星奈さんから聞いた角さんの話は俺を驚愕させた・・・まさか俺の居ない所で五月と雫、それに真理恵さんを襲う計画だったとは・・・
「ぷっ・・ふふふふ、アハハハハとんだ茶番だぁぁぁアハハ」
さっきまでの紳士的な態度で話していた高崎主任は急に豹変した
「た、高崎主任?」
「あのなぁ支援に付いたハンターと課外活動の生徒が男女の関係になるなんて良くある話だぞ、それをいちいち謝罪してたらキリがないぞ」
「そんな!五月や雫、真理恵さんは無理やり襲われたかもしれないんですよ!」
「はぁ~そんなの状況だけの話だろ?普通に付き合ってる男女が行為の後で気持ちが離れて襲われたって言ったらそれは犯罪か?」
「詭弁です!それにその主任の話と進様に責任が有るなんて言う話は全く関係ありません!」
席を立ちあがり高崎主任に食ってかかる真理恵さん、そしていつの間にか真理恵さんの後ろには星奈さんと由利さんも立っていた
「はっ!無能がぁ!女を垂らし込むスキルでも隠していたか?お前みたいな役立たずが生き残って、有能なランカーが死んだんだ!どっちが社会的に損失かここに居る皆に聞いてみるがいい!!」
その言葉に後ろでコソコソ話していたハンターとほかの職員が俺を責め立てる
「角はイケ好かないキザ野郎だったが、剣技だけは一級品で間違いなくAランクだったしな」「角様ならこれから何人も助けられる命が有ったはずだ」「そうだ無能は死んで詫びろ」
「み、皆さん・・そ、そんな・・・主任!この様な非人道的な発言は許されません、私支部長に直訴します!」
そんな必死の真理恵さんに高崎主任は鼻で笑う様に吐き捨てた
「勝手にするがいい、今日から君は自宅謹慎だ、理由はクエストの必要要項でる課外活動の学生人数に対し適性人数を揃えずに独断でクエストを開始したことだ!」
「そ、それは・・・時間的な余裕が・・」
「その時間的な余裕を惜しんで、2名のAランカーが命を落としたんだが?」
「くっっ!!」「真理恵ちゃん・・・」「真理恵・・」
俺は机の上で握った拳から血が滲んでる真理恵さんを見て決断する
「高崎主任・・・この度のクエストの件・・・全責任は僕が負います・・・ですのでどうか真理恵さんと星奈さん由利さんには寛大な処置をお願いします」
そういうと俺はその場で高崎主任に土下座した・・・
「お前の軽い頭に何の価値もないが・・まぁ良いだろう・・・元々お前の断罪の為の集まりだ・・」
「進!」「進君!」「ダメです進様!」
俺は真理恵さん達へ振り返ると笑顔で軽く首を振る
「龍道様、貴方には協会の地下にある犯罪を犯したハンターを収監する収監室にて暫く謹慎して貰います、その後協会の査問会にて龍道様の処遇を決定させていただきます」
高崎は再び冷静な冷たい声でそう告げる
「分かりました・・・」
「そ、そんな・・・」「進君・・・」「進、ダメっだから!」
俺を呼び止める声を背に俺は職員に案内され協会の地下にある格子のはめ込まれた部屋に案内された・・・
部屋は薄暗く、あるのはベッドと洗面台と簡易トイレのみ、当然スマホや財布は没収され外部と連絡も取れない・・・
「食事はキチンと3食でます、龍道様は今の時点では犯罪者では有りませんので何か必要なものが有れば係りの者にお申し付ください」
「はい・・・」
と言いながら、係りの者とかいう人の影は何処にも見当たらない・・刑務所ってこんな感じなかのかな?俺は硬いベッドに横になると薄暗い天井を見つめそんな事を考え目を閉じるとまどろむ暗闇に引き込まれる様に意識が沈んで行った
気付くと俺は暗闇の中に立っていた、目の前には淡く光る玉が明滅している
『何故我だけ解放しない・・・何故我を開放しない・・・』
俺の目の前の光の玉が語り掛けるのと同じタイミングで明滅する
振り返ると後ろには天然パーマがボサボサに伸びて目元が見えず、無精髭が不潔で貧乏なイメージにしか見えない元の世界の龍道 進が俺の方を無言で見つめてる・・
『何故我だけ解放されてない・・・この先で運命が交錯するぞ・・』
「なぁお前は誰だ、俺には意味が分からない!そうだ!お前も黙ってないで何か言えよもう一人の龍道 進!」
俺がそうもう一人の進の肩を掴み前後に揺らしていると、ふいにその場から消え去り明滅する光の玉の前に立っていた
『そうか・・・お前らは混ざらずに融合・・・共存を選択したのか・・』
「なぁ!俺にも判るように説明しろよ!」
『ならば・・・運命が交錯する狭間で我も選択しよう・・・・』
「おい!!待てよ!!」
気付くと、ベッドの上で仰向きで寝ていた俺が何かを掴みかけていたかの様に手を前に突きだし息を切らす・・・
運命の交錯する狭間?