「………」
目を覚ますとそこは薄暗い檻の中だった。
当たりを見渡すと、複数の血痕の跡が見える。
「あれは…?」
そこにあったのは…いや。落ちていたのは、小指だった。
誰かの第一関節から上の小指が床に転がっている。
少なくとも、ここはそういう場所なのだと理解する。
「…っ!」
動こうとしたが手足に杭のようなものが打たれ動こうにも動けない。それどころか流血の速度的に、早く治療しなきゃまずい状況でもある。
「潜入したはいいが…こっからどうするんだよ…」
身動きのできない俺はそれらしく振舞うことにした。
「誰かーーーー!助けてーーーー!」
そんな声を上げてみる。
案の定、その声は聞こえてきた。
「無駄だよ…?ここには助けなんて来やしない。ここは僕のコレクションルームだからね!!」
視界に男が入ったと思えば、薄暗い檻に光が差し込む。
その光はこの建物の照明で、俺と同じように手足に杭を打たれ血と涙を流している少女たちの姿が見える。
「さて…君はどこが一番いいかな」
「何するの…?」
「それはねぇ~君を使って作品を作るんだよ!」
男は嬉々として答える。
「女の子はとてもかわいいからね!僕がそのかわいさを作品として永遠に残してあげるのさ!」
男は笑みを浮かべ言う。
「顔がかわいい子は首を落として彫刻に…足がやわらかい子は足を切り取って枕に…瞳の色が珍しかったら目をくりぬいてイヤリングに!」
男は俺の顔をじっと見つめる。
まるで品定めされてる気分だ。
「決めた!君は耳をいただこう!!」
男は俺の耳に手を添える。そしてその瞬間、男は俺の右耳を引きちぎった。
「っ…!」
「あれ?叫ばないね…戦い慣れしてるのかな?でも残念。今君の体の自由を奪っているその杭は魔法を封じる効果がある。君がどれだけ強い魔法を使えてもここじゃあ無力だ。っと、新しい素材も手に入ったし、これで何を作るかな~」
男は鼻歌を鳴らしながら姿を消していった。
「クソっ…いってぇ…」
まずいな…さらに出血量を増やされた上にパーツを持ってかれちゃあ治療もできねぇ…
俺は急いでこの状況を打開する策を立てる。
「我慢するしかねぇか」
俺は歯を食いしばりながら両手両足を全力で動かす。
電流どころか雷でも落ちたのかというほどの激痛がからだ中を駆け巡るが、俺はただ体を動かす。
5分ほど痛みに耐え、体を押し出していると、カランという金属音と同時に杭が外れた。
だが両手両足に穴が開いた状態になりおまけに右耳が引きちぎられている。
「はぁ…ハァ…」
帰ったら絶対シャーウィットに文句言って、レビアとロバートをいっぺん殺す。
そんな決意を胸に抱き俺は檻の中で最低限の治療魔法をかける。
どうやら杭を直接触らなければ魔法が消費できるらしい。
出血を止めた俺は、檻の一部を
「逃がす気0…しかも相手は瞬間移動系か…」
俺が逃げるのは簡単だが、ほかの人を救出させるのは大変そうだ。
そんな思いを抱きながら俺は、別の檻を含めたこの空間をすべて
シャーウィットには悪いが俺を誘拐させた罰としてしばらくの間苦しんでもらうことになるが、俺は能力をフル活用して被害者を救出し記憶にある地形、治安維持局医療部門に
男が返ってくる前に被害者をすべて治安局に送り付ける。
「俺を誘拐するのが悪いんだよな…」
シャーウィットならそもそも杭をとれずにこの潜入に失敗していただろう。
レナも同様に杭を打たれた時点で敗北になることは目に見えている。
「何をやっているんだ…!!」
俺が被害者をほとんど解放した時、背後から男の声が聞こえる。
「なにって?お前には関係ないだろ?」
背を向けたまま挑発する。
「僕のぉ!!コレクションを!!!盗むなぁぁ!!!!」
男が叫ぶと同時に殺気を放ち俺の腹部に衝撃が走る。
ぽたぽたと、俺の腹部から血が流れる。
「あは…ははは…これで君はもう死ぬ…僕のコレクションを奪った罰だ!」
男は笑みを浮かべさらに深くナイフを突き刺してくる。
「ああ…これで
そう言って俺は能力を使う。
「
その瞬間、事実が反転した。