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第55話 魔族との初遭遇

〇テーマパーク内、中央キャッスル前


キャッスルの入り口が吹き飛び中から二足歩行で歩いてくる大型の魔物が現れる



「あれは!?まさか!!コボルドキング・・・・中級の魔物だ・・」


コボルドキングは右手でベイルウルフの死骸を引きずっている、肉体が破損してるところから捕食してた様だ、その背後から人間より一回り大きいコボルドが付き従う様に現れた


「コボルトファミリーか・・・厄介だ」


ぼそっと岩城さんが呟くと、すぐさま橋本さんは意識を集中し範囲索敵を開始する


「親ッさん、コボルドキング1体とコボルドが13体、背後と側面にはベイルウルフが・・・索敵しきれねぇ・・」


後方を警戒していた橋本さんはジリジリと距離を詰め、パーティーメンバーは一ヶ所に固まる


「こう言うの、前門の虎、後門の狼って言うんだよね」


「落ち着いてる場合か!」


後方からの魔物はまだ現れてないが、前面に現れたコボルドファミリーは集結しつつあった、コボルドの内の一体が大きいこん棒をキングに手渡す


受け取ったコボルドキングはブンブンと風切り音をたてながらこん棒を振り回し具合を確認していた


「ぐおおぉぉぉ」コボルドキングはこん棒の具合に納得したのか、手にしていたベイルウルフの死骸を後方のコボルド達に向って放り投げる


落ちてきたベイルウルフの死骸にコボルド達が群がって貪りだした


食料にありつけなかったコボルドは口から涎を垂らしながら此方に向ってくる


「がぁぁぁ」


鋭い爪をもつ腕を振り上げ4体のコボルドが特攻してきた、岩城さんは斧を後ろに構え集中する、木津さんは大剣を正眼で構え真っ直ぐコボルドを睨み付ける


「アックススマァァァシュ!」


岩城さんの振り抜いた無骨な斧はコボルドの上半身と下半身を両断し一振りで3体が血飛沫を噴き上げ倒れる


「おらぁぁぁぁ」


木津さんが上段に振り上げ一気に振り下ろすとコボルドの右肩から左の腰まで切り割き同じく血飛沫を拭き散らしその場で倒れる


「坂野ぉぉ蜂須賀ぁぁ守護加護をぉぉ」


「了解!」「分かりました!」


「「我求めるは聖なる盾、破邪の守りをかの者与えん、プロテクト」」


坂野さんは岩城さんに、雫は木津さんにそれぞれ防御アップの中級支援魔法を放つ


魔法を受け白く淡く一瞬だけ岩城さんと木津さんの身体が発光する


「スティール (俊敏上昇)」


後方の橋本さんもスキル使い自身の移動速度を上げる


「鳥居ぃ魔法詠唱を始めろぉぉ狙いはキングだぁぁ出し惜しみなしだぁ特大を叩きこめぇ」


五月はステックを手前に両手で構え目を閉じ詠唱の為に集中する、スタッフの先端の魔宝玉が赤く発光する


岩城さんと木津さんはキングの振り回すこん棒を上手く避けていたがその分中々近づけないでいた、そんな時キングの頭上から橋本さんがキングの頭めがけてナイフを突き立てる


「ぎゃぁぁぁぁ」


残念ながら頭部を外してしまい、キングの首筋に突き刺さりキングは絶叫を上げる、しかし致命傷には至らず橋本さんを捕まえに来たキングの腕を回避する為ナイフを諦めキングの頭から飛び降りた


「良いぞ橋本!いくぞぉぉぉ木津ぅぅ!」


「はぁぁぁアックススマッシュ―――!」「パワ――スマッシュ!」


岩城さんと木津さんの左右からの同時攻撃をキングは両腕でガードした


「がぁぁぁぁぁ」


岩城さんと木津さんの攻撃によりキングの両手腕が切れ飛んだ・・・「橋本ぉぉいまだぁぁしばれぇぇ」「まかせろ!!」


「シャドウ・ロック! (影縛り)」


キングの足元に黒いシミの様な影が浮き上がりキングの足は地面から動かなくなったコボルドは切断された腕から血を吹き出しながら動かない足を強引に動かそうとしてる


「五月ちゃぁぁんあまり持たないぞ!」


「我求めるは、地獄の業火、深淵より吹きあがり我が敵を焼き尽くせ!ヘル・ファイア――!!」


橋本さんの声と同時に五月のかざしたスタッフの先端から真っ赤に燃える直径50センチ程度の炎の球体が出現し放物線を描きながらコボルドキングの頭上に降り注ぐ


炎の球体はキングの頭上で弾けキングの頭から体全体が炎に包まれる


「ぎゃおおおおお」


キングは炎に包まれながら暴れまわりベイルウルフを捕食中のコボルド達同族を巻き込み数体に火が引火する、引火しなかったコボルド達は炎に包まれるキングに驚きキャッスルの中に逃げ込んだ


