の方を向くと、フラフラと体を揺らしながら横に倒れた


「五月ぃぃ!」


五月を抱き起すと、両耳から血が流れ出す


「鼓膜が破れ三半規管が損傷してるな・・・早く治癒を・・」


坂野さんと雫がそれぞれ手分けして橋本さんと五月を治癒する・・・


「うっうっ・・雫?」


五月の方は治癒が効き、起きあがってきた・・・が、「おい橋本ぉぉ」橋本さんの方は近距離からハウリングを受けており鼓膜や三半規管どころか脳にダメージを受けておりショック状態になってしまっていた


「ヤバいな・・早く施設で治療しないと・・・」


【いやぁぁこれが人間が使う中級の魔法ですか・・中々の威力ですねぇ】


【ハウリング!  ワオォォォォォォン!】


再びベルセルクは炎に包まれながら咆哮する、その場にいた全員が耳を塞ぐ・・・橋本さんの両耳は木津さんが自分のモモで挟んでいる


「・・・奴は何を・・はぁ?」


岩城さんがベルセルクの方を確認すると先ほどまで燃え上がっていた炎がほとんど鎮火されておりベルセルクには火傷どころか煤一つ付いてない


【ふふふ、私も油断しましたぁ第一ラウンドは引き分けと言った所でしょうか?】





【では、第二ラウンドと行きましょう!】



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