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第4話

レース開始直後私は思いっきりアクセルボタンを押す。

私の車はもうスピードでに走っていく。


「これであってるかな」


すぐに崖から落ちる。だが、脱落にはならない。

しばらくするとヘッドフォンからガタンという音がする。


「着地は成功…」


どうやら正解らしい。ただこれはレースだ。もし正面から走ってもクリアできる場合そのプレイヤーよりも早くつかなくちゃならない。

私はアクセルボタンから手を放さず、全速力でバックする。


(後ろは見えない…でも問題はない)


私はそのトンネルのような道をヘッドフォンから伝わるを聞く。

トンネルのような細い道。そこに車のエンジン音が響く。


「反響音から道を特定すればいい」


私は自分の耳を頼りにハンドルを回す。

耐久力が低いこの車はこのスピードで壁にぶつけてしまえば瞬く間に破壊されるだろう。


(必要なのはノーミス)


バックミラーもないこのゲームにおいて音だけを頼りに狭い道を進むレース…


「面白い」


私は目をつむり画面を見ずに音だけに集中する。

かすかに違う音のこもり方…それを聞き分け進む。

レース特有の景色も疾走感もない。カーブの多いトンネルをスピードを出し進んでいく。


しばらく進んでいると音がこもらなくなってきた。

曲がりくねったトンネルをぬけ、広い場所に抜けたらしい。


それを確かめるべくハンドルを回し車を回転させ、目的地を黙視する。

ゴールと書かれたその場所はまだだれも到達していないようだ。それどころか自分の車以外のエンジン音が聞こえない。


「終わり…かな」


私は何事もなかったかのようにゴールテープを切った。

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