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第3話

「で?何があったんです?」


ミューアに聞かれ俺は答える。


「依頼で暴力団を壊滅させに行ったんだが…一般人がいたみたいでな?で、そいつが俺の前で絶望したから…」


「殺しちゃったんですね」


「殺しちゃいましたハイ」


やれやれとミューアはため息をついた。


「あの人は正義感強いですからね…」


ミューアが言ったあの人というのはおそらく俺の首を落とした張本人。【レビア・グラム】だろう。

【治安維持局 対一般犯罪対策部門最高責任者 レビア・グラム】ミューアと同じく幹部でありSランク能力者なわけだが…能力に関しては俺は知らない。


「ミューア…レビアの能力って知ってるか?」


「知りませんね…ですが彼もSランクである以上、私の【生命支配】と同格とみるべきなのでしょう」


ミューアの生命支配。それは生命そのものを支配する能力でありどんな状態だろうと命を与えることも奪うこともできる。死人だろうが生き返るし、視界に入っただけで即死することもある。

能力範囲が視界内に限定されてはいるがさすがはSランク…常識外れの能力だ。


「ほんと…ミューアが医療部門でよかったよ…」


「そうですか?これでも私は過去、前線に送られたんですよ?」


「それは…生き残った奴いたのか?」


恐る恐る聞くとミューアは答える。


「まず私がいったん全員の命を奪って遺体を牢屋に運びます。そこで私が生き返らせればあら不思議」


「全員無傷で任務完了…か、やっぱSクラス化け物しかいねぇ…」


「そういうあなたはランク一回も計測してないじゃないですか…やっておくべきですよ?今みたいに無所属でやってると…怒られちゃいますよ?」


能力者にとってランク測定は自分の立ち位置を決めるのにちょうどいい材料になる。その材料を作らない俺はどこにも正式には配属されない。故にいろんなとこで気分で依頼を受けこなしている。

まぁ…そのせいでお金がないわけだが…


「能力計測に関してはいいや…Sクラス以外の相手には能力のランクじゃなく使い方が重要だし~」


「もしかしたらあなたSランクかもしれないですよ?」


「ないない」


俺たちはそんな雑談を医務室でしていた。すると勢いよく扉が開いた。

瞬時に視線をやるとそこには見知った男がいた。


「レビア…病人がいるんだ…静かにな?」


軽い気持ちで言った俺の言葉にレビアは瞬時に俺の眼前にナイフを突きつける。

そして何やら書類をだし俺に見せる。


「新しい仕事だ白夜びゃくや


ああ…また仕事か…休暇が欲しい。

そんな思いを飲み込み俺は書類を受け取り仕事に向かうのであった。

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