「お…来たのか」
空間の亀裂から顔を出した女、シャーウィットにそんな声をかける。
「変声機…もう必要ないでしょ?」
「ああ…そういえばそうだな」
俺は首元の機械を外し、目の前の男を見る。
「顔がかわいい子は首を落として彫刻に…足がやわらかい子は足を切り取って枕に…瞳の色が珍しかったら目をくりぬいてイヤリングに!…って言ってたからな」
男の両手両足には鎖が撃ち込まれており両手両足はバラバラに。目はくりぬかれ耳は両方引きちぎられている。
「あ…ぁ…」
男からはかすかにうめき声のようなものが聞こえる。
当たり前だ。俺は今能力で【死】という概念を書き換えている。
この男がいくら重傷を負っても死ぬことはなく苦しみ続けるのだ。
「相変わらず、あなたは強いわね」
「そうか?」
俺は疑問を浮かべ、その言葉を否定する。
「俺は強くない。ただ…この都市で最も手を汚していると自負しているがな」
俺の言葉にシャーウィットはあきれたようにため息をつく。
「なぁ…シャーウィット。俺が怖いか?」
「怖い…ねぇ…別にあんたを怖いなんて思ったことはないわよ。ただ…嫌いなのは事実だけどね」
「そうか…」
俺はシャーウィットのほうに視線を移す。
シャーウィットは本部から持ち出していたであろう拳銃を俺に渡す。
「本当に…いいんだな?」
俺はその拳銃を受け取る前にシャーウィットに今一度確認を取る。
「ええ」
俺はその答えを聞くとゆっくりとその拳銃を取る。
そしてその拳銃を…
「今まで…ありがとな。シャーウィット」
「あなたは結局、最初から最後まで嫌な上司だったわ」
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一つの銃声が鳴り響く。
その刹那、鎖を打たれていた男は絶叫と同時に絶命したのだった。