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巻ノ二十二

                 巻ノ二十二  徳川家康という男

 幸村主従は東海道をさらに下り浜松から駿府に向かった、駿府まではすぐだった。

 その駿府に着いてだ、家臣達はまずはその見事な町並みを見て唸った。

「見事」

「噂には聞いていたが」

「これはまさに小京都」

「整い栄えていて」

「実によい町だな」

「今の徳川殿の拠点に相応しいな」

 幸村もこう言う、その駿府の町を見つつ。

「三国一の町、この町からだ」

「徳川殿は三国を治められている」

「今は、ですな」

「そして甲斐、信濃にも兵を勧められ」

「より大きくなられていますか」

「上田の来られれば迎え撃つしかないが」

 それでもとだ、幸村も言う。

「しかしじゃ」

「はい、この町はです」

「まことによい町です」

「人は多く顔も明るく」

「見事な賑わいです」

「徳川殿が幼き頃、若き頃過ごされた場所でもあるが」 

 今川家への人質としてだ、そうした意味では彼にとってはあまりよい場所ではない。

「しかしじゃ」

「徳川殿はこの町がお好きですな」

「実は」

「確かに三国を治めるのに最もよい場所ですが」

「それと共にですな」

「この町がお好きなのですな」

「そうであろうな」

 まさにとだ、また言った幸村だった。

「だから駿河を手に入れられてすぐにじゃ」

「この町に入られた」

「そういうことですな」

「そしてこの町から百万石のご領地を治められ」

「さらに、ですな」

「そうじゃ、しかし徳川殿は」

 その家康についてだ、幸村は少し首を傾げさせて考える顔出述べた。

「どうも東に、東に向かっておられますな」

「そういえばそうですな」

「確かに」

「岡崎から浜松、そしてこの駿府と」

「徳川殿は東に拠点を移され続けています」

「前右府殿は都に近付かれていた」

 信長は、ともだ。幸村は彼の話もした。

「那古屋から清洲、小牧、岐阜、安土とな」

「でしたな、あの方は」

「次第にでしたな」

「都に近付かれていました」

「しかし徳川殿は」

「意識しておられぬ筈じゃがな」

 それでもというのだ。

「結果的にそうなっておられる」

「東に東にと」

「拠点を移され続けている」

「そうなっていますな」

「これは国を治めるに相応しいからじゃな」

 徳川家の領地をというのだ。

「三河一国なら岡崎で」

「遠江を手に入れられてから浜松」

「三国を手中にされて駿府」

「その様にですな」

「岡崎は小さい」

 町も城もというのだ。

「三河一国を治めるにはよいが」

「それが遠江もとなりますと」

「両国を治めるには都合が悪い」

「だから浜松に移られた」

「そうなのですな」

「そうじゃ、そして三国になると今度は浜松では手狭じゃ」

 この町もだ、三国合わせて百万石を治めるには小さいというのだ。

「それで駿府に移られたのじゃ」

「そういうことですか」

「その領地を治めるのに相応しい場所がある」

「その国が広ければですか」

「それなりにですか」

「そうじゃ、羽柴殿が拠点を大坂にされたのも」

 それもというのだ。

「あの地が天下を治めるのによい場所だからじゃ」

「確かに。言われてみれば」

「あの地はよい地ですな」

「天下を治めるには」

「左様ですな」

「羽柴殿はそれがわかっておられるからじゃ」

 だからだというのだ。

「あの地に入られたのじゃ」

「近江のご自身の城から」

「あそこにですか」

「姫路にも城を持っておられましたが」

「あの地に入られたのですか」

「そうじゃ、前右府殿も安土におられたが」 

 信長の話がまた出た、幸村の口から。

「あの地が武田、上杉にすぐに対することが出来て都に近くてな」

「天下を治めるにですか」

「よいからですか」

「後に大坂に入られるおつもりだったとも聞いておるが」

 信長もまた、というのだ。

「しかしじゃ」

「安土もですか」

「天下を治められる場所」

「そうでしたか」

「今はあの有様じゃがな」

 寂れて、というのだ。

「それでもじゃ」

「あの地も」

「天下を治められた地」

「そうでありましたか」

「その大坂や都と同じくな」

「それと鎌倉ですな」

 筧はここでこの地を話に出した。

「東国に行かれるのならあちらにも寄りますな」

「うむ、そのつもりじゃが」

「かつては幕府もありましたし」

「うむ、あそこもな」

「天下を治める地じゃ」

 その鎌倉もというのだ。

「だから頼朝公もあの地に入られたのじゃ」

「東国にもそうした地があるのですね」

 海野は幸村と筧の話を聞いてしみじみとして述べた。

「鎌倉の様な場所が」

「そうじゃ、天下を治められる地がな」

