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第24話 俺は冴えない無用なただのオッサン・・・

真理恵さんから電話での呼び出しに、唯一この世界の進が持っていたスーツに着替えると部屋を出て最寄りの駅に向かう


前は歩いて帰ったけど今日は時間指定もあるので電車を利用する


五月と雫にスマホを教えてもらった時に電車の決済アプリ、スイスイカをインストールしてもらっていたので問題なく電車に乗れた、流石に出勤や通学時間ではないので車両は空いていた、窓際の席に座ると外の景色を眺めながらふと考える


(今俺にこの世界の龍道 進の記憶があると言うことは、この体はやはりこの世界の龍道 進の物って事だよな・・・・)


自分の掌を窓にかざして窓に映る自分の顔を見ながら語り掛ける


(と言う事は、俺の記憶がこの体に無ければ元の龍道 進として前の生活が出来て・・・五月と雫も・・・)


窓に映る俺の目から涙が零れる


(ははは、俺は店長の言う通り、使えない冴えない無用なただのオッサンと言う事だな・・・すまない、もう一人の俺・・五月・・雫・・)


こんな情けない顔で泣いてる所を他の人に見られなくて良かった・・・そうしてる内に協会の最寄りの駅に到着する


荷物を持ち涙を拭うと、「よし!」気合を入れなおして駅のホームを出て協会の支部に向かう


受付の女性に名乗ると、何処かに電話を掛け「しばらくお待ちください」と伝えられロビーの椅子に座って待つこと数分


「お待たせしました、進様」


横から真理恵さんがお辞儀して挨拶してくれるので俺も立ち上がりお辞儀をする


「お疲れの所ご足労頂き申し訳御座いません、鳥居様と蜂須賀様はまだ学校ですので私と角さんの奥様達でクエスト報告をさせていただこうと思ってますが宜しいですか?」


「はい勿論です」


真理恵さんは頷くと「こちらへ」と俺を協会の奥の部屋に案内する


案内された部屋には、角さんの奥さんの星奈さん由利さん、それと高崎主任と数名の職員、それと数名のハンターらしい人が待っていた


「あ、進君♡昨日はありがね♪」「進~昨日は何で先に帰っちゃったの~?」


そんな二人の事を無視して俺の事を相変わらずゴミを見るような目で一瞥する高崎主任となにやら職員とコソコソ話ながら俺の事を馬鹿にした様な目でクスクス笑うハンターと職員


「・・・・・・」


「あ、およびたてして申し訳御座いません、そこで立っておられては話が進みませんので席に付いてください」


「はい・・・失礼します・・」高崎主任からの冷ややかな視線が胸に刺さる、そんな様子に慌てる真理恵さんが口を挟む


「そ、それでは昨日の緊急救出クエストの完了報告をさせていただきます、まず対象の羽生 翼さん「あ、その前に良いですか?」・・え?」


高崎主任が手を挙げて発言し真理恵さんの報告を遮る「え?え?」真理恵さんは報告書をチラチラ見ながら慌ててる


「まず、先に同伴ハンターのAランクファイター角様と同じくAランクハンタで盗賊の方がクエスト中に命を落とした事に付いて、龍道様から責任ある説明を頂きたのですが?」


「え?ちょっとまってよ!旦那達が魔物にヤラれた事と進に何の関係があるのよ!」「そうよ、進君が居なかったら私らが裏切者のクズに魔物の餌にされってたって何度も説明したじゃない!!」


高崎主任は二人を一瞥するとまるで無視するように俺に向き直り


「では龍道様、説明お願いします「主任!!それはあまりではないですか!!」


「犬飼君・・・君は黙ってなさい、私が龍道様に聞いてるんだ・・・・」「しかし・・・「いいんだ・・真理恵さん俺の口から説明する」


俺は立ち上がり、角さんの奥さん達に頭を下げる


「この度は、僕の力不足でお二人の大事な方の命を守る事が出来ませんでした・・・謝罪しても許される事ではありませんが・・本当に申し訳ありませんでした」


「違う違う!なんで進が謝るの!?謝るのは私らだから!」「そうです、進様はむしろ被害者で・・私たちは・・最初から貴方を囮にするつもりで・・うっうう・・本当に御免なさい」


泣き崩れる由利さんの肩を抱き星奈さんも涙を浮かべる


「はぁ・・・お二人は何か勘違いされてますが角様の作戦は理にかなってます、非難される事など何処にもありません」


「な!?」「主任!!」高崎の言葉に驚き声を上げる真理恵さんと角さんの奥さんを無視して俺に向き直る


「龍道様、先ほどお二人の言った通り貴方が囮になって魔物を引き付けていれば、その隙に対象も確保できてウエアウルフも討伐出来たかもしれなかったのに、貴方は無傷で帰還し角様は魔物にヤラれてしまった、これは協会として看過出来ない重大な失態です、その事について説明して下さいとお願いをしました」


「・・・・・・・・・」


「主任!それでは・・・それでは龍道様には皆の為に犠牲になって死ねと「そうですが?何かおかしいですか?」


「ひどい・・・あまりに進様に対して・・・進様に足して惨い扱いじゃないですか!!」


「龍道様には魔法の才能も武器を使う才能も無い、有るのは馬鹿の一つ覚えの腕力だけ、A,Bランクのハンターの為に死ねるなら本望でしょ」


「話にならない!自分の旦那の恥を晒すのは嫌でだまってたけどもう我慢出来ない!いい?あの屑はクエストなんかどうでも良かったの!道中にそこにいる真理恵と同伴した女子高生を襲う事しか考えてなかった・・・私らもどうかしてた・・・旦那の悪事に気づいてながら止めなかった・・・でも魔物は進が向かった洞窟では無く私らの待機していた場所に現れた、旦那達も驚いていたけど必死で応戦した、しかし全く歯が立たないどころか命乞いを始めた・・・私らの命を差し出すと言って・・・」


「そ、それは本当ですか?星奈さん・・角さんが俺ならまだしも自分の愛する奥さん達にそんな・・・」


俺の言葉に悲しそうに溜息を吐くと


「ホント、あんな最低な奴を夫として愛していた自分が情けなくて昔の自分に会えるなら張り倒したい位だわ・・・」


「本当にゴメンなさい進君・・あなたの大事な人達を危険な目に遭わせたのは・・・私達のせいなの・・・責められるなら私達の方・・」


「星奈さん・・・由利さん・・・・」



「ぷっ・・ふふふふ、アハハハハとんだ茶番だぁぁぁアハハ」


さっきまでの紳士的な態度で話していた高崎主任は急に豹変した






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