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第16話 Aランクファイター


翌朝俺は昨日二人に言った通り、街を少し見て回る事にした、道中働いてるコンビニの前を通ると補修工事中だったが結構補修が進んでて思ったより早く再開出来そうだ


武器屋や道具屋らしき店を少し見て回って、昨日お邪魔した協会の前を通り掛かると、数人が集まっていた


(ん?あれは真理恵さん・・・一昨日はお世話になったし挨拶くらいはしておこう・・)


おれは人だかりの外で様子を見ている真理恵さんに近寄ると


「あ、あの真理恵さん・・・先日はどうもお世話になりました・・」


俺の声に気づいて振り返ると、先日別れた時と違い笑顔で答えてくれた


「あ、進様おはよう御座います、本日は協会に御用ですか?」


俺はただ町を散策してるだけだと、苦笑しながら答えると、真理恵さんと話してる俺に気づいた職員の一人が俺たちの元に来て見下した様な目で俺を見る


「ああ、これはこれは・・・龍道様先日は貴重な実験にご協力いただき有難うございます」


俺は職員の男性の態度に少しイラっとしたが、俺が何か言っても言い返されるだけだし・・・こういう時にコミュ障は損だな


「は、はい・・こちらこそ御無理をお願いして申し訳御座いませんでした・・・」


軽く頭を下げる俺を横目で見る男性職員は腕を組みながら明らかに馬鹿にした態度で


「ええ、全く無駄な時間でした、新しいタレントだからと調査したらまさかの無能で役立たずのタレントとかねぇ」


「クッッ」俺は悔しさに拳を強く握り歯を食いしばる


「ちょっと!高崎主任!そんな言い方あんまりです!!」

俺を庇う様に前に立ち庇ってくれる真理恵さんを無視して俺をのぞき込む様に半笑いでさらに馬鹿にする高崎という職員


「失礼失礼、無能ではなく、協会の職員をたらしこむスキル持ちでしたか、検査ではそこまで分からなかったもので、どうもすいません」


「なっ!!」「ちょっと!!高崎主任!!言い過ぎです!進様に対する暴言の数々、この事は署長に報告させていただきます!!」


何も言い返せずに悔しさに肩を震わす俺の肩にイケメンの男性が手を掛けて顔を覗き込む


「え?なにこの彼が高崎さんの言ってた無能のタレント持ちのオッサンかぁ?w」


「ちょっと、角様!彼は、前のウエアウルフの襲撃事件で勇敢にも民間人を守る為に戦った方です!馬鹿にした様な発言は撤回してください!!」


角と呼ばれたイケメンは全身を銀色に輝く鎧に身に着け派手な装飾の柄の片手剣を帯びた戦士風の姿をしていた


角は俺の為に必死に訴える真理恵さんに近寄ると顔を寄せる


「なぁ真理恵ちゃん、俺の誘いは袖にするのにこんな冴えない無能の何処が良いの?どう見てもAランクのファイターである俺の方が将来的にも安泰だし、いい加減俺の嫁の一人になる事を決心してもいいんじゃない?」