「だから鎌倉幕府はあそこにあったのですな」

「そういうことじゃ」

「でjは小田原は」

 穴山は幸村が駿府の次に向かおうと言っているその地のことを問うた。

「どうなのでしょうか」

「あの地か」

「はい、北条家の拠点である」

「確かに小田原は大きいと思うが」

 しかしとだ、幸村は穴山に首を少し傾げさせてから答えた。

「どうであろうな」

「天下の地かといいますと」

「違うやも知れぬ」

「左様ですか」

「関東は治められるであろうが」

 この地はというのだ。

「天下はどうであろうな」

「天下を治めるには地も必要ですが」

 根津も言う。

「その地は多くはないですな」

「その通りじゃ」

「東国では鎌倉だけでしょうか」

「どうであろうな、近畿には都と大坂、安土にじゃ」

 信長はさらに言った。

「奈良もそうであったがな」

「奈良もですな」

「だからそこに都が置かれたのじゃ」

 平安の都に移る前はというのだ。

「あの地にな、もっともあの頃はまだ天下は今よりも狭かった」

「そういえばまだ東国は完全に収まっていませんでした」

 伊佐が幸村の今の言葉に応えた。

「みちのく等も」

「東国が収まるのは平安の後じゃ」

「坂上田村麻呂公よりでしたな」

「それまでは本朝であって本朝でなかった」

「政が届いていなかった」

「そうであった」

 奈良が都であった頃はというのだ。

「あの頃の本朝は奈良で治まったが」

「今は」

 由利はあえて幸村にだ、ここで問うた。

「違いまするな」

「うむ、奈良で治めるには天下は広くなった」

「では今の奈良は」

「天下を治められる地ではない」 

 そうなったというのだ。

「やはり天下を治められる地は少ないな」

「四つしかありませぬか」 

 少し眉を顰めさせてだ、望月は言った。

「都と大坂、安土、そして鎌倉」

「それだけか」

「やはり少ないですな」

「この駿府は違いますな」

 清海は一行が今いる駿府のことをだ、主に尋ねた。

「天下を治められる地では」

「この三国を治めるには最適じゃがな」

「駿河と遠江、三河を」

「最もよい場所であるが」

「天下を治めるにはですか」

「小さいししかも場所がよくない」

「場所もですか」

 駿府のその場元聞いてだ、清海は言った。

「よくありませぬか」

「東海道の通り道じゃ、それではな」

「通り道に過ぎぬが故に」

「道をはじめて終わらせられる様な地でなけえれば」

「天下を治める地にはなれない」

「そういうことじゃ」

「そういえば安土は」

 猿飛が気付いた、この地について。

「あの場所は琵琶湖に面していて道も開けており」

「便がよいな」

「だからですか」

「四神相応ではないというが」

「天下を治められましたか」

「そうなっておった」

 幸村は猿飛にも話した。

「もっとも大坂の方がよいであろうがな」

「道については」

「そうじゃ、そして四神が揃っておるのが都じゃ」

 まさにその地だというのだ。

「青龍、白虎、朱雀、玄武がな」

「四霊獣ですな」

 霧隠は四匹の神獣の名を聞いてすぐに言った。

「あの獣達が都にはしかといる」

「西道がある」

 幸村はまずはその地から話した、白虎のいる。

「そして北は山、東は川、南は平野」

「その全てがあるからこそ」

「都は御所がありな」

「そしてですか」

「他の地よりも天下を治めるのによいのじゃ」

 そうなっているというのだ、都は。

「とはいっても都は御所の公卿の方々がおられ」

「あの方々がですか」

「おられるからこそ」

「そこに何かありますか」

「公卿の方々の政と武家の政は違う」

 幸村はこのこともだ、家臣達に話した。

「平家はそこを見誤ったのであろう」

「平清盛公は」

「あの方は」

「だから都におられてじゃ」

 そして、というのだ。

「公卿に完全に入られて武家の心を忘れ」

「敗れ去った」

「そうなりましたか」

「そして頼朝公はわかっておられた」

 鎌倉に幕府を置いたこの者はというのだ。

「だからああした政をされてじゃ」

「都ではなく離れたあの地におられた」

「そうでしたか」

「室町幕府もな」

 この幕府についてもだ、幸村は話した。

「都にあったが」

「それが、ですか」

「よくなかったのですか」

「あの幕府にとって」

「確かに都は天下を治めるべき地」

 このことは確かだとだ、また言った幸村だった。

「間違いなく、だが」

「御所があってですな」

「そして公卿の方々もおられる」

「だからですか」

「その方々の影響も受けてじゃ」

 そしてというのだ。

「公卿の方々の世界にも入り、また武家の政も忘れ」

「そうしてすか」

「室町幕府もでしたか」

「平家の様に、ですな」

「武家でなくなっていたのですか」

