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第18話 初めての郊外



俺たちは最低限の準備を整え集合場所に集まると、数分遅れて角達のパーティーが現れる


「なんだぁ~w早いなお前ら」そう言いながらズボンのチャックをカシャカシャと引き上げる・・・


「私たちが早いんじゃなくてアンタらが遅れてんのよ!!」


イライラを隠せない五月は角を軽蔑した目で見ながら指さし怒鳴る


「あはぁ~wイヤ―――嫁が二人いると相手するのでも時間が掛かるしなぁ~」


そう言いながらマジシャンとヒーラーの女性の背後から腕を伸ばして胸を揉みだした・・・


「ちょ、ちょっと!!」「人前でやめてよ・・」


「まぁ~童貞のニート無能タレントのオッサンにはぁ~縁の無い話だぁぁ、ギャハハハ」


(まぁそれは確かに事実だしな・・・)


「真理恵さん集まった様なので、早速出発しましょう」おれは角の嫌味を無視すると真理恵に促す


「おいおいwオッサンよ~誰がお前に仕切っていいっていったんだぁ~お前は・・・ほれ」そういうと大量の荷物を指さす


「・・・・・・・」


おれは黙って大量の荷物を担ぐと、「では・・!っ」【ドゴッ!】角が両手の塞がってる俺の鳩尾を殴ってきた


「はっ手加減してやったんだぜぇ、荷物持ちが途中で倒れたら面倒だしなぁ」


ゲラゲラ笑いながらパーティーメンバーと一緒に先を進んでいく


「酷い!・・・大丈夫ですか?進様・・・」「え、ええ大丈夫です、急だったのでビックリしただけで(本当に痛くもなんとも無い・・)それより急ぎましょう!」


ノロノロと全くやる気の無い角達を真理恵さんがなんとか説得して何とか町の入り口に到着する


「真理恵さんが話してるのって・・・・」「ああ、この町の守衛者=ガーディアンの人ね・・・あの協会のクエスト表が無いと街から出れないのよ」「進も雫も気を引き締めて!私達が足を引っ張ったら助かるものも助からないの!!」


「すまない・・気を付ける・・」「はぁ・・少し気負いすぎよ五月」


「皆さん此れから郊外に出ます、今更ですが此処からは結界の恩恵はありませんので上位の魔物が出る危険性があります、ここは角様のパーティーの指示をよく聞いて行動してください!」


「ま、真理恵さん?これが入り口です・・・か?」


「ぷっwオッサンまさかビビってるのかぁ?wお漏らししちゃったかなぁ~?」


「・・・・進様、お気に慣らさず・・誰もが此処を通るときは緊張する物です・・・」


「は、はぁ・・・」


入り口と呼ばれるのは、テーマパークなんかでよく見る3本バー式回転ゲートだ・・・


「皆様お早く!このゲートは五分しか解放出来ません!」


俺たちはガーディアンに急かされ周辺を警戒する間もなく町から追い出された・・・一人ずつゲートを通る姿はどこかシュールだが皆の表情は真剣そのものだ、俺だけ複雑な表情をしてる


「おいおいwビビッてお家にかえりたいぃぃってか?ギャハハハ」


「おいおい角ぃその辺にしといてやれよ(笑)」


「はぁ~皆さん先を急ぎましょう・・・無駄な戦闘は避けるべきです!」


真理恵さんに急かされ不機嫌な顔をするが「チッ!」と舌打ちしながらも道をすすむ・・・(このまますんなり行くとは思えないが・・・心配しても仕方ないか・・)


郊外と言っても街とさほど変化は無かったが、さすがに人の気配は無く建物は荒れ放題だ、廃墟というべきかもしれない


道中もスライムや昆虫の様な魔物との戦闘があったが、性格は最悪だが流石Aランク、角達パーティーの戦いは見事としか言えないものだった


「おい、角・・そろそろ夕方になるから狼共が出て来るぞ・・・」


周辺に気配を巡らし敵の襲撃を予知するシーフの男が角に近づき耳打ちする・・・


「ああ、分かってる・・・・手筈は分かってるなぁ~w」「はぁ~本当にやるのか?協会の職員もいるのに・・・」


「当たり前だ・・・俺をコケにしてくれた事後悔させてやる・・・」


俺たちは町の入り口から数キロ離れた商店街の様な入り口に差し掛かると


「おい、無能!ここからは荷物は邪魔だ置いてく、各自回復薬や武装を補充しておけ」角からの指示に従って各自俺の降ろした荷物から自分の受け持つ武器やアイテムを補充すると


「さてぇぇ―――此処からは・・・・・無能!お前が先頭を進め!」


「え?」「はぁぁ~何冗談言ってんのよ!!」「これが目的なのね・・・」驚く俺に怒る五月と何か察したような雫


「ちょっと待って下さい!角様、進様は討伐クエスト初心者です!それを中級魔物が出る可能性のあるエリアの先頭を歩かすとか!」


角の方へ詰め寄る真理恵さんに下卑た笑みで告げる

「俺がこのパーティーのリーダーだ、俺の指示に従うんだろ?協会の担当のくせに契約内容を無視するのかぁ?キャハハハ」


「クッッ!!」


「おい!オッサンボケっとしてないでさっさと先頭を歩けよ!!」


そういうと俺を蹴り飛ばして前を歩かす


「アンタぁぁ!!いい加減にぃ「いいんだ!早く行こう手遅れになる・・・」・・進・・・」


俺は角の方角の指示に従い周囲に注意しながら前にすすむ・・・(おかしい・・・ここまで1時間以上も敵の縄張りに籠っているのに一向に魔物とエンカウントしない・・)


「おい、そこで止まれ」角からの待ての指示だ


「お前らあそこにダンジョンの入り口が見えるだろ?そこが奴らの縄張りのアジトだ・・・オッサンw俺の言いたい事が分かるかぁ?」


(あの地下鉄の入り口みたいなのがダンジョンか・・まぁ・・やはり・・・そういう事だよな・・・)


「俺が単独でダンジョンに侵入して敵を出来るだけおびき寄せて外まで連れ出して、そこをハンター達で一網打尽にする・・・」


【パチパチパチパチ】「おおお良くできましたぁ~100点だ!能力は無能だが頭は回るらしいなぁイイねぇ――それじゃ早速いってみよう!!」


流石に黙ってられない五月と雫は角に対し怒りを爆発させる


「アンタ!!なんで進がそんな危険な役を引き受けなきゃいけないのよ!!」「そうよ、そもそもAランクの貴方が率先して行くべきでは?」


「進様は今回サポーターとして参加してます!直接戦闘になる様な状況は避けるべきです!!」真理恵さんも必死で角を説得するが


「はぁ~・・ここに来てリーダーの指示に従えないならこのクエストはリリース(破棄)って事で俺たちは引き上げるけどぉ?」


下卑た目で俺を見ると「じゃそう言うことで」と来た道を引き返そうとする角達・・・・


「わかった!俺が行く・・・五月・・雫・・・友達は俺が必ず助けてくるから・・・後は頼んだ!!」


そう言残し俺は地下鉄の入り口の中に走って突入した・・・・

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