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第5話

私がレース会場を出た時にはスコアボードが更新されていた。

レベル、ランク、そしてイベント。ギルド以外の3つにおいて【gate】というプレイヤーネームが1位に表示されている。


「思ったよりも簡単だったな」


逆走という常識ずれなレースだったが、次第に他プレイヤーも気づくだろう。

ほかのカギもこんなに簡単に手に入れっれるのか…?

もしそうならこのカギの試練…


そこまで考えたところで知らないプレイヤーから声をかけられる。


「そのカギを1000万コインで売ってくれませんか?」


1000万コイン…現金換算約で100万円ほどのゲーム内通貨だ。


「残念ながらこの鍵は売ることはできないよ」


私は声をかけてきたプレイヤーにそう言い放つ。

するとプレイヤーは何か考えるようなそぶりをして言った。


「なら私と【略奪戦】をしてください」


略奪戦とは、特定のプレイヤーに向けて宣言することで持ち物をかけたPVP線が開始される…それが略奪戦だ。だが、賭けの代金は対等でなくてはならない上に同意がなければ成立しない。


「賭けの代金はあなたの持つそのカギ。私の代金は私自身のすべて…ALLINです」


「受けるつもりはないけど?」


私はそもそもこの勝負に降りることができる。乗る必要がないのだ。


「いいんですか?」


プレイヤーは受けないという私に言う。


「あなた、ランキング1位を独占してますよね?ここで逃げたらあなたのあの個人成績。全戦全勝に無効試合1となりますよ?」


「わかったわかった…受けるよ」


別にランキングがどうのこうのではない。ただ、このプレイヤーに少し勝ちたくなった。

ただそれだけで受けたこの略奪戦。

のちに私は、この決断を死ぬほど後悔するのだった。

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