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第45話 跡地巡り

ヒタッ・ヒタッ・ヒタッ


!?


誰だっ・・


早朝の露天風呂の湯気に写し出される影が怪しく揺れる・・・


(先程の声の主だとしたら・・・どんな化け物か分からない・・もし戦闘になればとんでもない範囲に損害が・・・)


咄嗟に身構え拳を握る手が震えている・・せっかくの温泉にも係わらず背中に冷たい物が走る・・


ポチャッ・・・湯船に汗が落ちる


「来る!!!」




「ヤッホ――!!お待たせ進ぅぅ!!」


「走ったら危ないわよ星奈・・」



「ん???え???・・・」


目の前に現れたのは身体の前面を白いタオルで隠した星奈さんと由利さんだった・・・


バシャッ


飛沫が舞い上がる・・・緊張が解けて足に力が入らなくなり無様に湯船に尻もちをつき二人の事を見る・・未だに二人の姿をした別の何者かと疑ってしまう


そんな俺の様子を見て慌てて心配そうに駆け寄る二人、タオルを落として身体を隠す事を忘れ俺を支え起こすと顔を覗き込み


「ちょっとっ!?進大丈夫!!」


「星奈さん・・?それに由利さん・・」


周囲を確認するが、もうあの強烈な気配は感じない、しかしさっき迄感じていた得体のしれない存在の事は俺の中の本能が確かに近くに居たと感じてる・・・


「本当に大丈夫?」


なんとか気持ちを落ち着かせて、冷えた身体を再び湯船に沈め温泉で温めた・・・それより・・・


「あのぉお二人とも・・その・・なんというか近いです・・」


お湯が茶褐色で透けて見えないとは言え、二人は俺の横にピタリとくっついてきて・・その色々と当たっていて俺の理性が・・・


「えぇ~でもせっかくの混浴だから、ほらこうして近くでお話しながら楽しまなきゃね」


「そうだぞぉ~、ん?てかぁもしかして反応しちゃった♡」


そういうと由利さんは俺の腿に湯船の中でそっと手を置いて俺の耳元で妖艶に囁く


『私・・・進君の赤ちゃん欲しいぃ~な♡』




【ヒロインとの絆が発生しました:ヒロインの許可なくハーレム資格者以外の女性との性行為は制限されます】


「え?」


急に頭がモヤっとしてから急に眠気が襲う・・瞼が重い・・・・な・・・・


「え?どしたの進!?」「進さん!?」






「ここは・・・・」


目を覚まし周りを見渡すと自分の服が衛門掛けに掛かっている・・此処はどうやら自分が宿泊してる部屋の様だ、確か俺露天風呂で・・・急に


寝床から起き時計を確認するとまだ9時前だった、コンコンと部屋の扉がノックされる


「はい、どうぞ」


返事をすると星奈さんと由利さんが心配そうに部屋に入ってくる


「どお?進、体は平気?」「急に寝ちゃうからビックリしちゃったよ~」


「ご迷惑おかけしてすいませんでした・・」


俺は体はどうもないとだけ伝えると二人はホッとして俺を朝食へ誘ってくれた


案内されたのは昨日の宴会場だった、朝食はシンプルに焼き魚とお吸い物にご飯とお漬物だった


「さすがお魚美味しいです!」


「ふふ、お口にあって良かったです」配膳してくれる月奈さんは嬉しそうに微笑むと俺のご飯のお代わりをよそってくれる


「ちょっと・・お母さん私がするから下がってっていったじゃん・・・」


「まぁまぁこの子は・・進様を独占なんてお母さんは悲しいわ・・進様は年上の未亡人は御嫌ですか?」


上目遣いで俺の腿に手をおいて顔を近づけてくる月奈さんにドキドキしてしまう


「そ、その・・月奈さんはとてもお綺麗で・・・その・・とても魅力的です・・」


「あら、本当?嬉しいぃ私は進様の様な逞しくて優しい男性が好みですよ・・うふふ」


「はい!もう結構です!!進ももうお腹いっぱいなので私ら富士防衛戦の跡地巡りしてくるからお母さんは片付けしておいて!!」


そう言いながら、まだお漬物を食べてる俺の腕を取ると部屋に戻るように急かされる


「あらあら・・まぁ折角ですから進様も観光地を巡ってきてくださいね~」


もう少し食べたかったが、この場は星奈さんと由利さんに従い自分の部屋に戻り服を着替える事にした


手早く身支度を整えると、旅館のロビーのソファーに座ってスマホを確認する


『昨日、熱海の熊井旅館に到着して今日は星奈さんと由利さんに案内してもらって富士防衛戦の跡地を巡ってきます』


五月と雫にメッセージを入れてから少しロビーの稠度品を見て回る、その中でも昨日教えてもらったオロチを撮影した写真の前に立ち眺める


(これが日本の龍神オロチか・・改めて見るが恐ろしい姿だ・・・見てるだけで背筋が凍る様だ・・)


ギロッ


!?


今オロチの16の目が一斉に俺の方を向いた気がした・・・が、もう一度写真を見ると元に戻っていた


しかし・・気のせいでは無いと俺の本能が告げてる・・この地には何かある・・俺にとっての重要な何かが・・それが吉か凶か・・


「おまたせぇ~進君」


「ごめん、支度にてまどっちゃって・・て、ん?どうかしたの?」


「あ、い、いや・・なんでもないですよ・・では早速行きましょう」


俺たちは星奈さんの運転する車で順番に跡地をめぐる事にした



〇大室山


伊豆東部火山群の一つで、すり鉢をふせたようななだらかなシルエットの山容が特徴、山全体が草に覆われ、標高約580mの頂上には直径約300m、深さ約70mの火口が開いており、火山であることがわかる。


毎年2月の第2日曜日に行われる山の保全を目的とした伝統行事の「山焼き」は、伊東に春を告げる風物詩として知られている。


しかし・・・・


人々の憩いの場としてかつては多くの観光客目を楽しませてくれた山道は彼方此方あちこちが破損しており道端は雑草は生い茂り不自然に抉れた地面は立ち入りが危険だと言うことで柵が設けられている


「ここは・・・・」


「ここがオロチが攻め込んだ最前線だったの・・・富士山麓からここまでが富士防衛戦の戦地だよ」


露天風呂に入った時に感じたプレッシャーは小さくなったが、吹き抜ける風が俺の心をザワつかせる




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