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第31話 膠着状態

〇1Fロビー



進の放った【竜の瞑想】の光によって、鳥居夫婦と雪菜の傷は一瞬で治癒される


その様子に驚愕するAランクファイター達


「お、おいどうなってる!?奴らの傷が一瞬でふさがってるぞ!?」


「お、俺に聞くな!?てっ、アンチマジックのトラップも解除されたぞ!?」


「それだけじゃ無い!反転の魔石の効果もイナーシャルキャンセラーの効果も全部解除されたぁぁ」


「くっ・・・」


光に包まれた傑の様子に警戒したハンター達は警戒して距離を取った


「・・・この光は・・・痛みも疲労も消えていく・・・そ、そうだ!?美月!雪菜さん!」


傑が妻と雪菜の方を振り返ると、傑と同様に体を貫いていた弓やナイフは体から抜け落ち、その傷も一瞬で塞がっていく・・


「あ、貴方・・・これは・・・何が起こったの?」


「美月・・こんな治癒魔法・・聞いたことないわ・・何か伝説級レジェンドのマジックアイテムなの?」


傑は一旦美月と雪菜の元に駆け寄る


「大丈夫か?美月、雪菜さん」


「ええ、嘘みたいだけど前より状態が良いくらい」


「ええ・・ただMPは回復してないから・・・私はこれ以上治癒魔法は使えないわ・・」


「雪菜・・ゴメンね無理させちゃったね・・でも私もあと一回初級魔法を撃ったらMP尽きちゃうぽい・・貴方は?」


「くっ・・さっきイナーシャルキャンセラーでゴッソリ持っていかれて・・・封印は解除されたが持ってかれた分は戻らなかった様だ・・」


傑はファイター達をチラッと見ると、対魔法用の盾を構えて奥の方であちらの方も此方の様子を伺ってる様だ・・・



「おい・・・一人上に行って奴らの娘を連れて来い・・・人質だ・・」


「で、でも・・高崎が呼び込んだ中級の魔物が居るんだろ!?もう殺されてるって!」


「死骸でも構わん!気絶してる様に見せかけて奴らの魔法を無力化するんだ!!この盾も何時までも持たないぞ!」


「わ、分かった・・・俺が行く・・」


そう言うと、一人が2Fの階段を駆け上る



「あ、貴方・・奴らの一人が上に!?」


「まずい・・五月と雫君を人質にする気か・・」


「傑さん!?私突貫します!!娘を、娘を助けなきゃ!!」


「ま、待て雪菜さん!!」


飛び出そうとする雪菜の腕を掴み引き留める、目に涙を浮かべ傑を睨み付ける雪菜


「は、離して!!」


「・・・・美月・・・」傑は美月に声を掛け雪菜の頭のローブを捲ると雪菜の艶やかな黒髪がハラリと零れる


【夜月の陰る空に、梟の声に耳を傾け眠りに誘え・・・ スリープ】


美月のかざした手から靄の様な物が放たれ、雪菜の後頭部に纏わり付く


「み、美月・・・な、なんで・・・・・」


雪菜は目を閉じると、そのまま傑の腕に倒れ込む


「美月・・・雪菜とこの場を離脱しろ・・・」


眠りについた雪菜を美月に託し、ローブの胸元を探りペンダントを取り出し引きちぎるとをれを美月に手渡す


「奴らが迫ってきたらこのグレートウォールを仕込んだペンダントを使え・・・一時しのぎにはなる・・・」


「あ、貴方は?・・」


「俺は娘たちを助けに行く・・・刺し違えても無事助け出す・・・お前は退却して体制を整えろ」


そう言い残し、杖を握るとファイター達に向かって歩き出す


「貴方・・・・五月達の事宜しく・・・お願いします・・うっうう」




「ハンター達!最後通告だ、武装を解除して降伏しろ!!」


「くっ・・・こうなったら殺るしか無い・・・行くぞお前ら!!」



【ドガッ】



!?ファイター達が振り返ると、先ほど2Fに人質を連れに行った仲間が階段から落ちてきて床に叩きつけられ、体があり得ない方向に曲がった状態のまま失神していた


「なっ・・・なんだぁ?」


【カッカッカッ】


何者か階段から降りて来る・・静寂に包まれた1Fホールに足音だけがコダマする・・・




「お前らか?俺の大事な人達に危害を加えようとした連中は・・・」


階段から姿を見せたのは、進だった・・


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