昔々ある国に美少女という名の少女がおりました。少女は美少女という名が相応しいほどの絶世の美少女です。
まるでオーロラを思わせるような髪に、ガラスのように透き通った瞳を持つ均整な顔立ち。圧倒的な美少女オーラは老若男女、種族問わず、思わず足を止め、見惚れるほどでした。
美少女と目が合うと、目が合った者は卒倒してしまうほどの破壊力を持っていました。
ある日、国のお偉いさんは言いました。
「もうこれ兵器じゃね? 他国攻めちゃう?」
すると別のお偉いさんが。
「ならば美少女を呼んでお願いしようではないか」と。
お偉いさん達はすぐに美少女を国の偉い人が集まる場所に呼びました。美少女はすぐに偉い人が集まる場所に来ました。
「なんでしょう?」
偉い人が集まる場所に来た美少女はコテンと首を傾げながら問いかけます。
「ごっはぁぁぁ!」
「びゅるうぅうひゃぁぁ!」
コテンと首を傾げた美少女はのあまりの美しさに偉い人は、後方に四メートルほどぶっ飛び、意識を失ってしまいました。
目が合っていなくとも、美少女の可愛らしい仕草によってやられてしまったのでした。
「あーあ、またやってしまったー」
美少女はヨヨヨと、手を額に当て、偉い人が座る豪奢な椅子に座りました。
「わたしと話すなら、手紙とかじゃないと身が持たないというのに……」
美少女は自身が絶世の美少女ということを認識していました。
「どうせ、わたしにろくでもないことをお願いしようとしていたんだろうけど」
美少女の察しの良さはなかなかでした。
美少女には悩みが二つありました。一つは自身が美しすぎて相手と話そうとしてもあまりの美しさに卒倒させてしまうこと、もう一つは美少女を悪いことに使おうとする者がいるということ、この中で最も深刻なのは前者で、これのせいで美少女は他人とほとんど会話をしたことがないのでした。
美少女は不意に思いました。
「……いっそのこと、旅に出ようかな」
美少女はすぐに旅発つ準備を始めました、旅に必要なものをカバンに詰め、ルンルン気分で国を後にしました。