その時、
案の定、ヤンキー軍団から飛び出してきた3人組に、流たちはあっさり押さえつけられ、相手陣にひったてられた。
「おい、アカネザキ! 出てこいよ! 出てこねぇと、こいつらフクロにしてフルボッコにするぞ!」
「俺のダチに手出しさせねぇよ!」
「戦争は力じゃねぇ! 頭数だ! 全軍、かかれ!」
すると校舎内からバカ殿と他の部員が1ダースほど出てきた。
「
すると、頭上を数個の“何か”が飛んだ。そして、そのうちの一つが、チキンを取り押さえていたやつの顔面を直撃した。
初め、それは流の目には灰色の棒にしか映らなかった。しかし、よくよく見ると、固く絞ったボロ雑巾だった。
直撃を喰らった五東ヤンキーは自陣に逃げ帰ろうとした。ところが、「汚ねぇ!」「くんなって!」と拒絶されている。
その間にもう一度雑巾爆弾が投下され、今度は、みどりんを取り押さえているやつに命中した。
その時、自分を取り押さえているヤンキーが逃げようとしていることに流は気づいた。腕を押さえている力が緩んでいる。
今しかチャンスはない! 流は蹴りを入れた。
狙ったわけではなかったが、蹴りは相手の人間の急所を直撃した。股を蹴られた五東ヤンキーは、悲鳴もあげられずにその場にしゃがみ込む……。
「逃げるぞ!」
形勢不利と察したボスが撤退を指示した。すると、五東ヤンキー勢は、負傷者を抱えて潮が引くかのように逃げ出した。
「兄さん! 学区境まで追走します?」バカ殿が尋ねた。
「バカ! そう言って深追いするつもりだろ! やめとけ!」真王の声が降ってきた。
「こっちも撤収だ! ベルギーに訊きたいことがある」
「戻るぞ」バカ殿は部員を引き連れて校舎内に消えた。
「3バカ」上からクロシーの声が聞こえた。
「戻ろう。話を訊くのはあとだ」