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第31話 人生をかけた告白?(文化祭準備への道1)

 「白川さん、僕に付き合ってください!!」


 今日は、1学期最後の日です。終業式も無事に終え、後はホームルームで成績表を受け取るだけと、クラスの皆は目の前まで来た夏休みに浮足立ってます。

 そんな教室に勢いよく駆け込んで、迷うことなく、窓際の後ろから2番目の席に座る僕の主・白川桜雨おうめちゃんの前まで行って、勢いよく頭を下げる長髪の男子生徒がいました。

主は、桃華ももかちゃんとお話をしながら刺繍をしています。そして、大声で言い放った一言で、ピタッ! と、クラスの音が止みました。

すかさず、後ろの席の桃華ちゃんが、スマホをいじります。


「はーい、ウメちゃん到着まで? 3分以下」


 女子の声に、クラスの3分の1程の手が上がりました。


「5分以下」


 次は、パラパラ…


「5分以上… あら、水ッチ到着~」


「水島先生、早すぎー。職員会議は?」


 いつも通り、ベストとスラックス姿の三鷹みたかさんが、教室に入ってきました。皆の問いかけにも、いつも通りダンマリです。


「白川さん、後生です! 僕を助けると思って! いや、助けてください!!」


 主は刺繍する手を止めて、ジーっと、自分に頭を下げ続ける男子を見つめています。そんな主と男子の真横に、三鷹さんが立ちました。凄い殺気です。クラスの皆は、思わず口を閉じました。


「水島先生、闘気で生徒を殺さないでくださいよ」


 そんな三鷹さんの後頭部を、笠原先生が名簿の角で刺しました。

 笠原先生、終業式はワイシャツとスラックス姿だったのに、今はトレードマークの白衣を引っ掛けています。白衣を着てないと、落ち着かないんでしょうか?


「誰かと思ったら、3年の赤井か。とりあえず、ホームルームの時間だから、教室に戻りなさいよ。後は、帰りにでも…」


「お願いします! 僕の人生がかかっているんです!!」


 笠原先生が促しますが、その赤井先輩は更に声のボリュームを上げました。


「他人に、自分の人生の責任を負わすんじゃない」


 静かに、でも確実に、三鷹さんの怒りは上がってます。

手を出さないのは、生徒だからと我慢しているからですね。


「私、先輩の何に、お付き合いすればいいんでしょうか?」


 キョトンと聞く主に、皆の視線が集まりました。


「桜雨、あのね…」


「文化祭で、モデルをやってください!僕のデザインした洋服を着て、ランナウェイを歩いてください!!」


 呆れた桃華ちゃんが主の肩を叩いた瞬間、赤井先輩の渾身の告白に、教室中が


ん?!


と、なりました。



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