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第40話 熱海良い所一度はおいで


「ようこそ熊井旅館へ、さぁどうぞぉお荷物をお預かりします」


俺は途中のユニシロで購入した衣服の入った服を両手を差し出している月奈さんに手渡し靴を脱ぐとスリッパに履き替え案内してくれると言う月奈さんの後ろを歩く


廊下の所々に富士防衛線の様子と思われる写真が飾られていて、ショーケースにはその当時のモノと思われる壊れた剣や焼け焦げた防具等が展示してあった、俺の視線に気づいた月奈さんが笑顔で振り返ると


「龍道様は富士防衛線に興味がおありですか?」


「い、いえ・・・僕も本や教科書の内容位しか知識が無いもので・・結構写真も当時使っていた武器とかもナマナマしいなって・・


「ここは戦場に近かったしね、当時の名残なんか結構残ってるよ」


星奈さんが後ろから覗き込む様に俺の方を覗き込む、照れるので目線を上げると一枚の写真が目に留まる


それは望遠で撮影されてて、ピントが合ってないが人間の大きさに対し圧倒的な大きさの黒い影・・蛇の様なトカゲの様な爬虫類系だとは分かるけどそれにしても異形だ・・・・


「この写真の怪物・・・首が8つ有るように見えますね・・・・それに大きい」


「そう、これがこの国に棲むオロチっていう竜の化け物・・・現存する写真もこの一枚しかないの・・」


声のする方を向くと、由利さんが俺の隣に立って腕を絡め、身体を寄せて来た


「お、オロチですか!?(いろいろ当たってる・・・童貞には刺激が・・・)」


しかし由利さんの写真を見る目は少し寂しそうだった


「ええ、実は私の祖父母も富士防衛線に参加してたらしくて、このオロチと戦ったそうよ・・・いえ私だけじゃない・・星奈のお爺さんもお婆さんも・・」


「・・・・まさか・・」


「そう・・みんな殺された・・一瞬だったそうよ・・オロチの首一つから吐き出されたブレスで数十人が煙になったと聞いたわ・・・」


再び写真を見上げる・・・(とんでもない化け物だ・・・)


「そうだっ!星奈、明日 龍道様を富士防衛線跡の観光名所に案内して差し上げたら?」


『ナイスアシストお母さん』「そうね!じゃ進あしたは名所を案内してあげるね♡」


ウインクしながら由利さんと反対の腕に抱き着く星奈さん・・・


「あ、あのぉ、せ、星奈さん、由利さんも・・その・・色々と・・当たってるというか・・」


「ふふ、進君たらぁ照れちゃって・・可愛いぃ♪」


「そんな反応されると、食べちゃいたくなるわぁ♡」


生まれて27年童貞のオッサンは二人の妖艶な美しい未亡人の色気にすっかりノックアウトされそうだった


『進!私という彼女が居ながら鼻の下を伸ばして!!』


『ふふふ、すすむん・・私以外で童貞卒業したら・・・判ってるわよね・・チョキチョキ』


急に頭の中にこん棒を握ってる五月と大きな裁ちバサミを持つ雫の声と姿が現れ背筋を冷たくし我に返る


「さ、さぁ月奈さん部屋に案内お願いします!!」


「あ~ん・・進・・いい感じだったのにぃ・・もう・・進の童貞ヘタレ・・」


「進君・・でも・・さっきの感じ・・・脈は有りそうね♪」


(ふふ、二人とまだまだ若いわねぇ・・・はぁ・・私も後20・・いえ10歳若かったらなぁ~・・いや・・初めての相手は年上が良いって言うし・・私が筆おろしを・・フフフ)


前を歩く月奈さんからもタダならぬ雰囲気を感じる・・・気のせいなら良いんだけど・・


「龍道様、此方が本日宿泊のお部屋になります、お荷物はこちらに置かせていただきますね・・」


俺の前で荷物を部屋の収納棚に仕舞う月奈さんの姿を見るとその着物の胸元が寄れて、白い大きな物体が目に飛び込んでくる・・


「チラッ」「!?っ・・・」月奈さんの流し目と目線が合ってしまい気まずくて視線をズラす・・


「ふふ・・いかがなさいました?・・お加減がすぐれませんか?」


そう言うと胸元の合わせがはだけてくっきりと谷間の見えている月奈さんが俺に近寄り背を伸ばして俺の額に手を当てる・・・目のやり場がっ!!


「あらあら・・少し熱いですね・・後で暖かい白湯とお薬をお持ちします・・少々お待ち下さい」


そういうと引き戸を開け中から布団を取り出し座敷に敷いていく・・・先ほどの事もあり・いけないと判っていても目線が月奈さんのお尻に釘付けだ・・・ピンと張った着物には下着のラインが見当たらない・・まさか・・・ノー〇〇!


月奈さんは俺からの下心に満ちた目線など気にもしてない様子で淡々と寝床の用意をする・・ポフポフ・・最後に枕を軽くと、ドキドキしてる俺の方を向くと優しい笑顔で微笑み


「白湯とお薬が用意出来ましたらお持ち致しますので、それまでお休みください」


そうお辞儀する月奈さんはうなじも色っぽかった・・・


「な、なにから何まで・・有難う御座います・・(何考えてる・・俺・・この人は星奈さんのお母さんで・・旦那さんだって・・


「・・・・龍道様・・旦那は15年前に他界してまして今は独身です・・・よ♡」


そう耳元で囁かれ・・・茫然と立ち尽くす俺の背に、再び頭を下げ部屋から出て行った・・・




拝啓・・・五月様、雫様・・静岡は色んな意味で危険です・・

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