「竜の瞑想」
俺は自然とこの世界の呪文ではないドラゴンロードの使えるスキルを口にする
俺を中心に白い光がドーム型に膨れ上がり協会の建物全体を包み込む
〇少し時間を遡り、協会1Fロビー
「鳥居社長、相手のマジック耐性防具のせいで、思ったよりダメージが通りません!」
マジシャンの男が傷ついた足を引きずりながら果敢に杖を掲で魔法を詠唱していが、3人のAランクファイターの装備する魔法文字の描かれた盾に阻まれ撃ち込んだ魔法が霧散する
「美月、お前は蜂須賀さんの所のヒーラーを護衛しながら負傷者を後退させてくれ!」
そんな傷を負ったマジシャンを庇う様に前に出る豪華なローブを纏った男は後ろの同じローブを纏う女性に指示を告げる
「あなた!どうするつもりなの!?」
「これを使う・・・」
中年の男は豪華なローブの懐から紫の無骨な石を取り出した
「あなた・・それは・・反転の魔石なの?」
【反転の魔石:使用者の物理攻撃・物理防御を魔法攻撃・魔法防御と入れ替える効果を持つマジックアイテム効果時間は1時間】
その様子を見ていたAランクファイター達はニヤニヤと笑いだす
「おいおい、鳥居スタッフサービスの上級 呪術師 鳥居
「いいぜぇ?物理に振りなおしたら俺たちを仕留めれるとか思ってるんだろ?」
男たちの挑発に冷静に告げる・・・
「これが最後の通告だ武装を解除して降伏しろ・・・」
「お~こわwこれは俺たち負けちゃうかもなぁ~」「オッサン御託は良いからサッサとやってみろよ!」
「後悔するぞ、【反転の魔石】「ぷっ、ばぁ~かw」【イナーシャルキャンセラー】「あなた!!まって!!」
傑が魔石を掲げると同時に奥に隠れていた、もう一人の男が傑の前に飛び出して禍々しい鏡をかざす
「なぁ!・・・それは違法の闇アイテム!」
傑の魔石は紫の光を放ちその手の中で砕け散ると、男の掲げた鏡の中に傑の姿が映し出される
【イナーシャルキャンセラー:その鏡の中に対象の魔力を閉じ込め無力化する:効果はランダムで1時間~48時間、マジシャン系にとって大変危険なアイテムの為、政府から禁止アイテムに指定されている】
「あなた!?」
「くくくくっ、これでアンタ魔力はゼロになったと同時に反転の魔石でゼロと化した物理攻撃と物理防御w」
「だからぁ~ほれ」【ドカッ】男は傑の腹部を蹴り飛ばす
「ぐあぁぁぁぁ」傑は体をくの字にして腹部を抱えるとその場で膝から崩れ落ちる
「いいねぇぇ世に名を轟かす上級 呪術師をボコボコに出来るとか最高かよw」
「あなたぁぁぁ、我求めるは、深淵の底から立ち上る赤き怒りの炎、地獄の業火なり、くらえぇぇぇインフェ「おおおっと、詠唱は中止してもらおうかw」
美月が上級の呪文を唱えるのを見て男は傑の首に腕を回し自分たちの盾にして見せつけると
「なぁ!?ひ、卑怯な」
「ひひひ、鳥居スタッフサービスの副社長、上級 呪術師 鳥居
そう言うと一人が剣を振りかぶり、傑の右手を切り飛ばす
「がぁぁぁぁぁ「いやぁぁぁぁやめてぇぇぇl」
「傑さん!!我求めるは神聖な癒しの風、聖櫃の光輝く壇上に、奇跡の柱を奉らん、エクスヒール!」
美月の後ろから、白衣を纏った女性が傑に上級治癒魔法をかけると、切り飛ばされた傑の腕が一瞬で復元する
「雪菜!来てくれたのね!」
「掛かったな、対魔法エリア発動!!」
ファイターの男が合図をすると、協会のロビー全体が虹色のカーテンで覆われる
「しまったぁ!!アンチマジックトラップ!」
「これで、お前らは手も足も・・魔法もw出せねぇ、だから、おまえらぁ!【ヒュッヒュッヒュッ】」
ファイター達は美月と雪菜に向かって幾つものナイフと弓を放つと
「がっっ」「ぐぅぅぅ」
二人にナイフと弓矢が何本も突き刺さり、大量の吐血と共にその場で倒れる
「美月ぃぃぃ雪菜さん!!」
「黙れオッサン【ドガッ】」
再び腹部を蹴り飛ばされ床に転がり痙攣する傑
「さて、とっと始末してさっき此処を抜けたオッサンを始末しないとなw」
「ご苦労様w鳥居 傑さん」男が傑の首筋にめがけて剣を振り被る
【竜の瞑想】
確かにその場に居た全員にそう声が聞こえ、2Fから光の波動がロビー全体に押し寄せる
「なっなんだこの光は!?」
見たことも無い現象に歴戦のファイター達も動揺と驚きを隠せない
間もなく光はロビー全体を覆うと傑と美月、雪菜の身体が激しく発光する