「武家ではあったが」

 しかしというのだ。

「かなり公卿の色が入っておったのは間違いない」

「歴代の公方様は公卿の方々と親しかったですし」

「そのこともあって、ですな」

「しかも都で御所の政にそのまま入った」

 やはりだ、平家の様にというのだ。

「そこに入って動けず傍で見てそちらで動いて余計な力を使ってしまい」

「天下自体をですか」

「広く治められなかったと」

「そう仰るのですな」

「そうであった、やはり都にはじゃ」

 幸村は結論から述べた。

「武家はあまり入らぬ方がよい」

「ですか、だからですか」

「頼朝公は鎌倉におられ」

「前右府殿も羽柴殿もですな」

「安土や大坂におられるのですな」

「そういうことじゃ」

 幸村はこう結論付けた。

「都から離れた方が都をよく見られるし」

「都への政もしやすい」

「そういうことですか」

「下手をすれば木曽義仲殿になってしまう」 

 その頼朝に討たれた男だ、頼朝とは同じ源氏であり源義仲といった。幸村と同じく信濃の者であり木曽にいたのでこう呼ばれている。

「あの方は都のことをご存知でなく」

「都に入られて」

「そして、でしたな」

「無残な最期を遂げられましたな」

「あの方の振る舞いも問題があったが」

 兵糧の調達で都の民から無理に召し上げた、そのことがというのだ。

「しかしな」

「それでもでしたな」

「都の公卿の方々の政に惑わされ」

「謀にもかかり」

「あの様に」

「特に法皇様にじゃ」

 後白河法皇だ、頼朝をして天下の大天狗と言わしめ平清盛ですら容易に太刀打ち出来る相手ではなく苦しめられた。

「惑わされた」

「そして法皇様に追討の院宣を出され」

「頼朝公に討たれましたな」

「頼朝公の弟であられた義経殿に」

「そうなった、そしてその義経殿もじゃ」

 その彼もというのだ。

「壇ノ浦の後都に戻られたが」

「そこでも法皇様にですな」

「惑わされ」

「そして結果として」

「頼朝公に」

「そもそも源氏は呪われておったのか」

 ここでだ、幸村は嘆きを含めて言った。

「まず身内同士で殺し合った」

「そういえば確かに」

「平家と争うよりもでしたな」

「まず兄弟従兄弟同士で殺し合い」

「頼朝公も」

「そして誰もいなくなった程でした」

 実朝が甥公卿に殺され誰もいなくなった、公卿もまた殺されてだ。

「身内で殺し合う愚を続け」

「後は何も残らなかった」

「それが、ですな」

「源氏の呪いでしたか」

「そうも思う、とかくじゃ」

 さらに話す幸村だった。

「義経公もじゃ」

「都に戻られたが故に」

「その政に惑わされ」

「滅んでしまわれましたか」

「だからな」

 それで、というのだ。

「武家は都に入って政を行うべきではない」

「あそこまあくまで御所ですか」

「公卿の方々の場所ですか」

「天下の心の臓にしましても」

「それでも」

「そう思う、羽柴殿はこのことでも正しい」

 秀吉、彼はというのだ。

「大坂に拠点を置かれ城を築かれたのはな。しかし」

「しかし?」

「しかしといいますと」

「前右府殿も羽柴殿も西国じゃが」

 信長も秀吉もというのだ。

「しかしな、頼朝公は東国におられて天下を治められた」

「そのことが、ですか」

「殿のお考えに入る」

「そうですか」

「うむ、鎌倉幕府は百年少しで滅んだが」

 しかしというのだ。

「東国でも天下は治められるのじゃ」

「ではまた鎌倉にですか」

「誰かが入られれば」

「それで、ですか」

「天下人になられますか」

「若しくは他にそうした場所が東国にあれば」

 それで、というのだ。

「若しやな」

「東国に入られて」

「天下人になると」

「それが出来るとですか」

「そう言われるのですか」

「そうやもな。思えばな」

 それこそとも言った幸村だった。

「ここで東国に行くのも悪くない」

「では」

「ここからですな」

「駿府を見て」

「東国にも向かい」

「あちらも見ますか」

「そうしようぞ、北条家も見るべきであるしな」

 その東国で覇を唱えてだ、真田家ともことを構えることが考えられるその家もというのだ。幸村は目を光らせて言った。

「ではな」

「はい、それでは」

「東国にも行きましょう」

「駿府、駿河も見て」

「そのうえで」

「ではな」

 こう話してだ、そしてだった。 

 一行は駿府も見て回った、そして。 

 幸村は徳川家の武士達も見た、その彼等はというと。

 どの者達も姿勢がよく逞しい身体をしていた、そして顔立ちも引き締まっている。幸村はその彼等を見て言った。

「三河、遠江の者達もじゃが」

「はい、非常にですな」

「英気に満ちていますな」

「これが徳川家の武士ですか」

「三河武士というが」

 その徳川家が出た国だ、他ならぬ。

