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第6話 夢と分かれば気も大きく!

「二人で俺の事、思いっきり殴ってくれ!」



「「・・・・??・・・はぁ?」」



俺の真剣な表情のアホなお願い事に言葉を失い、お互いの顔を見合って五月と澪は納得してないがゆっくりと頷くとそれぞれ右手と左手を思いっきり振りかぶる、目を瞑って待っている俺の顔面めがけて勢い良く振り抜く


【バシッッ!!】


乾いた音が病室内に響きコダマする


(・・・・・・全然痛くない・・)


俺は頬を二人のビンタで挟まれて、不細工な顔のまま目を見開き両手を広げ二人を抱き寄せる


「きゃっ!」「あんっ♡」


驚く五月と恍惚な表情の澪は俺の胸に顔を埋める


「ありがとう!!二人とも!よかった――――!!」


(やはり夢だったんだ、刺されたはずのお腹も傷一つないし、いつも冴えない俺の事を馬鹿にしてる美人女子高生二人から同時に愛の告白とか、身の程知らず過ぎて有り得ないしな!)


「最高な夢だよ、二人ともありがと!」


「ん?夢?夢みたいに嬉しいって事なの?」


「うふふ、すすむんにはこれから、もっと気持ちいい夢を見せてあ・げ・る♡」


俺に抱きしめられた二人は顔を赤くして、俺の頬にそれぞれ顔を寄せると【チュッ】とキスをした


「す、進・・その、これからも・・宜しくね・・・」


「末永く傍に置いて沢山愛でてね♡」


「ああ!二人ともドンと俺についてこい!!」


夢の中くらいはイケメンムーブさせてくれぇぇぇどうせ起きたら誰も居ない病室で寝たきりなんだから・・・




そのあと、看護師さんが俺の様子を伺いに病室に来ると二人と何やら話をして納得したのか


「お嬢様方からの報告を聞いて龍道様は完治したという事なりますのでこの後、退院となります」


(普通検査とか診察とかして判断するはずだけど・・・まぁ実際に体はなんともないし・・それにこれは夢だしな!ご都合展開大歓迎!!)


「わかりました、それで・・費用の方は・・・・」


「費用は発生してません、当病院のご令嬢である澪様を助けるためにダメージを負った龍道様から治療費はいただけません」


(なんか引っかかるが、夢の中とは言え無料はありがたい)


「では、すすむんの荷物は、後日わ・た・し・が♡ 届けにいくねぇw」


自分の唇に指を添え上目使いで妖艶にウインクする澪 (爆乳が視線を釘付けだ!)


「ちょっ!私も行くし!」


「あぁ~はいはい」


五月に対し冷めた目で適当な相槌をする澪にイライラする五月はギャーギャーと揉めだした


【ポンポン】


おれは二人の頭を優しく叩くと微笑んで


「二人とも仲良く一緒においで」


そう告げると潤んだ瞳でコクコクと頷き、看護師さんに苦笑されていた




俺達が病院の玄関口に着くと、目の前に見たことない大きな高級車が2台停まっていてそれぞれ運転手が頭を下げて待っていた


「進?もしよかったら家の車で送ろうか?」


「あらぁ?それなら家の車でおくるよ~♡」


また喧嘩が始まると面倒なので二人に丁寧に断りを入れて歩いて帰る事を告げた、二人とも残念そうにしていたが「また家に遊びに来るんだろ?」と告げると満面の笑顔で車から顔を出して手を振りながら帰っていった


俺も手を振りながら笑顔でお別れしてふと気付いた


「し、しまったぁぁぁぁ、どうせ夢ならせっかく好きといってくれた美女で初体験済ませれば(夢で初体験は違うけど)良かったぁぁぁぁ」


俺の心の雄たけびは声に出てたようで、見送りにきていた看護師さんや通院してきた患者さんに軽蔑の目で見られていまった、おれはその場から足早に帰宅するのだった




「ふぅ―――っ」



久しぶりに2駅分を歩いたけど、街並みが少し違っているようだった、協会という看板が上がった大きな建物やウエポンショップという小さな店が何軒か見えて結構な人が出入りしていた


(まぁ夢だしな、俺の記憶が曖昧な所は適当なんだろうな、それも俺らしい!うんうん)


【ガチャ】


玄関で無造作に靴を脱ぎ、ふと横の下駄箱にある鏡をみる・・・


「あれ?俺前髪ってこんな短かったかな?そういうえば視界に前髪がかからなかったな・・・まぁいいか・・夢だから散髪したての自分が登場してるのか」


リビングに入ると両親の写真と遺影に手を合わす


「父さん母さんただいま」


自分の部屋は現実と同じ間取りだった自分の記憶がはっきりしてるところはしっかり反映されてるようだ


「そういやもう賞味期限が切れたかな・・サンドイッチ・・・」


思いだった様に冷蔵庫を開けて以前もらって帰ったサンドイッチを探す


「あれ?無いな・・・食べちゃったかな・・・あ、でも代わりにメロンパンがあるな・・・」


【消費期限:龍壮暦1224年5月25日】


(ん?なんだこれ?龍壮暦《りゅうそうれき》??俺の頭どうなってるんだ?こんな細かいとこまで設定反映してるとか・・行き過ぎでしょ・・はぁ~)


俺は袋を破り中のにおいを嗅ぐ


「うん、大丈夫そうだ・・まぁ夢だし傷んでても問題ないだろ」


そういうと一口かじると、お腹が空いていたのかあっという間に食べきった、そのまま軽くシャワーを浴びると・・・


「うわぁぁ元々無駄に筋肉ついてたけど、これって・・・ムキムキじゃないか・・ボディビルダーみたいだな・・顔も少しだけ男前になってるみたいだし」


脱衣所にある洗面台の前で、柄にもなく決め顔とマッスルポーズをして自分の夢の理想の姿を堪能する


(・・・・・阿保らしい・・現実とのギャップに萎えるだけだ・・・)




「よし!では夢の中でもドラゴンロードを堪能しよう!!」


実はこれが一番楽しみでもあった、部屋の中のレトロゲームを立ち上げる・・・・・・が




(・・・・・電源入ってもゲームが起動しない・・・夢だからか・・・しようがないな・・・寝るか、夢だけどw)



諦めて布団に入ると直ぐに眠気が襲ってくる


(あぁ~あ、起きたら病院で寝たきりか・・・・五月と澪・・可愛かったな・・夢ならもっとエロい事堪能しとけばよかった・・)






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