■その232 赤ずきんちゃんと狼男さん2■
皆さん、こんにちは。ミタカさんのワンコの秋君です。今日のボク、カッコいいんですよ!ワインレッド色の、マントを着けてるんです!!
「秋君、
お友達との集合場所は、いつもの公園です。カボチャお化けの格好をしたお友達が言いました。
「お姉ちゃんのお友達が、特別に作ってくれたんだ」
ボクを抱っこしながら、双子の弟のカコ君が得意気に言います。その横に立っているのは、お兄ちゃんのトウリュウ君。2人とも、今日は『バンパイア』の格好です。マントはボクと同じワインレッド色で、違うのは長さです。双子君達の方が長くて、お膝の下まであるんです。目尻のぽへっと下がった焦げ茶色の瞳と、薄く入れた紅茶色の猫っ毛をベリーショートにしているのが、ボクのお友達の双子君です。
「いいよな~。白川のお姉ちゃん、可愛いし料理も上手だよな」
ガイコツの洋服を着たそこの君!分かってますね。そうなんです、双子君のお姉ちゃんのオウメちゃんは、とってもお料理が上手なんですよ。優しいし、抱っこがとっても気持ちいいんです。
「ねぇねぇ、早く回り始めないと、お菓子無くなっちゃうよ?」
あ、その恰好、知ってますよ。外国の映画の… クモ男!全身クモの巣模様ですけど、目の所だけ空いてるんですね。口は? 苦しくないのかな?
「マサシにLINE入れて、回り始めようぜー」
って、黄色いクマさんの格好をしたお友達が、スマホをいじりながら歩き出しました。歩きスマホ、危ないですよ。
今日は商店街のお祭りだって、ウメヨシさんが教えてくれました。外国の『ハロウィン』を、マネっこしてるらしいです。
ハロウィンは、死んじゃった人たちがボク達の所にお化けのまま戻って来るから、皆でお化けの格好をして悪戯されない様にするんだよって、これもウメヨシさんが教えてくれました。
今日は、どのお店でも、子ども達がお化けの格好をして『トリック・オア・トリート』って大人に言うと、お菓子が貰えるらしいです。だから皆、お菓子を入れるリュックとか、ポーチを持ってます。双子君は、コウモリ型のポーチです。
そんな日だから、今日の商店街は… お化けがいっぱいいるんです。
公園から大きい通りに出たら、お化けだらけ。双子君がテレビで見ている、アニメの人達もいっぱい居ますね。でも、臭い! いつもと違う匂いが、あっちこっちからして、ボクのお鼻、取れちゃいそう。
「白川の姉ちゃんとこ、行こうぜー。美味しいお菓子、くれんだろ?」
黄色いクマさん、当たりです! オウメちゃん、昨日は丸一日クッキー焼いてましたよ。きっと、このお祭りで配るヤツですよね?
「じゃあ、最初から白川ん家に集合でよかったじゃん」
「あ、お姉ちゃん、今日はお店のお手伝いしてないよ。駅前の本屋さんで、今日だけアルバイト」
カコ君の言う通りです。オウメちゃん、今日は本屋さんでお仕事です。
「じゃぁ、本屋だな」
「でも、あそこロータリーの近くじゃん。15時からロータリーの舞台でコンテストやるから、その時によればよくないか?」
「だから、お菓子が無くなっちゃうだろ! 白川の姉ちゃんのお菓子、すんごく美味いんだぞ!」
黄色いクマさん、君、見かけ通りの食いしん坊さんですね。
「今から行ってもいいけど、すんごい怖いモンスターが居るよ?」
トウリュウ君、すんごいモンスターですか? オウメちゃんと一緒にいるのは、ご主人様ですよ? ご主人様、今朝見た時は、いつもと同じでしたよ?
「そいつ倒したら、お菓子いっぱいくれるかな?」
「太一君、お菓子の事ばっかー」
「でもさ、すんごいモンスターって…」
お友達は、歩きながら周りをキョロキョロします。今日の商店街は『歩行者天国』になっているから、歩いてる人… お化けがほとんどですね。大人の人は、お顔も怖いですね。カコ君、カコ君、あっちのオネエサン、大怪我してますよ。あ、オニイサンは頭に斧が刺さってる! 黒かったり、赤かったり、いっぱい傷があったり… 病院行かなくていいんですか? ボクのお鼻、匂いが分からなくなっちゃいましたよ。
「お姉ちゃんの番犬」
「太一君、その番犬倒せたら、僕のお菓子もあげるよ」
トウリュウ君に続いて、カコ君がニヤって笑いました。