皆さん、こんにちは。
三鷹さん、今日は子守りです。今日だけじゃなくて、最近、子守りの時間が増えました。というのも、子犬の秋君の面倒をみるからと、
三鷹さん、双子君の宿題も見てあげています。夏休み最後の今日は、朝からです。内心、新学期の準備が滞っているのが気がかりではあるのですが、面倒を見るのは何とも思ってないみたいです。赤ちゃんの頃から、知っていますからね。
今日は、朝から双子君達は宿題を持ってやってきました。秋君と遊びながらも、宿題は無事終了。
秋君、受付で待っている時はじっ… と、三鷹さんに抱っこされて、名前を呼ばれたらちゃんと
「ワン」
とお返事できました。
双子君が見守る中、お注射も嫌がらず受けました。診察台で、固まっていましたけれど。
その帰り、商店街の中を、秋君を抱っこして歩いていた
「どうしたの?」
そんな冬龍君に気が付いた
商店街を行き交う人の出は、いつもと変わりません。皆、暑さから逃げるように、少し早歩きな気がします。
「んー… なんか、変?」
「えー、僕に聞かないでよ」
首をかしげる冬龍君に、夏虎君は笑いながら突っ込みました。横のお店のドアが開いて、お客さんと一緒に店内の冷気が出て来たので、夏虎君は一瞬ビクッとしました。
「何か、誰かが付いて来てる感じがするんだよね」
「えー、夏だからって、やめてよー」
「
テレビ番組終わった後、観たりないからって、お父さんと怖いDVD観てたでしょう?」
夏虎君、怖いのは苦手なんですね。
「そうかなぁー。でも、さっきから、秋君の毛も逆立って、顔も緊張してるんだよね」
その言葉に、三鷹さんが秋君を抱っこしました。確かに、黒い毛が全体的に逆立っていて、顔も、特に口周りが緊張しています。今にも牙を剝き出しにして、唸り声を上げそうです。
「… 注射が嫌だったんじゃないの?」
夏虎君は、三鷹さんの腕の中の秋君を、背伸びをして恐る恐る覗き込みました。確かに、いつもと違うのが、夏虎君にも分かりました。
「あ、いたいた。病院、終わった?」
そんな三人に、梅吉さんが片手を上げて駆け寄ってきました。
「ウ~… ワンワンワンワンワン!!」
途端に、秋君が今まで聞いたこともない声量で、梅吉さんに向かって吠え始めました。今にも梅吉さんに飛びつきそうな勢いに、三鷹さんは慌てて秋君を確りと抱えました。
「え、え? 何? 俺、何かした?」
慌てて数歩下がった瞬間、梅吉さんの周りに黒い影が見えました。何だか、ドロリとした感じのモノが、梅吉さんの肩や腰にまとわりついています。
「ウメ兄ちゃん、スゲー」
冬龍君は驚き…
「うわぁぁぁ… ウメ兄ちゃん、どこ行ってきたの?」
夏虎君は怯えて三鷹さんの影に隠れ・・・
「ヴヴヴヴヴヴ・・・・」
秋君は三鷹さんの腕の中で唸り・・・
「分からん」
三鷹さんは、何も見えず感じずの様です。
「えー・・・何か分からないけど、何となく、ショックかな?」
シュンとした表情で、梅吉さんがキョロキョロと辺りを見渡しました。
片手が中途半端な高さで、行き場を失っています。
「うわっぷ!」
「ちょっとぉ、人の店の前で、気持ち悪いモノを広げないでくれないかしら」
そんな梅吉さんに、お店から出てきた長身の人が白い粉末を頭からかけました。