真理恵さんは角から距離を取り軽蔑した目で睨みつけ


「そ、その話は何度もお断りしてます!いい加減にしてください!!」

協会職員とは言えAランクのハンターは怖いらしく恐怖で体を強張らせて胸の前で肩を抱いていてる


「ギャハハハ、だっせぇ女一人に百戦錬磨の角様も形無しだなぁw無能のオッサンから女一人奪えないとかよぉw」


盗賊風の衣装に身を包んだ男性が角を煽ると、こちらを冷たい目で見ている魔法使い風の女性と僧侶風の女性が溜息交じりに首を振る


「はぁアンタあたし等、妻が二人いる前でナンパとか節操ないの?」

「まぁ分かっていたけど・・そんな地味な子別にいいじゃない・・・」


ギャラリーからの言葉に少しイライラする角は


「はぁ?ふざけんなよ!俺は一度狙った女は絶対に物にするんだ!お前らは黙っとけ!!」


そういうと角は真理恵さんの腕をつかんで強引に引き寄せる


「!?、や、やめて下さい!協会の職員に無理やりこんな事して問題になりますよ!!」


するとニヤニヤする角は様子を白けた目でみていた高崎に


「だってさw高崎さん」


「協会は男女間の色恋には関知しませんので」


「なっ!?」


「なぁ、クエスト終わったらホテルで食事してそのまま・・・いいだろ?真理恵ちゃんw」


「だ、だから嫌だって何度も!」


「・・・・・あ?なんだこの手は・・・・」


俺は真理恵さんの手を掴んでる角の腕をつかんだ・・・


「なぁ?なんの真似だって聞いてんだろうがぁぁぁ!この無能のニートオサッさんが!」「ギャハハハ、ニートとか良いねぇ!!」「角ぃなんかニートオッサンが言ってるぜぇw」


「はなせ・・・」


「ああ?なんだ聞こえねぇもっとハッキリと言えよぉぉああん!」


「この手を離せって言ってんだぁぁ」【バギッ!!】


「ぎゃぁぁぁぁぁぁ腕が俺の腕がぁぁぁぁ」


角は腕の籠手ごと俺に握り潰されてあり得ない方向にダレ下がった自分の腕を握って喚き散らしている


「な、なんだぁおい角、角ぃぃ!」「は、早く治療を!!」「わ、分かってる!!我求めるは万物の癒し、神の神秘の光を我に、ハイヒール!!」


僧侶の女性の放った淡い光の波動が角を包むとだらしなく垂れ下がった腕が元に戻っていく


「はぁはぁはぁ・・・・てめぇぇ俺にこんな事して覚悟はできてるなぁ!!ぶっ殺してやる!」


角は治してもらった腕で片手剣を抜く


「止めて下さい!!こんな協会の前で私闘に及ぶとか正気ですか!!」


「うるせぇぇ!これは私闘じゃなく正当防衛だぁ!!そうだな高崎主任!!」


完全に正気を失ってる様子の角は振り返りもせずに真っ直ぐ俺を殺意の籠った目で睨みつける


「まぁ私は自分の点数が下がる様な面倒は御免なので何も見てない、そういう事です・・・」「そ、そんな主任!!進様逃げてぇぇぇ!」


「逃がすかよ!食らえぇぇぇパワースマッシュ!!」「きゃぁぁぁぁいやぁぁぁぁ」


俺は両腕をクロスして腕に力を込める


【パキッン!】


俺の背後にクルクルと回転しながら角の振り下ろした剣の先が折れて地面に刺さる


「え?・・うそだろ・・・俺の剣が・・・・」柄の部分と無残にへし折れた剣を握ったまま固まっている角に


「これは正当防衛って事でいいんだよね・・・」おれは拳に力を込めると【バギィィィィ】角のお腹に正拳突きを食らわせると


装備していた銀色の鎧は粉々に砕け角は白目を剝いて吹き飛び協会の入り口のドアを突き破って気絶した


「あ、あなたぁぁぁ」「す、すっみぃぃ」「きゃぁぁ」


俺の事を無視して角の元へ駆け寄るパーティーメンバー、俺の方を愕然とした顔で見る高崎主任を他所に俺に駆け寄り抱き付く真理恵さん


「進様、ご無事でなによりです!!心配しましたぁぁぁうわぁぁぁん」


俺の胸で泣き出してしまい、オロオロする俺は自分のしたことに顔の血の気が引く


(はぁ・・・俺又やってしまったな・・・頭に血が上ってしまって・・・これからどうなるんだろ・・・)


俺が不安に思ってると着信の音が鳴り画面を見て慌てた高崎がどこかに電話をしながら協会のビルに消えていたった


「あ、あの・・・進様・・・私の事助けていただいて・・有難う御座います・・・また今度お礼を・・」


「あ、あああ、お気になさらずぅぅ―――!それでは失礼します!!」


俺は慌ててその場から逃げ出した・・・・・

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