「白川さん、僕に付き合ってください!!」
今日は、1学期最後の日です。終業式も無事に終え、後はホームルームで成績表を受け取るだけと、クラスの皆は目の前まで来た夏休みに浮足立ってます。
そんな教室に勢いよく駆け込んで、迷うことなく、窓際の後ろから2番目の席に座る僕の主・白川
主は、
すかさず、後ろの席の桃華ちゃんが、スマホをいじります。
「はーい、ウメちゃん到着まで? 3分以下」
女子の声に、クラスの3分の1程の手が上がりました。
「5分以下」
次は、パラパラ…
「5分以上… あら、水ッチ到着~」
「水島先生、早すぎー。職員会議は?」
いつも通り、ベストとスラックス姿の
「白川さん、後生です! 僕を助けると思って! いや、助けてください!!」
主は刺繍する手を止めて、ジーっと、自分に頭を下げ続ける男子を見つめています。そんな主と男子の真横に、三鷹さんが立ちました。凄い殺気です。クラスの皆は、思わず口を閉じました。
「水島先生、闘気で生徒を殺さないでくださいよ」
そんな三鷹さんの後頭部を、笠原先生が名簿の角で刺しました。
笠原先生、終業式はワイシャツとスラックス姿だったのに、今はトレードマークの白衣を引っ掛けています。白衣を着てないと、落ち着かないんでしょうか?
「誰かと思ったら、3年の赤井か。とりあえず、ホームルームの時間だから、教室に戻りなさいよ。後は、帰りにでも…」
「お願いします! 僕の人生がかかっているんです!!」
笠原先生が促しますが、その赤井先輩は更に声のボリュームを上げました。
「他人に、自分の人生の責任を負わすんじゃない」
静かに、でも確実に、三鷹さんの怒りは上がってます。
手を出さないのは、生徒だからと我慢しているからですね。
「私、先輩の何に、お付き合いすればいいんでしょうか?」
キョトンと聞く主に、皆の視線が集まりました。
「桜雨、あのね…」
「文化祭で、モデルをやってください!僕のデザインした洋服を着て、ランナウェイを歩いてください!!」
呆れた桃華ちゃんが主の肩を叩いた瞬間、赤井先輩の渾身の告白に、教室中が
ん?!
と、なりました。