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第13話 俺の【タレント】を確認しよう



初めて足を踏み入れた協会の受付の女性に急に抱き付かれて今おれは混乱してる


「すいません、真理恵さん?俺貴方と面識がありましたでしょうか?」


そういうと絶望的な表情を見せる真理恵さん


「そ、そんな・・・あんなに足を運んでくれたのに・・忘れてしまったんですか!?私ずっと進様の担当をしてたのに・・・ひどい・・」


どうやらこの人はこの世界での龍道 進と縁がある人らしい


『雫・・どうしよう・・・この人には正直に言うべきかな・・』


『ここは私に任せて・・』


そう言うとシクシクと泣いてる真理恵さんと俺の間に雫が割って入る


「実はすすむんは、昨日のウエアウルフの襲来の時に大きなダメージを受けて何とか私両親が経営してる病院で傷は治療は出来たのですが、出血が多すぎたのか記憶を無くしているんです」


「!?本当ですか!あのウエアウルフの襲撃の話は伺っております!そうですか・・・数名の怪我人が居るとは聞いてましたが・・進様が・・」


雫のナイスフォローで何とか納得してくれた様子の真理恵さんは涙を拭うと、笑顔で俺に向き直り


「知らなかったとは言え、混乱させてしまい失礼しました、記憶は残念ですが・・・その・・進様がご無事で私・・・いえ・・ご無事で何よりです」


「あ、はい・・・ありがとうございます・・その俺もご心配をおかけした様で申し訳ございませんでした・・」


「改めまして、私協会の職員でハンターの方を担当させて頂いております、犬飼 真理恵と申します」


「あ、俺・・僕は龍道 進です・・・記憶がなくて自分が何者なのか分からないので本日はご相談に寄せていただきました」


俺の事を心配そうに見つめてくる犬飼 真理恵さん、偶然にもドラゴンロードの教会のシスターと同じ名前で一瞬名前を呼ばれたときにドキッとした


彼女はシスターの様な恰好をしており髪の長さまでは分からないが少しだけ覗いてる前髪の様子から茶色の髪の毛の様だ、お世辞では無くとんでもない美女で落ち着いた雰囲気の中にあどけなさの残る大きな瞳、そして左の目元にある泣き黒子がまた庇護欲を抱かせる


流石にシスターの服装でスタイルまでは分からないが、出るところは出て引っ込むところは引っ込んでるのは、雰囲気から分かる


「あ、あの・・私の事をジロジロ見てらしたけど何か思い出したのですか?」


「あ、いえ・・申し訳ありません、そ、そのすごくお綺麗な方だと・・・」


俺の言葉に大きな目を余計に大きくして顔を真っ赤にして顔を背ける


「か、揶揄わないでください!!進様はそんなお世辞を言う人では有りませんでした!」


そんな真理恵さんの言葉に激しく同意する五月と雫は「うんうん」と力強く頷いている


「そ、それより・・本日はお時間も無いと聞いてますので・・・その・・急いだほうがよろしいのでは?」


俺の言葉に3人はハッとして慌てて俺を【鑑定室】に案内してくれた


部屋の中には宝珠が彼方此方にはめ込まれた椅子とその下には魔法陣が書かれていた、目の前には大きなディスプレイが置いてある


「では進様、まず此方のブレスレットを両手に嵌めてからそちらの椅子にお掛けください」


言われるまま渡されたブレスレットを両手に嵌めてから椅子に座るとさっきまで気づかなかったがディスプレイの上の方にガラス張りの部屋があり複数人の職員らしき人たちが何やら装置を操作しているのが見えた


「進様検査自体はすぐ終わりますが、なにぶん小学生向けの検査機械で成人した大人に使用するのは初めてですので調整に時間がかかるようです、少しお待ちください」


「いえ、こちらこそご面倒をお掛けして申し訳ございません・・・」


俺は先ほど嵌めたブレスレットが手に馴染まなくて、必死で自分の身体に押し当てて落ちない様にしていた


「進様・・・記憶を無くておられるのは理解しましたがご自身の【タレント】が分からないとの事ですよね?・・・私の記憶が確かなら【ファイター】の【タレント】だったと思ったのですが・・・」


(盲点だった・わざわざこんな装置で【タレント】を調べなくても、俺の事を知ってる担当の真理恵さんなら当然知ってるはずだ・・しかし今の俺は真理恵さんの知ってる進ではないからな・・)


「ああ、それなんですが、これも後遺症かもしれないのですが、すすむんはナイフが装備出来なくなってる様で今の時点で【ファイター】っていうのが疑問なんですよ」


すると真理恵さんは少し考えている様子で


「瀕死のケガから復活した方の【タレント】が変わったなんて話は聞いた事ないのですが・・確かにナイフが装備出来ないのは変ですね・・・」


「そう、だからここで進の【タレント】を鑑定してもらった方がハッキリすると思うのよね」


そう言う五月に真理恵さんは優しく微笑み同意する意味で大きく頷く


すると奥のガラス張りの部屋から何やら無線で真理恵さんに指示があった様だ


「進様、ようやく準備が出来た様ですので早速開始させていただきます・・宜しかったでしょうか?」


「はい、宜しくお願いします」


俺の返事を聞いた真理恵さんは上の部屋でこちらを伺ってる職員の人に手を上げて合図を送ると五月と雫をつれて魔法陣の範囲から外に移動する


【ヴゥゥゥ――――ウゥ――――】魔法陣が発光すると椅子の周りの宝珠が淡い光を宿す


すると目の前のディスプレイが点灯し画面に魔法陣が出てきてクルクルと回りだす(見てると酔うな・・・)


おれは目を瞑り結果が出るまでの時間を耐える・・・


「あ、進様結果が表示されます!」


おれは真理恵さんの声に反応しそっと目を開けると・・・・画面の表示を読み上げる


「Dニュート・・・?」「「「Dニュート?」」」


上の部屋の中がザワザワと騒がしくなる


どうやら俺の【タレント】はこの世界ではあり得ない誰も知らない新しい職業の様だ・・・






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