私が射撃をしてから間もなく足音が消えた。
足をねらって撃ったつもりなので被弾して走れなくなったのだろう。
「毒も食らってるはずだし近づかれたらダメージ音でわかるけど…治療されたら面倒だな」
私が使う銃の毒はとある注射器で治すことができる。PVPをしに来ている奴らが、注射器を持ってきていないというのはなかなか考えにくい。
「解毒されたと仮定して…ヒット数的に足の壊死はしてるだろうね。だとすれば治療にかかる時間はせいぜい5分ってところかな」
もしくは鎮痛薬を使って無理やり攻めてくるかの2択になるのだが、後ろに狙撃役がいる以上、前線が無理に上がってくることはないだろう。
そう考えてきた時だった。
けたたましい銃声が鳥を森から追い出した。
「!!」
私は即座にスキル【シールド】を両手で展開する。だが、放たれた弾丸はそのシールドを簡単に貫通しアバターの右腕を吹き飛ばした。
「こりゃやられたね」
吹き飛ばされた腕は壊死、そのうえ出血までしている。こちらも手痛い一撃をもらってしまった。
「両手のシールドも貫通するってことは攻撃力極振りっぽいね~」
向こうとは違いこっちはソロ。回復なんてできるはずがない。
「まぁ大体わかったからいいかな」
私は沈痛を使う。効果時間は300秒
「さて…勝ちに行こうか」
そうつぶやき私はアバターを操作する。木々の隙間を走り抜け射撃する。木々を使い跳弾させ、ある程度特定した敵の位置に弾丸の雨を降らす。
本来弾を打ち切ればリロードがあるがこの武器には【高速装填】がエンチャントされている。
故に本来のリロード速度の比にならないクイックリロードというものができるようになる。
デメリットはマガジンをその場に落とすくらいだろう。
銃を打つたびに私のアバターは加速を続けスナイパーがいるであろう範囲まで到着する。
単発銃だけあって正面に撃つと反動でノックバックがかなりあるこの銃を後ろ向きに跳弾させる前提で撃つことによって攻撃と加速を両立させるのも重要だ。
「かなりマップを把握しているかつ正確なエイムがないとこれは難しいけどね」
私は心の底から楽しみながらそんなことをマイクにつぶやくのだった。