「武勇と忠義で有名であるが」

「それが顔にも姿勢にも出ていて」

「いい顔立ちですな」

「どの武士も」

「まことに」

「そして皆鍛えられていて」

「よい身体をしていますな」

「足の動きもです」

 その捌きもというのだ。

「実によい」

「三河武士は相変わらず強いですな」

「全くじゃ」

 そうだとだ、幸村も言った。

「相手をするならばじゃ」

「手強い」

「そのことは間違いありませぬな」

「やはり」

「そのことはな」

 間違いないというのだ。

「だから用心せねばな」

「侮ってはなりませぬな」

「断じて」

「相手は誰でも侮ってはならん」

 そもそもだ。幸村はそれ自体を戒めた。

「絶対にな」

「侮ればそこに隙が出来る」

「そしてそこから敗れる」

「殿がいつも言っておられますな」

「そうじゃ、だからじゃ」

 例えだ、相手が誰であろうというのだ。

「侮るべきではない」

「そういうことですな」

「何があろうとも」

「侮ってはならない」

「相手は」

「そうすれば負けるからな」 

 それ故にというのだ。

「拙者はいつも肝に命じておる」

「獅子は鼠にも全力を尽くす」

 ここでこう言ったのは猿飛だった。

「そうですな」

「その通りじゃ」

 まさにというのだ。

「手を抜いてはならぬ」

「どの様な時も」

「何かをする時はな」

「そうですな」

「ましてやです」

 霧隠も言う。

「徳川家は今や百万石を越えております」

「当家の十倍以上じゃな」

「その相手を侮るのは愚の骨頂ですな」

「その通りじゃ」

「しかも兵も強い」

 清海も言う。

「まことに強いですな」

「そうじゃ、しかも将も多い」

 優れた将がというのだ。

「ならば侮らず、よく知ることじゃ」

「徳川家を」

「敵を知り己を知ることじゃ」

 このことが肝心だというのだった。

「何よりもな」

「さすれば百戦危うからず」 

 こう言ったのは筧だった。

「まさにですな」

「そういうことじゃ」

「しかし。妙ですな」 

 今度は海野が言った。

「尾張の兵は弱くて有名で」

「隣の三河はじゃな」

「強いとは。隣同士でこうまで違うとは」

「そうじゃな、確かに隣でも全く違う」 

 幸村は海野のその言葉に頷いた。

「これは尾張と三河だけではないな」

「ですな、甲斐と武蔵でも違いまする」

 穴山は武田の領地と北条の領地を比べて述べた。

「隣同士でも」

「そうじゃな、相模と駿河にしてもな」

「左様ですな」

「それとです」 

 望月は町中を見回しつつこんなことを言った。

「この駿府は都や大坂程ではありませぬが色々なものが揃ってますな」

「果物も豊富じゃな」

 幸村は店先のそれを見ていた。

「実に」

「蜜柑も」

「気候がよいので色々な果物も育つのですな」

 伊佐は駿河のそのことから考えて述べた。

「蜜柑にしても」

「だからじゃな」

「果実も食するべきです」 

 伊佐は微笑み幸村にこうも述べた。

「口にすると甘さや酸っぱさで元気が出ます」

「そうじゃな、甘いものもな」

「実によいですな」

「その通りじゃな」

 幸村も言う。

「果物もよい」

「蜜柑は身体によいとです」

 由利も言う。

「言われていますし」

「ここは皆で食うか」

「よいですな」

 根津も笑みを浮かべている、そのうえでの言葉だ。

「では今から」

「そうしようぞ」

 こう話してだ、そしてだった。

 幸村は家臣達を店に連れて行ってだ。そのうえでその蜜柑を買って店先に用意されている席に皆で座って口にした。その蜜柑の味はというと。

「これは」

「中々」

「いや、美味いですな」

「実に」

「そうじゃな」

 幸村も食べてから言う。

「これは実によい」

「甘くそして酸っぱく」

「甘酸っぱさが違いまする」

「いや、これならです」

「幾らでも食べられます」

「こうした蜜柑をか」

 幸村はここでこう言った。

「徳川殿は食されておるのか」

「それはそうなんですがね」

 その店の親父が幸村に応えてきた。

「実は今度の殿様はご自身が召し上がられるよりも」

「民にか」

「はい、食せよと言われるんです」

「そう言っておられてか」

「実際必要なだけ召し上がられるんです」

 余分には取らないというのだ。

「そうなんですよ」

「ううむ、無欲か」

「質素なんです」

 家康はそちらだというのだ。

「それに私共のことを常に考えておられて」

「それでじゃな」

「はい、この蜜柑も他の果物も」

 大名だからといって余分に取る様なことはしないというのだ。

「私共がふんだんに食えといつも仰って」

「その通りにか」

「して下さっています」

「そうか、善政なのだな」

「年貢等も安く悪人は許さず」

「駿府もまとまっておるか」