体毛と肉の焼ける匂いが立ち込める中で橋本さんのシャドウ・ロックの効果が解ける、キングはキャッスルの庭園の中央にある噴水に頭を突っ込み水蒸気を上げながら炎が消火される


噴水から頭を上げたキングの頭部は酷い有様だった、体毛は焼けてしまって焼け爛れた皮膚は痛々しい赤い箇所と炭化して黒くなった箇所で斑模様になっていた、眼球は炎の熱で弾けて神経が伸び切り垂れ落ちていた


「・・・しぶとい・・未だ息があるのか・・」


そう言いながらも、キングはもう虫の息・・今は動くことも出来ないでただ棒立ち状態だ、いや視界が無くなり動けないでいるのか?


「木津もう一撃だ」「了解!」「橋本は周囲の警戒!」「わぁ~てるよ親ッさん」「坂野は治癒魔法を待機で」「任せて」


「アックス――――


「パワ―――


前衛の二人がスキルのチャージに入ったその時・・・キャッスルの上空に黒い雲の様な渦が現れる


「!?なんだあれは!?橋本、あれは何だ!?」「わ、わからねぇ・・でも後方と側面の魔物反応が遠ざかっている・・」


「五月・・私あれ・・なんか嫌だ・・」


「私もなんか・・胸の奥が・・・こう・・押さえつけられて・・・」


全員が上空に警戒してると、黒い渦がコボルドキングを包む・・・


????「きゃははは、なんか面白い事になってるわねぇ」


「何者だぁ!・・・いやその姿・・・魔族か!?」


現れた魔族は妖艶な女の姿をしていた、青紫の肌、黒いウェーブかかった髪、豊満なバストにくびれたウエスト、魅惑的なヒップそして申し訳程度にしか秘部が隠されてない服、切れ長だが怪しい赤い輝きを持つ蛇眼(じゃがん)


五月も雫も授業では写真を何度も見たが実物を見るのは初めてだ、実際に魔族に遭遇したという話自体聞かない・・それは遭遇した者は生きて帰って無いと言う事なのだろう


岩城さんが武器を構えたまま後ずさりする、木津さんも岩城さんの動きに合わせて後退する・・・


????「この子は私が召喚したのよねぇ~あんまり虐めちゃだめよぉ~きゃはははは」


キングが微妙にガタガタと震えてる・・・目は見えてないがこの女の魔族の放つ魔素に恐怖してる様だ


????「本当なら、この子の代わりに私がお相手するんだけどぉ~私ちょっとこの先にある支部にペットが忘れ物してるからそれを取りに行かなきゃなのぉ~」


女の魔族はそう意味の分からない事を言いながらキングの腰に手を触れ何やら魔法を起動する、コボルドの足元に深紅の魔法陣が現れ無数の黒い棘がキングの身体を突き刺す


「がぁぁぁぁぁぁぁ」


苦痛に吠えるキングをクスクスと子供みたいに笑うと、こちらの方を向き丁寧にカーテシーの様な挨拶をすると


????「もう暫くこのワンちゃんと遊んであげてねぇ~それじゃごきげんよう~」


そういうと背後に出来た黒い球体の中に消えていった


「消えた・・・気配が・・・」橋本さんが呟くが


「警戒しろぉぉ!」


岩城さんの激が飛ぶと目の前で串刺しになっていたコボルドキングの身体が黒く変色していく・・・いつの間にか腕も燃えた体毛も元に戻っておりその体は真っ黒に染まっている


【ぐぅぅぅ・・お初にお目にかかります・・・私はコボルドキングから昇格しました、ベルセルクと申します・・主よりあなた方の殲滅を仰せつかりました、不本意では御座いますがここで始末させて頂きます】


こうしてコボルドキング改め、ベルセルクとの第二ラウンドが幕を開ける








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