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釣り針

レナと俺は二人、本当の姉妹のように立ち振る舞いつつ街中を歩く。

と言ってもおしゃれな店に入ったり、仲良く買い物したりなんてこの都市じゃあり得ない。

せいぜいがれきにつまずかないよう妹を支える姉の役を演じるだけだ。


今回の作戦で犯人が釣れるとは思っていないが、次回以降の張り込みの際、もし犯人と接触した場合はそのまま被害者っぽく振舞いその犯人の拠点をたたくのが目標である。

故に今回、レナには人質になってもらう手はずになっている。

まぁそもそも俺が張り込みをするのは今日一日だけで、次回からはシャーウィットが姉役をする予定になっている。

故に今日犯人がこなければ俺はこの屈辱的な格好から即座におさらばできるというわけだ。


(頼むから早く終わってくれ!)


そんな願いを唱えた瞬間だった。


「君たち…見ない顔だね」


後ろから声がする。

急いで振り向くがそこには誰もいない。


「きれいな子だね…妹さんかな?」


(前…!)


振り向くがやはりそこには誰もいない。


「うん。この子に決めた!僕の新しいコレクションは!」


そんな声が聞こえた瞬間、視界の中にいつの間にかその男は立っていた。

手には気絶しているレナを抱えて。


「おっと…お姉さん、声を出しちゃだめだからね?妹ちゃんを殺されたくなかったら誰にもこのことを言わずここを去ることだ」


「それはできn…ません」


「へぇ…いい度胸じゃないか…気に入った」


男はレナをそっと地面に寝かせると視界から消える。


「代わりに君を持ち帰らせてもらうよ」


首に一撃を入れられ意識がもうろうとする中、俺は心の中で舌打ちをするのだった。

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