「いや、今川様も武田様も善政に務めてくれましたが」

 商人は幸村に満面の笑顔で話していく。

「徳川様はその方々よりもです」

「善政にか」

「務めておられます」

「そうか、道理でどの国もよくまとまっておる筈だ」 

 三河も遠江も、そしてこの駿河もというのだ。

「質素に徹しておられ善政を施されるのならな」

「いや、徳川様がおられてこそです」

 こう笑って言う商人だった、そしてその他にもだった。

 一行は駿府を巡りその様子を些細なところまで見た。そしてその結果幸村は家臣達に確かな声でこう言った。

「見事じゃ」

「はい、徳川殿もですな」

「善政に務めておられ」

「その政はです」

「実に見事です」

「まず民のことを考えておられる」

 幸村は家康の政をそれだと看破した。

「それから国を富ませてな」

「法は公平に」

「そしてご自身は質素で」

「普請には篤く報いる」

「まさにですな」

「善政の鑑ですな」

「全くじゃ、この政を天下で行えば」

 駿河等三国だけでなく、というのだ。

「天下は永く泰平になるな」

「ですな、間違いなく」

「そうなりますな」

「徳川殿の政をされれば」

「そうなれば」

「やはりあの方はじゃ」

 幸村は家康について話した、皆この夜泊まる宿の中に入ってだった。そのうえで酒を飲み炒めた豆や干し魚を肴にしている。

 そうしつつだ、こう話しているのだ。

「天下人の器じゃ」

「ですか、やはり」

「あの方は天下人になれますか」

「それだけの方ですか」

「ただの武辺の方ではありませぬか」

「徳川家は確かに武の家じゃ」 

 それで天下に名を知られている家だというのだ。

「三河武士の質実剛健な、な」

「それがよく出ているですな」

「そうした家ですな」

「しかしその政、徳川殿の器は」

「天下のものですか」

「そう思う、武だけでなく政もよい」

 それが徳川家だというのだ。

「それがわかった、やはり駿府まで来てよかったな」

「ですか、やはり」

「あえてここまで来てですか」

「徳川殿のご領地を細かいところまで見て」

「よかったですか」

「そう思う」

 濁った酒を飲みつつだ、幸村は答えた。駿河は酒も美味く幸村はこのことについても満足している。

「そしてじゃ」

「はい、さらに東に向かい」

「そしてですな」

「箱根を越えて北条殿のご領地にも入り」

「そしてあちらも見ますな」

「相模から武蔵まで見てそれから伊賀に入るか」

 若しくは、というのだ。

「上野から上田に戻るか」

「いずれにしてもですな」

「東国も見ますか」

「北条殿も」

「そうする、浜松で浪人の方に勧められたが」

  このこともだ、幸村は話した。

「実によく出来た浪人の方じゃった」

「と、いうよりかはです」

「その浪人殿は一体何者か」

「ただ出来ただけの方ではなく」

「尋常ではないものを感じますな」

「拙者もそう思う」

 実際にとだ、幸村は家臣達に答えた。

「何処の誰かは知らぬが」

「それでもですな」

「只者ではない」

「左様ですな」

「そう思う、拙者のこの旅は御主達だけでなく実に多くの者と会っている」

 このこともだ、幸村は話した。

「その中にはそうした浪人や旅の方も多いが」

「何故か、ですな」

「その旅の者等の多くが尋常な気配ではない」

「不思議と」

「妙なことに」

「うむ、そしてどの方も思えば」 

 十人の家臣達を見ての言葉だった。

「御主達と同じ気配がする」

「我等とですか」

「同じ気配がしますか」

「そういえば確かに」

「そうした方ばかりでしたな」

「老若男女全てが」

「ここまで長い旅に出たのははじめてじゃが」

 それでもというのだ。

「これだけ多くの出会いがあり多くのものを見た旅はないであろうな」

「ですな、殿のこの度の旅は」

「実にです」

「多くのことがありますな」

「何かと」

「御主達にも出会えた」

 このことはだ、微笑んで言った幸村だった。

「それだけでも大きいわ」

「ですな、我等もです」

「まさか殿にお会い出来るとは」

「いや、思いも寄らぬことでした」

「全く以て」

「運命であろうか」

 幸村は飲みつつ考える顔で述べた。

「この旅はな」

「殿が多くのものを見聞きしたことは」

「そのことはですか」

「殿にとって運命」

「そうなりますか」

「そうやも知れぬな」

 こう言うのだった。

「拙者のこの旅はな」

「我等とで出会ったことも」

「そして多くのものを見てきたことも」

「そうしたことも」

「うむ、全てな」

 それこそというのだ。

「拙者が御主達と会い多くのものを見聞きしたことも」

「そうしたことが全て」

「殿にとってですな」

「運命であったと」

「そうだったのですか」

「そうやもな」

