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第14話

「えーっと…皆さんこんにちは。今回は略奪戦をやってみたいと…思います」


マイクにそう宣言しプロフィールのメールボックスを開く。

いつぞやの運営の告知メールが遡れなくなるほどには略奪戦申し込み通知が届いていた。


「さすがに全部は処理できないけど少しぐらいは相手をしないと…」


申し込み通知の中でオンラインになっている相手を選び申し込みを受ける。

すると即座に略奪戦の申請が届きそれを受理すると略奪戦が始まる。



【略奪戦】

互いが対等と認めたものを賭け挑まれた側がルールを決め戦うPVP戦。

申請が受理されればどんなエリアだろうがPVPが可能になる。

プレイヤーは2名のみで基本は第三者の介入は行われないが一部ルールを変更した場合のみ介入可能となる。


そんなルールの下挑まれた側が細かいルールを決め対戦する。


今回は私が挑まれた側なのでルールの決定権を有している。


「さてと…どんなゲームにしようかな」


前回pvpは配信でやったし…今回は頭を使うゲームにしようかな。


そう思考し私は一つのゲームを選択する。


「さぁ。ちょっと変わったゲームの始まりだよ」


私が選んだのは【チェス】だった。



~~~~~~~~~~~~~~~



【対戦型二人零和有限確定完全情報ゲーム:ゲーム番号01_チェス】


ルール

通常のチェスのルールに加えランダムなタイミングで特定のマスが光る。そこにコマを進めることで相手にダメージを与えることができる。

プレイヤーの初期体力は1000で1マスごとに100ダメージ。チェックメイトで500ダメージとなる。

相手の体力を0にした場合、またはゲーム終了時に体力が多いほうが勝利となる。


そんなルールをgateから提示された。

略奪戦を挑んだ手目どんなルールが来ると思っていたがまさかボードゲームだとは思いもよらなかった。


「だがチェスにしたのは間違いだったな」


今の時代ネットにはチェスなどのボードゲームの最善手を高性能AIが導き出してくれるサイトがいくらでもある。

それらでシミュレーションすればよいことだ。

ルールを見た感じ早打ちではないのでいくらでもシミュレーションできるというものだ。


先手を取りながら俺は勝利を確信したのだった。



~~~~~~~~~~~~


「ありゃ、先手を取られちゃった」


マイクにそうこぼすととあるコメントが目に入った。


「(どうでもよさそうだね?)って?実際どっちでもよかったんだもん」


登録者が増えたことでコメントなどをくれる人が増えたのだ。

私は視聴者と会話をしながらチェスのコマを動かす


「(チェスって先手が有利なんでしょ?)そうだよ~先手有利~まぁこのルールは最善手だけじゃ勝てないんだよ~」


「(それって体力のこと?)そうそう、特定のマスって書いてあるでしょ?あれはね~」


解説をしようとした刹那実際にマスが光った。

チェス有識者ならわかるだろうその場所は最善手とは程遠い、最悪手である。

私は迷わずに最悪手にコマを進めた。

そのコマは相手によって即座に取られてしまう。


「このゲームは最低5回悪手を打たないといけない。だけど光るタイミングは完全にランダム。つまりこのゲームは普通のチェスのように最善手の読み合いではなく最悪手の読み合いなんだよ~」


まぁそもそも読み合いになっていない気もするけどという言葉は飲み込んで私は視聴者に伝える。


コメント欄が加速する中私はこのチェスを全力で楽しんだのだった。

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