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第14話 新タレントの実力は如何に?

【Dニュート】



画面に表示された俺のタレントに後ろに控えてる真理恵さんだけでなく五月も雫も驚きを隠せてない表情だ


皆の反応を見てると足元の魔法陣の光が収まり椅子に付いてる宝珠の光も消えていく


「こ、これで終わり?」


俺はブレスレットを外して椅子に置くと真理恵さん達の元に戻る


「あ、あの・・・進様・・私が存じていたファイターのタレントでは無くDニュートというのは・・・私も存じ上げないタレントでして・・」


「こ、これて新タレントって事よね!?」「すこいじゃない!すすむん!」


俺の両手をそれぞれが握り目輝かせて喜ぶ五月と雫


「そ、それって珍しい事なの?」


「珍しいとかいうレベルでは有りません!!ここ数百年クラスチェンジ以外で新タレントが発現するのは無かった事です!!」


興奮気味に俺につめよる真理恵さんの背後から先ほど上の部屋から装置を操作していた職員の人たちが3人を押しのけて俺の周りを囲む


「ちょ、ちょっと!!」「進様に乱暴な事は辞めて下さい!!」「す、すすむん!!」


職員は3人を無視するとおおよそ人を見る目ではない冷たい目で俺をみて


「龍道様・・申し訳ございませんが此処からは我々の調査にご協力いただきます」


「そ、そんなぁ・・・」


「申し訳ございませんが、貴方に拒否権はありません・・協会の権限ですので」


「ま、真理恵さん・・・」助けを求めるように真理恵を見るとスッとバツが悪そうに目線を外された


「五月・・雫・・」二人も同様に目線を外し俯いている


「ご理解頂けたなら此方に・・・ああ、お連れの方も犬飼君も同席してもらっても構いませんよ?我々は非人道的な実験をしてないという証人も必要ですから」


職員に囲まれたまま奥の真っ白な部屋に案内された俺は幾つかの実験をする事になった


『ではまず武具の熟練度の確認です、そちらに一般的な剣、短剣、弓、槍、斧がありますので装備して目の前のダミー人形を攻撃してください』


ガラス張りの奥の部屋で装置を眺めてる職員達の様子に後ろに控えてる五月達も緊張で息を飲む


部屋の中央には人型をした金属製の人形が佇んでいた、俺は剣を手に取り人形に構えると・・・


【ポロッ】・・・慌てて拾い構えるが【ポロッ】


『・・・・・』


『龍道様は剣に適正が無いようです・・他の武器に移ってください』


『次へ』『次へ』『次へ』


俺は最後の武器弓を構えると矢を引き絞る・・・・【ボヨォ~ン】俺の手から矢が滑り落ち後ろに間抜けに落下する


『・・・・・もう結構です、次は魔法適性を確認します』


『横にある魔法の詠唱とイメージする内容が書いた本を読んで頂き初級の魔法から確認させていただきます』


俺はさっきのテーブルの横に置いてある初級魔導書を手に取る・・・平仮名ばかりだな・・裏を見ると「小学生向け」と書いてあった・・・


(ええっと・・・まず心を落ち着かせて頭のなかでロウソクに炎を灯すイメージを作り、利き手の掌に意識を集中しましょう・・・か)


(そして、ゆっくりと目を閉じて呪文を唱える・・我求めるは赤き炎、ファイアー・・か、なるほど店長が使ってたやつか・・あれで初級なんだ)


俺は本を机に置くと、人形の前に立ち右手をかざして目を閉じる(意識を手に集中・・・集中・・・)


「我求めるは赤き炎・・・ファイア――」


「・・・・・・」


「・・・・・・」


「我求めるは赤き炎!ファイア――!!」


「・・・・・・」


「・・・・・・」


『攻撃呪文の適性も無さそうですね』


「ま、待って下さい!!他の呪文も確認させてください!!」


『はぁ・・・まぁ・・・わかりました・・・気の済むまでどうぞ・・』


「我求めるは猛き風の刃・・ウインドカッター!」「我求めるは怒れる大地の槍 アースランス!」「我求めるは青き氷の弾丸 アイスバレット!」


『・・・・・そのくらいで宜しいですか?』


「・・・・・はい・・・」


『最後に治癒魔法の適性ですが・・ダミー人形での確認が出来ませんので室内の測定器での判断となります、準備ができ次第詠唱お願いします』


「我求めるは癒しの手・・・ヒール」『・・・・・』「・・・・・」


俺は恐る恐る真理恵さんと五月、雫の方を見ると・・・残念そうに俯きながら首を振る・・・


「そ、そんな・・・・俺って・・・もしかしてこの世界では全くの無能で役立たず・・・なのか・・」


膝から崩れ落ちる俺に職員達は溜息目じりに実験の終了と俺には部屋からの退出を命じ、俺は肩を落として実験部屋を後にする


くそっ【ドッン!!】壁を叩くと壁が震える・・・


長い廊下を抜けて入り口に戻ると、真理恵さんと五月、雫が待ってくれていた


「そ、その・・・進様・・・なんと言っていいのか・・」


「そ、そうだよ・・ゆっくり考えよ・・きっと何か出来る事あるって!」


「そうね・・・私たちで出来る事を一緒にさがしましょう」


「・・・・ありがとう・・皆・・・ごめん少し一人にしてくれるかな・・・悪いけど俺先に帰るよ・・」


背後で何か俺に言いかけた五月を雫が制止して首を振る、おれは「じゃぁお疲れ様です・・」と挨拶してトボトボと家路についた


(こっちの世界の龍道 進はファイターのタレントを持っててある程度必要とされてた人間だったのに・・・俺には何もない・・・はぁ・・・これからどうするかな・・・)


その日は柄にも無く酒とツマミを買い込み、自宅に戻ると大して強くないアルコールに逃げて現実逃避した




・・・・一方その頃の協会実験室にて


「・・・ん?主任・・・ダミー人形のここ・・・何でしょう・・」


職員がダミー人形に出来た糸屑のような傷を触ろうとすると【ドガァァァァン】「うわぁぁぁ」


その瞬間に人形と実験室の入り口付近の壁が粉々に吹き飛んだ・・・


「何してんだ!!」


「も、申し訳御座いません!!」


・・・・・な、なんだったんだ・・あれは?





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