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第39話 一行は旅館に到着する

スマホの通話が急に途切れスマホの画面には通話終了の文字とツーツーという音が聞こえる・・・


五月はすぐにスマホを操作しリダイアルするが「お客様のおかけになった電話番号は現在電源が入っていないか電波の届かない場所に居ます」とお決まりのガイダンスが流れツーツーツーと通話が切断される


「・・・・・・」


五月は再度ダイアルすると今度は直ぐに繋がる


『雫・・どうなってるの?』


電話した先は、さっきまで一緒に通話に参加していた雫だった


『うん、私も今の時点で分からないから、お母さんに事情を聴いてみる、五月も両親に確認するんでしょ?』


『ええ、でも帰ってくるまで待ってられないから協会に行ってみる』


『ああ、そうだね真理恵さんなら何か知ってるかもだし私も行くよ』


『じゃ今から1時間後に協会に集合で』


『うん分かったそれじゃ後でね五月』


手早く身支度をして協会に向かう・・・・


〇1時間後協会支部前


「五月お待たせ」


雫も急いで来たのだろうか髪型もストレートのままでセットされてない


「あ、うん私も今来た所、取り合えず真理恵さんに会いに行こう」


二人連れだって半壊して今だ混乱してる協会に入って行った、真理恵は何やら忙しそうに動いていたが二人の姿を見かけると駆け寄って来た


「お二人とも!お聞きになりましたか?進様の事」


「ええ、だから真理恵さんに事情を聴こうと思って・・・で真理恵さんは事情を知ってるの?」


そう雫に問われるとバツが悪そうに俯きながら小さく頷く


「詳しく聞いても?」


「はい・・・ここではあれなので場所を変えませんか?」


「・・・でもお仕事中では・・・?」


「いえ、高崎主任・・高崎の差し金とは言え私は今謹慎中です・・それに今は復旧中で工事業者の方のお手伝いをしてただけなので・・」


「では・・近くの喫茶店で・・」


3人は場所を移し真理恵の話に耳を傾ける


「つまり、真理恵さんの御爺さんが協会の総局長で今回のすすむん奪還作戦で問題が発生したときに取成して貰う為に呼んでいたけど結果的に事態は収拾したけど混乱を招いたすすむんを街から追い出したと・・・」


テーブルを挟んで深々と真理恵が頭を下げる


「私の考えが浅はかでした・・まさか御爺様・・総局長が皆さんやこの町を救った進様を切り捨てるなんて・・・」


「・・・真理恵の御爺さんの意図は分からないけど今の所は進は無事なのは分かった・・女狐・・星奈さんと由利さんには感謝しなきゃね」


「今の所・・・は、・・ね(あの女狐共・・・私のすすむんに手を出したら・・殺す)」




〇熱海パーキングエリア


ブルブル「由利・・なんか寒気がするんだけど・・・」


ブルブル「星奈も?実は私も今急に・・」


「お二人とも大丈夫ですか?何か暖かい物を買ってきます」


俺は二人に暖かい飲み物を買いにサービスエリアのイートスペースに向かう・・ん?スマホにメッセージが届いていたので確認する


『進、必ず会いに行くから待ってて!』


『すすむん・・・絶対浮気は許さないから・・分かってるわよね?』


この後、暖かい飲み物を3つ買ったのは言うまでも無い




それから星奈の運転する車は熱海インターを降り温泉街に到着した


「うわぁぁ雰囲気あっていい場所ですね」


おれは元の世界も含め学校行事以外で訪れる他府県の名所に興味深々だった(おかれてる状況から不謹慎とは思うけど)


「とりあえず、由利と話して今日の所は私の家の旅館に泊まってもらうね、って、由利・・いい加減納得してよね・・・はぁ・・」


「まぁ今回は譲るけど、約束だからねちゃんと手配してくれたのよね?」


そう詰め寄られる星奈はサムズアップしてウインクする


「じゃ・・まぁ良いか♡」


車が到着したのは熊井旅館という想像していた旅館の10倍立派な旅館だった、玄関先には仲居さんたちが十名近く待っていて頭を下げて出迎える


「お待ちしておりました龍道様、笹本様、若女将・・」


「ちょっと!!その呼び方やめてっていったじゃん!!私旅館を継ぐなんて言ってないんだから!」


若女将と呼んだ年配の雰囲気のある仲居さんを指さし怒りだす星奈さん、怒られてる仲居さんは頭を下げたまま表情に変化は無い


「言葉遣いがなってませんね・・・星奈さん、ハンターなんて野蛮な仕事の影響かしら・・それにバツイチで舞い戻って来てその態度・・恥を知りなさい」


奥から現れた美しい女性・・年齢は俺と同じか少し上だろうか?星奈さんの御姉さん?


「あ、あのお姉さん・・俺・・僕は龍道 進と申します、初めまして・・星奈さんには何度も命を救って頂いた者です・・どうか星奈さんの事を悪く言うのは止めてあげてください・・」


そういうと美しい女性は笑顔で俺に向って頭を下げる


「これは・・・大変お見苦しい所を・・龍道様・・・初めまして、娘がご迷惑をおかけしたと聞いてます、どうぞ遠慮なさらずユルリと御逗留くださいませ」


「いえ・・・ん?娘??」


「はい、私熊井旅館の女将をしております、熊井 月奈(つきな)と申します、星奈の母で御座います」


俺はこの日、美魔女という存在に初めて出会った・・・・


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