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第34話 狂気に囚われし男の悲しき過去

協会の職員や鳥居スタッフサービス、サザンクロスギルドメンバー達によってある程度の瓦礫は撤去された


ロビーの一角に臨時の応接室が設けられ一同はそこに集まっていた


協会総局長 犬飼 源蔵


協会支部、支部長 間宮支部長


協会支部 担当 犬飼 真理恵


聖堂女学園 二年 鳥居 五月


聖堂女学園 二年 蜂須賀 澪


鳥居スタッフサービス 社長 鳥居 傑


鳥居スタッフサービス 副社長 鳥居 美月


蜂須賀メディカルクリニック 看護師長 蜂須賀 雪菜


サザンクロスギルド ギルドマスター 十文字 南斗


元角パーティー Bランクハンター 角 星奈


元角パーティー Bランクハンター 角 由利


コンビニバイト店員 龍道 進 (ただいま熟睡中)


この場は、間宮支部長が仕切る事になった


「まず現在判明してる状況と情報から今回の事件の概要を皆さんにご説明させていただきます」


「この度の協会へのウエアウルフ襲撃も羽生 翼さん拉致事件、緊急クエスト発令に伴うAランクハンター殺害に関して一連の事件の首謀者は協会支部主任 高崎と中級魔物ウエアウルフによる共謀だと判明しました、すべては彼等により画策され実行されたものです」


疑問に思った所で傑が手を上げると、源蔵は黙って頷く


「許可を頂き質問させてもらいます、ウエアウルフはどの様にして結界を超えてこの協会に侵入してきたのですか?」


支部長は傑の質問に対し回答する事を源蔵に視線で訴えると、源蔵は目を瞑り軽く頷くと懐から大きく亀裂の入ったクリスタルを取り出しテーブルに置く


「これは高崎の遺体から回収した物です・・鳥居 五月さん、蜂須賀 澪さんその時の事のご説明をお願いします」


間宮に話を振られ、二人は少し緊張ながら語る


「あれは。私たちが進を救出するため協会に侵入して2Fの端末室に侵入したときでした」


「端末室には既に高崎が居て、端末にそのクリスタルを繋いで何か魔法陣を起動させると、床面の魔法陣からウエアウルフが突然現れたの」


五月と雫の話に皆は驚いたり思考を巡らしたりしていたが、間宮が咳払いして話を進める


「この話が本当の事であれば、先日公園で起こったウエアウルフの襲撃事件も高崎が関わっていた可能性が高いと考えます」


次に星奈が手を上げると、支部長に発言を許可される


「高崎は何やら私らハンターとこの町の市民に対し恨みを抱いてる様な事を言ってたけど・・・」


「そうですね、これは我々も高崎の身元を調べていて分かった事ですが、高崎には数年前に別れた奥さんとの間に娘さんが居たようです」


「居た?」


「ええ、高崎と奥さんは性格の不一致から娘さんが高校に上がったのを機に離婚していました、相手の苗字も高崎から奥さんの旧姓になっていて我々も事実確認に時間が掛かりました」


「そして、高崎の元奥さんと娘さんは既に亡くなってます」


「!?」


「これは、詳細な事実確認が出来て無いのであくまで憶測も含みますが、高崎の娘さんは課外活動で参加したクエスト中に命を落とされてます」


「なっ!?」


「それだけでは有りません、元奥様も娘さんを救出するクエストに参加して同じように命を落とされてます・・」


「その件について高崎は私財とプライベートな時間を割いて独自に調査をして、とあるパーティーが関わって居たことを突き止めます、そのパーティーには、貴方の旦那さんだった若き頃の角ハンターと同じく盗賊の方が在籍してました」


「!?ま、まさか・・・」


「そのまさかです、角さん達はクエストの最中に高崎さんの娘さんを集団で襲い強姦し耐え切れなかった娘さんは襲われてる最中に自ら舌を噛みきり絶命しました、角達は事件が明るみに出る事を恐れ少女の遺体を魔物の群れの中に放置して帰還、クエスト中に行方不明になったと報告しました」


「・・・あのクズ・・あんな奴を旦那として・・私はなんて馬鹿なの・・」


「星奈・・・」


「それだけではありません、元奥様は全財産を投げうって娘さんの救出クエストを協会に依頼して、そのときのパーティーを招集して同行してもらいクエストに出発・・・そこで娘さんに起きた事実を聞かされた上で同様にメンバーに襲われ集団で強姦暴行を受けてる最中にウエアウルフ率いる魔物の集団に襲撃され数名を犠牲にして帰還・・・クエストは依頼主デッドと言う事でリリースされこの件はロストされてしまいました」


一同はあまりの内容の酷さに唇を噛みしめ怒りに肩を震わすとりわけ十文字は怒りのあまり握った拳から血が滴る・・・


「まさか・・俺のギルドにそんなクズが居たとは・・・犯人をみつけ出して俺の手でぶち殺してるぅぅぅ!!」


怒りに震える十文字を横目に間宮支部長は話を続ける


「高崎は狂いそうな憎悪を冷めた仮面で蓋をして、角達に近づきこの事件の真実にたどり着いた様です、そしてある時自分で架空のクエストを発令して娘と元嫁の亡くなったとされる場所に向かうと人狼に遭遇・・・角をはじめハンターに壮絶な恨みをもっていて、町に住む住人にも娘と元奥さんの事を仕方ないと見向きもしない市民に恨みを持っていた高崎は、ハンターを始末してくれるのと引き換えに街の住人の命を魔物に差し出す約束を交わし今回の襲撃計画を実行した様です」


「・・・・つまり・・高崎は町の住人を生贄に自分の復讐を実行したというわけね・・絶望と狂気にとらわれた男・・・自分の命も生贄に捧げる・・か」


・・・・・・・高崎の話を聞いた一同は複雑な表情で俯き口を閉ざす・・そんな中源蔵が十文字の方へ目線を向け


「高崎の件、その残りのパーティーメンバーの名簿は既に手に入れてる・・・十文字・・貴様のギルドに居るメンバーらしいが、どうやらあっちで黒焦げになってる連中がそのメンバーの様だ・・」


十文字は自身の手で始末できない事に唇を噛みながら源蔵に頭を下げる


「高崎の動機はこれで分かったが・・一番の問題は・・そこで間の抜けた顔で爆睡してる男の事だが・・・」


「御爺様!!進様は私達を助けてくれた恩人です!!」


「ほう・・・・詳しく聞こうか・・・真理恵」


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