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第37話 心の籠った心音のペンダント


「え!?」


そんな俺の事を申し訳なさそうに見つめる星奈さんとミラー越しの由利さん


「本当に御免なさい・・・元旦那が関わっていた昔の事件が原因でこんな事に・・・」


俺は車中で高崎が何故復讐鬼として、自分の命を犠牲にしてまで協会や 街の人を裏切り殺そうとしていたのか事実を聞いた


「そう・・・なんですか・・高崎さんがにそんな悲しい過去が・・・」


「確かに高崎の境遇には同情するし、元旦那はじめその件に関わった連中には反吐が出るけど高崎のした事は正当化出来ないし紛れもなく人類に対しての裏切り行為、だから進が気に病む事は無いの」


「星奈さん・・・それに由利さんも・・有難う御座います」


二人に深々と頭を下げお礼を述べる


「あはは、非難されるはずが謝られちゃねぇ・・・」頬をポリポリと搔きながら照れている星奈さんと微笑んでウンウンと頷く由利さん


【キィィィ】車が道中で停止する


「ここで待ってて、守衛者に通行許可を貰ってくるね」そう言うと由利さんは車を降りて守衛所に入って行った


「はぁ・・結界が消えてから本当に不便よね・・・」


「そうなんですか?結界があっても守衛者には断り入れなきゃ駄目なんじゃ・・?」


「普通はこのETP(エントリースループロテクト)カードで通過出来るんだけどね」


「・・・・・」


「ん?あれって・・・」そう星奈さんが指さす先には羽生親子が立って此方に対し深々と頭を下げていた


「少し話してきます・・・この街から追放されるとなると此れが最後かもしれませんし・・」


その言葉に悲しそうな顔で頷く星奈


「こんな所にどうされました?皆さん」羽生親子の元に行き少し疑問に思い質問をしてしまう


「申し訳御座いません・・虫の知らせと言いますか・・嫌な予感がして娘のスキルで進さんの位置を確認していたら車と思われる速度で移動してたので・・・もしやと・・」


「進さん!この街を出てっちゃうんですか!?」翼さんが俺に抱き着き涙を流しイヤイヤと首を振る


「こら・・翼・・進さんが困ってるでしょ・・しかし、進さん娘の恩人だった方が街を出て行くのは私もその・・・寂しいです・・」


海さんも溢れる涙を指で拭ってる


「ねぇオジサン・・どこかおでかけ?」心音ちゃんは何か小さな包みを抱えて俺の元に不安そうな表情でトテトテとやってくる


「あはは、すこし遠くにお出かけするんだよ?」俺はじゃがみ膝を着くと心音ちゃんの頭をそっと撫でる


「また心音とあえる?」


「ああ勿論だよ、何時でも心音ちゃんに合いに来るよ」


「じゃこれおやくそくのぷれでんと!」そういうとベタベタにテープの張られたピンクのラップ紙を渡してくれた


「これは何かな?開けてみてもいいかな?」「うん!!」満面の笑顔で頷く心音ちゃん


あまり破らない様に苦戦しながらテープを剥がして中身を取り出す・・・


「ネックレス・・・」


「うん!!その石はここねがみつけたんだよぉ!えっへん」


目線の高さにネックレスを持ち上げると大きな赤い石が埋め込まれていた、ありふれた河石だがどこか暖かさを感じる・・おそらく心音ちゃんが大切にしてきた石なんだろう


「心音の大事にしていた石なんです、それを私達でネックレスにしてみました・・心音がどうしても姉を助けてくれたオジサンにプレゼントしたいと言うもので・・どうか受け取ってやってください」


俺は心音ちゃんの目の前で自分の首にネックレスを付けて先端の石をつまんで心音ちゃんに見せて優しく微笑む


「心音ちゃんこれオジサンすごく気に入っちゃった、素敵なプレゼントありがとうね」


もう一度ゆっくりと頭を撫でてると向日葵のような笑顔で俺に抱き付いてきた


「うん!ここねがおおきくなったらここねもおよめさんにもらってね!!」


「はぁぁぁちょっと心音それは許さないからぁ!!進さんは私と結婚する約束してるんだから!!」


(いや・・してないけど・・)「ま、まぁ子供の言う事だし・・「ここねが17になったらオジサン37だし・・・うん大丈夫!!」なにやら小さな愛らしい指を何度も折って数えて納得する心音ちゃん


「あらあら~私はいきなりお祖母ちゃんになっちゃうわぁ~うふふふ」海さんは何やら嬉しいそうだ


目の前で海さんと翼さん心音さんの他愛もない話で戯れる姿を見ていると、一筋の涙が零れる・・・


「進?どうしたの?」気づけば俺の横に星奈さんが立っていた


「いや・・俺いろいろな人に迷惑かけたり、この手を汚して来たけど・・こうして守れた物も有ると思うと・・少し救われた気持ちになりました・・」


星奈さんは背伸びして俺の頭を優しく抱きしめると「うんうん、進は私達も五月も雫も・・それに街の人たちも守ってくれたよ・・だから誰が認めなくても私達は進がしてくれた事知ってるから・・感謝してる・・ありがとね進・・」


そう告げると俺と見つめあい星奈さんは俺に顔を向け、そっと目閉じる・・その潤んだ唇に吸い寄せられる様に・・・顔を近づけ・・・


「コホン!ちょっと?なに抜け駆けしてるの?星奈・・・」「す――す――む――さ――ん?」「ちゅーだちゅーだ!わくわく」


「え?!由利さん?それに翼さんも・・・心音ちゃんまで・・」


目の前に由利さんが腕を組んで不機嫌そうに俺たちを睨む・・翼さんはギリギリと歯ぎしりして今にも飛び掛かりそうだ・・心音ちゃんは・・目を輝かせ俺たちを見てる


「こ、これは・・・その・・「えいっ♡ちゅっ」!!!星奈さん!?」


不意をつかれて星奈さんに頬にキスされる


「はぁぁぁぁ星奈ぁぁぁぁ「進さん!ひどい!私という婚約者がいながらぁ!!浮気者ぉぉ」「きた――チューしたー」


「あらあら、ふふふ、進さんたらモテモテですねぇ翼も心音も頑張らなくちゃねぇ~」


奥で俺たちを見てる守衛者の人からの冷たい目線が痛かった


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