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第8話

私は現実世界で即座にを買った。


「あー…テステス」


初めて買った配信用マイクにそうつぶやき私はpcを操作する。

ライブ配信ソフトが立ち上がっているのを確認して私は自己紹介を始める。


「あー…初めまして…gateと申します…今日から配信で一部ボスモンスターを借りたいと思います」


そんな簡単な導入をし、私はそそくさとマイクをミュートする。


「はぁ…しゃべりたくない」


人としゃべれるだけのコミュ力があればこんな引きこもりゲーマーになることはなかっただろう。

ましてやは自分の声や言動がネットに残り続ける。


「黒歴史確定だな…」


そんな愚痴を吐きつつ私はまたマイクを付ける。

本来このゲームをプレイしているプレイヤーの中にはストリーマーも多くいる。

だが、ランカーの配信というのはこのゲームにとって貴重。ましてそれがギルドを除くランクで1位のgateの配信ならなおの事基調だ。

故に配信活動をして利益を上げつつ、モンスター討伐の方法と、を配信で公開する。


自信の登録者を増やすのと同時、赤のカギを持っているものを増やすことで例のプレイヤーの思惑を折ってやろうというささやかな仕返しだ。


「えっと…まずは第19番惑星【セナ】にいるモンスター討伐に行きます」


このゲームにおいて武器は2種類に分けられている。

PVP用の武器とPVE用の武器だ。


PVP武器はプレイヤーに対するダメージが高く、逆にNPCやモンスターに対するダメージが低い。

PVE用の武器はその真逆で、NPCやモンスターに対するダメージが高く、プレイヤーに対するダメージが低い。


具体的に適正相手には等倍だが、不適正のものに使えば十分の一にまで威力が落ちる。

故に目的に応じた武器を持っていくのが定石だ。


だが…


「私はいつも、PVP用の銃とPVE用のを持っていきます」


本来武器は重量があり、二つ所持すると重すぎてロクに移動することができない。

だが、ナイフなどの軽い武器であったらサブ武器として持つことができる。

だが、銃より圧倒的に威力が低いナイフの出番はほぼないと言っていい。


そんな中私は定石から外れたプレイをする。

私のプレイスタイルはである。

モンスターの動きを完全に予測し、ナイフで攻略するこのプレイ方法は一部のナイファーと呼ばれるプレイヤーたちが使う戦法だ。


「やっぱボス狩りはPKも多いし、PK対策に銃はもっていかないとなんだよね」


マイクにそう告げると、私は【セナ】のワープポイントまでワープする。


「今から私がやるのはPVPVE…どうせボス狩りを狩るPKパーティーがいるからね」


そういいながら私は操作キャラを動かし、ボスのいる森へと向かう。

【セナ】のボスはトラップ型のボスで、【ハンター】という。

爆弾やトラバサミなどの罠を多用してくるので、強くはないが手間がかかるボスだ。

そのうえ猟銃の一撃は重いので、油断してると持っていかれる。


「ボスへの最短距離はこの崖を登っていくことだよ。キャラコンが必要だけどね」


私は慣れた手つきですいすいと崖を登る。雲を超えた頂上まで上がった私はそのままボスまでを直線で進んでいく。


「あと、ここが一番気を付けないとなんだけど崖を登ったら、今度は降りなきゃいけないんだ」


そういいながら私はボスへの直線距離を進み続ける。やがて道は途切れ断崖絶壁が見えるがスピードは緩めない。


「まぁ要約すると…うまく飛び降りてね」


キャラクターをジャンプさせ、崖から飛び降りさせる。

むろんこのゲームには落下ダメージがある。この高さならまず即死だろう。


ただ箇所。落下ダメージを無効化する場所がある。

その一点に集中し私は空中でキャラコンを続ける。


雲をすり抜け落ち続けるキャラを見ながら私は言う。


「このぐらいじゃないと鍵は入手できないかもね」


その言葉の瞬間、gateは盛大に水しぶきを上げ、池に落ちるのだった。

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