 幸村も考えている、そしてだった。

 その話をしてだった、それからだった。

 幸村はあらためてだった、家臣達に言った。

「ではさらに東に行くとしようぞ」

「ですな、箱根ですか」

「西国と東国を分けている」

「あそこに行きますか」

「いよいよ」

「うむ、あそここそがじゃ」

 その箱根こそがというのだ。

「天下の嶮じゃ」

「その箱根に向かい」

「あの山を越えてですな」

「東国に入る」

「そうしますか」

「うむ、そうしようぞ」

 こう家臣達に言うのだった。

「是非な、しかし」

「しかし?」

「しかしといいますと」

「あの山は確かに険しいが」

 幸村が今言うのはこのことだった。

「皆で越えるぞ」

「はい、では」

「例え箱根がどれだけ険しくあろうとも」

「それでもですな」

「皆で越えましょう」

「この十一人で」

「是非共」

「越えましょうぞ」

 こう話してだ、そしてだった。

 幸村主従は家臣達と共にだ、駿府を後にしてだった。そして。

 さらに東に向かった、その彼等をだ。

 物陰からだ、ある者達がその彼等を見て言った。

「あれが真田幸村か」

「そして十人の家臣ですか」

「半蔵殿が言っていた」

「その者達ですな」

「どの者もいい顔をしている」

 中で最も風格のある者がこう言った。

「天下の豪傑達じゃな」

「ですな、まさに」

「真田家にあの者達が入りますか」

「天下の豪傑達が」

「そうなりますか」

「うむ、しかしな」

 その風格のある者は周りにここでこう言った。

「あの者達は是非じゃ」

「はい、味方にですな」

「組み入れますか」

「そうしますか」

「是非共」

「真田家自体をな」

 こう言うのだった。

「何とか当家に組み入れたい」

「しかしです」

 ここでだ、周りの中でとりわけ年配の者が言って来た。

「真田家はです」

「こちらが何を言ってもじゃな」

「かなりいい条件を出していますが」

「首を縦に振らぬか」

「どうしても」

 こう苦い声で言うのだった。

「当家には入らぬと」

「石高をそのままだと言ってもか」

「それを誓って言ってもです」

「当家は約束は守る」

 男は確かな声で言った。

「わしにしてもじゃ」

「はい、殿の律儀は天下に知られています」

「そのことは真田殿も知っている筈ですが」

「しかしです」

「まさか」

 ここでだ、男はその目を険しくさせて言った。

「既にな」

「何処かの家についている」

「そうなっていますか」

「上杉か北条か」

 まずはこの家々を挙げた。

「それかな」

「まさか」

「羽柴家ですか」

「あの家にですか」

「ついていますか」

「真田家は機を見るに敏じゃ」

 このことは天下で知られだしている、蝙蝠よりもあちこちの家につくとだ。そうした話が出て来ているのだ。

「だからな」

「羽柴家についてですか」

「家の安泰を計っている」

「だからですか」

「当家にはつきませぬか」

「そうなのですか」

「そうやもな、それならな」

 男は覚悟した顔で言った。

「戦じゃ」

「ですか、真田家と」

「そうしますか」

「上田まで、ですか」

「兵を進めますか」

「そうするしかない」

 あくまでだ、真田家が従わないのならというのだ。

「当家につかぬならな」

「ですか、では」

「その時は我等もですな」

「攻めてそのうえで」

「無理に従わせますか」

「そうする」

 こう言うのだった。

「是非な」

「そうですか、それでは」

「あの者達ともですな」

「戦いますか」

「そうする、しかし当家が勝つ」

 男は確かな声でこうも言った。

「兵の数が違うからな」

「ですな、力で押し潰す」

「そうしましょう」

「是非共」

「戦の時は」

「そのうえで信濃を全て手に入れる」

 真田家の領地である上田も含めてというのだ。

「勝ってな」

「そしてあの御仁達もですか」

「全て手に入れる」

「そうされますか」

「あの者。まだ若いがな」

 それでもというのだ。

「しかし既に大器、しかもさらに大きくなる」

「さらにですか」

「大器がさらにですか」

「大きくなる」

「そうなりますか」

「だからこそじゃ。味方にするか家臣にするか」

 強い決意に満ちた声での言葉だった。

「どっちにしても敵にすることは避けねばな」

「敵としてはこのうえない敵」

「そうなりますか」

「どうも当家は赤備えと因縁がある」

 男は顔を強張らせてこうも言った。

「武田家、そしてな」

「真田家はその赤備えを受け継いていますな」

「風林火山の旗は受け継いていませんが」

「赤備えはそのままです」

「受け継いでいますな」

「そうじゃ、その赤備えを敵に回すことはな」

 やはり強張った顔で言う男だった。

「ならん」

