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第41話 未亡人達からの誘惑(うらやまけしからん!)

「龍道様・・・龍道様・・・進様♡ フ―——っ」


「きゃっ!」


急に耳元に息を吹きかけられて、可愛い悲鳴を上げてしまった


「え?え?・・・月奈さん??・・」


「はい、月奈です♡」


「お加減は如何ですか?進様」


どの位寝たのか・・ここ最近色んな事が有りすぎて満足に睡眠がとれてなかったのもあり久々の熟睡に意識が朦朧としてる


俺の様子に月奈さんは優しく微笑むと、俺の顔に自分の顔を近づけてくる・・・・あぁ月奈さんの美しい顔が・・・


月奈さんの額と俺の額が合わさる・・・


「どうやら熱は下がったみたいですね・・・良かった・・・【グゥゥ】・・フフフ元気なお腹ですねぇ」


睡眠欲の次は食欲らしい、無神経なお腹に文句を言ってやりたい・・・


「良いんですよ、丁度お食事の用意が出来たのでお呼びしようと思っていた所です、食欲は?と聞く手間が省けました」


そうクスクスと笑う月奈さんは、20代後半と言われても納得する程若かった


「すいません・・・節操の無い事で・・・・」


「いえいえ、是非とも熊井旅館の自慢の地元料理をご堪能ください」


俺は部屋の奥にある屋内露天風呂で軽く体を洗ってから、夕飯が用意してるという部屋に向かう


不満の唸りを垂れ流す自分の腹を手で押さえ宥めながら少し広めの宴会場に到着した所で月奈さんが出迎えてくれた


「屋内露天風呂はお気に召しましたか?」


「はい後でまたゆっくりと入りたいと思います」


「ふふ、お気に召して何よりです、どうぞ上座にお座りください」


部屋の中には大きなテーブルに座椅子が3つ並んで用意されている俺は真ん中の椅子を引かれたので其処に腰を下ろす


「ではお飲み物は如何しましょう?」


「あ・・・ではこの静岡のお茶でお願いします」


おれはお品書きの中の静岡名産の緑茶を指さし注文する


「ふふ、進様は中々通なチョイスされますね、かしこまりました」


オーダーを取り終えた月奈さんは軽くお辞儀して宴会場から出ていく、すると入れ替わりで星奈さんと由利さんが入って来た


二人は浴衣姿で髪の毛を後ろで括っており、浴衣から見える顔や素肌はほんのり赤く火照っているようだ


「進おまたせ~」「進君ごめんね久しぶりの露天風呂で長くなっちゃって」


そういうと俺の左に星奈さん、右に由利さんがそれぞれ座る・・・少し距離が近いし凄くいい匂いが・・・


「あ、あの・・お二人はお飲み物は・・」


「あ、さっきお母さんに頼んでおいたよ~」「ふふ進君ってなかなか通な飲み物頼むよね、ふふ」


そんな話をしてる内に仲居さんが飲み物を運んでくる、星奈さんも由利さんもビールみたいだ


「それじゃみんな飲み物もって~」


「「「かんぱ~い」」」


俺は一口緑茶を口に運ぶ・・・・ん?なんか変だ・・甘い?


「でも・・旨いなこのお茶・・」


俺は一気に飲み干すと仲居さんに連絡しお代わりを頼んだ


「こちらは、近海で取れました新鮮なお刺身になります」


「おおおおおお」


目の前には大きな船を模した器にビッシリと盛り付けられた刺身だった


「これは・・伊勢海老かな?」


宝石の様な透き通ったエビの身を箸で掴み醤油を付けて口に運ぶ


「うっ!!旨い!!プリプリしてて凄い歯ごたえだ!!」


「ふふふ喜んでくれて良かった」「さぁ星奈私達もいただきましょう」


それから3人で談笑しながら、熊井旅館自慢の料理を堪能する


「へぇ進が別の世界から来たって言うのは聞いてたけど、改めて話を聞くと真実味が増すわね~」


星奈さんはスッカリお酒が回ってるのかはだけた胸元がピンク色に染まっていて瞳も赤らんで潤んでいた


「でも、進が大学を卒業して入社した・・えっと・・・しょうしゃ?だっけ?どんな仕事なの?」


反対に由利さんはドンドンお酒を飲んでいるが、一切酔った様子はない・・・酒豪だ・・


「ええ、要は生産者から品物を卸して必要とするお客さんに売るっていう中間業者ですね、その際の手数料を利益としてるんです」


由利さんはその話に興味を持ったのか・・もっと詳しくと俺の胸にもたれかかる・・・いい匂いだ・・・


「あ、あの・・そうですね・・・どれだけお客さんのニーズに合った安価な商品を紹介出来るかが腕を見せる職種ですね・・て・・由利さん近いです・・」


「で、その苦手な進君の上司だった馬原(まはら)って女かちょう?って人、話を聞く限りでだけど進君を嫌ったというより世話を焼きたかったって印象だよね」


『龍道君・・・私の口利きのお客さんに営業に行ってきなさい!いつも通りで大丈夫だから』


『龍道君、お客様の所に行ったのに全然話を盛り上げてないでしょ!!ダメじゃない営業はそういうお客様の好きな話にもついていかなきゃ』


『はぁ仕方ない今夜私と飲みに行ってそこらへんを教育してあげる・・・え?いや?・・そ、そんな消極的な・・女性に恥かかせるものじゃ・・あっちょと待って・・』


今となっては馬原課長がどう思って居たのかなんか分かるはずもない、こんな世界に来た俺にはもう出会う事もないだろう・・


「由利さんの見解に異論が有るわけでは無いですが、今の俺には前の世界でしかも退職して5年以上もたった会社の事なので」


「でもそのしょうしゃ?って会社、この世界のバザーギルドによく似てるわね・・」


由利さんとそんな話をしてると俺の背中にやわらかい感触が・・・


「にゃぁぁぁすすむぅぅそんなつまんない話ぃぃいいからぁぁぁ早く私とお布団行ってぇイイ事しよぉぉ♡」


「えええ星奈さん!?酔ってますよね、ね!由利さん、何とかしてくださいぃぃ!!」


俺の胸から星奈さんの方を見上げ溜息を吐くと


「仕方ないわねぇ・・それじゃ進君部屋に移動しよっか♡」


これは・・・30歳になる前に無事卒業出来るようだ・・・


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