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第30話 世界の秘密の(片鱗)


「竜の瞑想」


奥の部屋で瀕死の状態の五月と澪を必死に治癒する由利は自分のマジックポイントが枯渇するのを感じ意識が朦朧としていた


その時部屋の外から聞こえた進の声と共に白い光が五月と雫の身体、それに自分の身体を覆うと体の内部から暖かい波動と共に疲れや傷が癒されていく


「これは・・・なんて暖かい優しい・・・」


ふと入り口を見ると、光の波動はどうやら進の身体から発せられてるようだ


そして目の前で折り重なる様に倒れてる五月と雫の傷も治って行く


「これは・・・上級治癒魔法でも同時に複数人を治療する事は出来ないのに・・・これが進の力なの?」


入り口の進の姿がぼやけて、自分のМP切れで意識がなくなる・・・



〇協会2F通路



「なんだぁこれは!?」


見たこともない光の波動を振り払おうと暴れてる高崎と、俺の様子をジッと見つめる人狼


「愈々《いよいよ》お出ましかな?・・・・・違うな・・・」


俺は目を見開き人狼を冷たい目で見つめると


「どうやら、俺はまだ龍道 進のままの様だ・・」


自分の両掌を交互に見つめ握ったり開いたりして自分の身体の感触を確かめる


「どうらやら、お前は混ざる事無く融合して、まるで共存してるようだな・・・」


共存か・・確かに今の俺にはこの世界の龍道 進の記憶以外にもう一つの記憶が存在する・・・それは・・・


「まずはお前を始末する・・・」


「ヒャハハハ、寒気がするぜぇ確かに今のお前なら俺なんか一瞬だろうなぁ」


「お前は俺の・・俺たちの大事な人を傷つけた・・・破片も残さず消してやるよ・・」


「おい!化け物!!約束だぞ、お前に協力したらこの町のハンターと協会の連中を全員始末してくれるてぇ!いいからとっとと殺せぇぇ」


【グシャッ】


人狼は横に居る高崎の頭を掴むとためらいなく握り潰す、飛び散る肉片と鮮血と力なくダレ下がる高崎だった者身体、その懐を人狼は探ると小さなリモコンを取りだす


「これで俺の役目は終わりだぁ後はお前の力を推し量るだけだ」


そう言い放つと器用に爪でボタンを押す


【ドン!!】大きな爆発音と共に建物が小さく揺れた、人狼はその音を確認すると手に持ったリモコンを握り潰す


「では、少し俺と遊んで貰おうかぁ龍道 進ぅぅぅ【強化・強化・強化ぁぁぁぁ】」


人狼の身体が赤く発光したかと思うと筋肉が異常な程、隆起し倍近い大きさに膨れ上がる


「ぐうううううう・・・がぁぁぁっぁ」


一瞬で足場を蹴り飛び足場だった箇所は人狼の足爪の跡が抉った様に削れる


「消えた!?進ぅぅ」


星奈さんの悲鳴が響くより早く、一瞬にして人狼に押し込まれ数メートル後方の壁に押し込まれる


「うぉぉぉぉん」


人狼は両手で俺の首を掴み自分の目線より上に持ち上げると腕の筋肉一層隆起させて力を込める


「がぁぁぁあ、このまま首をねじ切ってやるぅぅぅぅ・・・!?なんだぁ?まるで鉄の塊をにぎってる様だ!?」」


「・・・・・・・」


俺は右手を軽く振り上げ手刀を作ると人狼の腕めがけて軽く振り下ろす


【ズバッ!!】


鮮血をまき散らしらしながら人狼の両腕は俺の首に巻き付いたまま、本体の体と分断される


おれはスクッと床に着地すると床で転げまわる人狼を冷たく見つめる


「ぎゃぁぁぁぁぁぁ、うでぇぇ腕がぁぁぁ」


床を転げまわる人狼の頭を軽く蹴り飛ばすと十数メートル後方の反対の壁まで吹き飛ぶ。俺は残像だけのこして一瞬で人狼の元までたどり着くと


右手を竜の爪の形に構え人狼の頭を掴むと俺の指は徐々に人狼の頭にめり込む


「ぎゃぁぁぁぁ、いでぇぇぇぇぇ」


俺はそのまま人狼を掴み身体を引起こす


「さぁお前は目的を達したのかもしれないが、残念だが今から俺に消されるしかない」


「最後に答えろ、お前は俺と同じ世界から来た様な事を言った、俺の推測が確かならお前はコンビニで俺を刺した不審者だな」


「がはぁ・・・ひひひ、そうだ俺はあちらの世界でお前を刺殺した男だ・・」


「その男がなぜ人狼になってこちらの世界に転生して人に仇名す」


「・・最後だから教えてやる・・この世界の魔物の根源はお前の元居た世界の人々の憎悪や怒り嫉妬という負のカルマが混沌となり、それを魔族達が所有する特有スキルで召喚し顕現させた物だ」


「魔族が?・・・」


「そうだ・・そして負の感情の大きさやその感情を持つ者のカルマ値の強さによって顕現する魔物の強さも変化する」


「つまり、負の感情が大きければお前の様な大きな力を持つ魔物になり、小さな負の感情はスライムの様な力の弱い魔物になるという事か」


「ははは、がはっ・・・なかなか賢いじゃないか・・いい線突いてるぜ、軽い小競り合いや喧嘩や妬みとかの感情ではスライム程度のカルマ値しか吸い出せないらしい」


「では何故お前はこの世界の権限させた魔物に憑依してる?向うの世界のお前はどうなった?」


「簡単さ、お前と一緒だ・・俺も元の世界で死んでこの世界で俺のカルマで生成されたこの人狼の依り代に憑依した・・・魔族達曰くこういう事象の事を、混ざる・・・魔笊まざると言うらしいぞ」


「じゃぁなぜ俺は魔族では無く人間に・・この世界の龍道 進に魔笊った?」


「さぁな・・どちらかと言うとお前の状況の方が特殊だ・・俺にもどういう事なのかわからん」


「そうか・・・では最後の質問だ・・この世界の龍道 進は今何処に居る?」


「なんだぁ?その質問は・・龍道 進という存在は常に一人だ・・」


「お前は自分が何もしてないのに身体が鍛えられていたとか思ったか?愚かな・・それは違う・・それはこの世界でお前が日々体を鍛えていたからだ」


「どういうことだ?・・だったら何故俺は今2人分の記憶を持ってる・・それに・・・この力は・・」


「最後の質問だったんだろ?残りは自分で確かめろ・・・どの道、もう時間の様だ」


そう言い残すと、人狼は黒い灰になり霧散して消えた・・・・




奴の言葉を信じるなら、元の世界と今いる世界は繋がってる・・・


俺はこの世界の龍道 進でもあり、あちらの世界でも龍道 進と言うことになる・・・!?


まだ分からない事ばかりだ・・・でも、これでハッキリした



「五月と雫が探してる龍道 進は・・・・・・・俺だって事か・・・」







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