「ですが」

 一人の若い男が言って来た。

「赤備えはそれがしも」

「わしが命じたがな」

「はい、赤備えのその強さを」

「御主にも備えてもらいたくてじゃ」

 それ故にというのだ。

「そうさせておる」

「ですな」

「あの強さは当家も入れたい、それだけにじゃ」

「真田家はですな」

「あの御仁達も含めて敵に回したくない」

「そういうことですな」

「その通りじゃ、何とかして真田は戦を経ずして当家に入れよ」

 このことは絶対と言うのだった。

「わかったな」

「畏まりました」

「その様にしていきます」

 周りの者達も男に応えた、そうした話をしてだった。

 男は周りの者達を連れてその場を後にした、そして。

 駿府城においてだ、家康は家臣達にこう命じていた。

「甲斐、信濃は順調に攻めておるな」

「はい、戦は殆どせず」

「どの国人も我等の話を聞いて従っております」

「順調に進んでいます」

「足場は固まっております」

「ならよい、しかしじゃ」

 ここでだ、家康はこうも言った。

「北条、上杉には気をつけよ」

「両家共信濃を狙っていますしな」

「北条は甲斐もです」

「両家共我等と戦をしてでもとです」

「信濃、甲斐に入っていますな」

「そうじゃ、特に北条が厄介じゃ」

 上杉家よりもこの家だというのだ。

「何とか話で甲斐と信濃を譲ってもらいたいな」

「はい、北条家はです」

 ここで言って来たのは石川数正だった、徳川家において四天王筆頭である酒井と肩を並べる重臣であり政を得意としている。

「甲斐、信濃も確かに狙っていますが」

「も、じゃな」

「第一は関東です」

 そちらを狙っているというのだ。

「その目は東を向いています」

「だからじゃな」

「確かに甲斐、信濃を狙っていますが」

「それよりもじゃな」

「関東の国を狙いその覇者となりたいので」

「我等fが関東に攻め込まぬと言えばな」

「話が出来ます」

 北条家はそうだというのだ。

「甲斐、信濃を譲ってもらえます」

「そうした話が出来るな」

「正直北条と揉めるべきではありませぬ」

 石川は主に確かな声で言った。

「天下はこれからどうなるかわからなくなりましたので」

「近畿がな」

「そうです、おそらく羽柴殿が天下人に一番近くなりますが」

「その羽柴殿とどうなるか」

「そうです、そのことがありますので」

 だからだというのだ。

「羽柴殿と干戈を交えることになる恐れもあります」

「そのことじゃが」

 ここで家康は石川、そして他の家臣達に袖の中で腕を組み難しい顔でこのことを話した。

「今羽柴殿は茶筅殿の家臣となっておるが」

「その実は、ですな」

「そうじゃ、茶筅殿の上に立たれようとしている」

 だから天下人なのだ、主家であった織田家を差し置いて自分が天下人になる。秀吉が天下人になるということはそういうことなのだ。

「だからな」

「茶筅殿がですか」

「それに反発されていますか」

「羽柴殿に」

「おそらくそれは羽柴殿と柴田殿のことに決着がつけば明らかになる」

 その時にというのだ。

「三七殿の次はじゃ」

「柴田殿の主君であられるですな」

「あの方の次は」

「まず、じゃ」

 家康はさらにだった、顔を強張らせて言った。

「三七殿はな」

「柴田殿が倒れられると」

「その後で、ですな」

「こうなる」

 腹を切る仕草をしてだ、家康は言った。

「間違いなくな」

「主家の方であろうとも」

「前右府様のご子息であろうともですな」

「それでも」

「天下人になるからにはな」

 その秀吉がだ、

「それも当然のことじゃ」

「ですか、下克上の世とはいえ」

「羽柴殿はそこまでされてですか」

「天下人になられますか」

「それならば茶筅殿を押しのけることも当然じゃ」

 今の自身の名目上の主である信雄もというのだ。

「だからその茶筅殿がな」

「当家に助けを求める」

「そうしてきますか」

「そうなる、その前に北条家とは話をつけ」

 そしてというのだ。

「出来るだけ甲斐、信濃をな」

「手に入れていく」

「そうしていきますか」

「今の羽柴家とことを構えると甲斐、信濃どころではない」

 最早というのだ。

「全力で向かわねばならん」

「ですな、当家の力の全てを使い」

「そのうえで」

「何としても防ぎましょう」

「我等を滅ぼすことを」

「実際天下は羽柴殿のものとなる」

 家康はこのことは間違いないと言い切った。

「それはもう仕方がない」

「ですか、最早」

「羽柴殿の天下は揺るぎないですか」

「天下の流れは羽柴殿に向いていますか」

「そうなっていますか」

「そうじゃ、だからな」

 それで、というのだ。

「最後は羽柴殿につくしかないとしてもな」

「侮られてはならぬ」

「そして家は守らなくてはならない」

