書類に書かれていた仕事は、もはやこの年では日常になりつつある殺人を止めることだった。
この年では1日に数十件の殺人が起こる。そしてその9割が、自分よりランクが高い能力者によってなすすべなく殺される虐殺だった。
「今回の被害者は…Aランク?」
「ああそうだ。今回の加害者はAランク以上の能力者だ」
「俺に頼むのか…それを…」
俺はレビアに苦言をこぼす。
「お前が死ねば俺の仕事も減るだろうな」
率直に死ねと言われてしまった。
「まぁいい。被害者は両手両足がバラバラになっている状態で発見されている」
俺はレビアの詳細を黙って聞く。
「まーためんどくさい仕事持ってきたな…俺飯食いたいだけなのに…」
「仕事してからの飯は美味いぞ。さっさと行って片づけてこい」
「死体を見た後の飯をうまいと感じたことはないが…わかったよ」
俺はまた首を落とされる前に本部を後にするのだった。
~~~~~~~~~~~~~
「出てきたはいいものの…書類に書いてある容疑者宅ってここか?」
俺は渡された地図に載っていたボロボロの家に入る。
「これは…ひどいな」
家の中は…血まみれだった。
腕や足、内臓がいたるところに張り付いている。そんな真っ赤な空間にところどころ白いものがある。
「これは…綿か?」
壁にべっとりとついているものを俺は分析する。
「うげ…天井にも張り付いてやがる…」
報告通りバラバラになっている死体たちを横目に部屋を進んでいるとリビングを発見した。
それと同時、まだ生きている人間の気配を感じ取る。
「誰かいるのか?」
声をかけるが返事はない。
(犯行時刻から逃走までの時間は十分にあったはずだ…犯人がこの場にとどまるとは考えにくい)
俺は部屋の探索を続けた。発見したのはまだ原形をとどめていた死体2体と、その死体に大事そうに抱えられたまま眠っている一人の