「そういうことですな」

「我等としましては」

「羽柴家についても一目置かれなければ意味がない」

 家康はこうも言った。

「さもなければ後々天下に侮られる」

「侮られればそれで終わり」

「そういうことですな」

「だからこそここはですな」

「侮りを受けぬ様」

「槍も取りますか」

「そういうことじゃ。もっとも領地と地位を守れればな」

 それで、ともだ。家康は言った。

「よいがな」

「守る為の戦ですな」

「結局のところは」

「それを戦い」

「そして生き残るのですな」

「そうじゃ、別に攻めることはない」

 秀吉の領地をというのだ。

「守りに徹するぞ」

「戦の時は」

「そうするのですな」

「その用意もしておこう」

 こう言ってだ、家康は今は新たに領地になった場所まで治め兵をさらに進めていた。上田まではまだ距離があり真田家には使者を送るだけだった。

 しかし上田にいる昌幸は嫡子である信之にこう言っていた。

「徳川にはつかぬ」

「そうされますか」

「どんな話を出されてもな」

 こう言うのだった、強い確かな声で。

「むしろどの家にもつかぬ」

「上杉にも北条にもですか」

「つかぬ、真田は真田でじゃ」

「この上田にいますか」

「従ってもじゃ」

 それでもというのだ。

「その下には入らぬ」

「そうされますか」

「例え戦になってもじゃ」

「どの家にもですな」

「従わぬ、それは羽柴殿でも同じじゃ」

「では天下を敵に回しても」

「どの家にも入らぬ」

 そうするというのだ。

「絶対にな」

「真田は真田として生きていく」

「そのつもりじゃ、だから徳川の話にもな」

「従いませぬか」

「そうする。ただ」

「ただ、ですな」

「徳川家とは親しくしたい」

 その中に入ることはなくとも、というのだ。

「徳川家はこれからさらに大きくなる」

「天下において」

「北条、上杉、毛利と並ぶ家になる」

「そこまで大きくなりますか」

「甲斐と信濃の殆ども手に入れてな」

 そうなって、というのだ。

「そうなる、だからじゃ」

「その徳川家とはですか」

「親しくしたい、だから御主の女房は徳川家から迎えたい」

 ここで信之自身に縁組の話もした。

「あの家の縁者からな」

「そうされますか」

「そして徳川家とも縁を作ってじゃ」

「仲よくしていくのですな」

「そうする、上杉にも北条にもそうしてな」

「勿論羽柴家とも」

「どの家とも親しくしていく」

 この考えを言うのだった。

「そして家を守る」

「そうされますか」

「うむ、ただ戦になれば」

 その時はというと。

「上田を守り死ぬ気で戦うぞ」

「わかりました」

「幸村が帰って来れば」

「そういえば幸村は東国に行くと」

「駿河からじゃな」

「そう話が来ました」

 真田家の忍は密かに幸村と連絡を取っているのだ。その者達が逐次上田に戻って報をしているのだ。

「あちらから」

「そうか、よいことじゃ」

「東国に行くことも」

「旅で色々なことを見るのも学問じゃ」

 だからだというのだ。

「それはよいことじゃ」

「ではそれから上田に戻ることも」

「よい、どうやら暫くは他の家と戦にならぬしな」

「だからですな」

「それはよい」

 こう言うのだった。

「別にな」

「左様ですか、では」

「源次郎には東国も見てもらう」

 引き続いて、というのだ。

「そしていざという時にその見聞が役立つ」

「あ奴のそれが」

「だからよい」 

 東国を巡ってもというのだ。

「それを許す」

「ですか、では」

「この旅はあ奴に任せる」

「そうしますか」

「そういうことでな。ただな」

「ただ?」

「思った以上にじゃ」

 昌幸はその目を少し動かしてから信之に述べた。

「収穫があったな」

「幸村の旅は」

「優れた者達が加わった」 

「家臣に」

「それも十人もとはな」

「天下の豪傑ばかりとか」

「そこまでとは思わなかった」

 到底、というのだ。

「十人の天下の豪傑か」

「その豪傑達が家臣となった」

「これは宝じゃ」

「当家にとってもあ奴にとっても」

「そうじゃ、宝となる」

 双方にとってというのだ。

「これは源次郎の星じゃな」

「人を集める」

「十ものな、その家臣達と共に何を為すか」 

 父としてだ、昌幸はそこに大きな期待を感じていた。そのうえで信之に言った。

「それも見ようぞ」

「では」

 信之も応えてだ、そしてだった。

 昌幸は信之と共にだ、幸村を待ちつつ政を行いそして戦の用意もしていた。昌幸は先の先を読み動いていた。



巻ノ二十二   完



                          2015・9・2

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