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5. 姫は『サプライズ』がお好き

5. 姫は『サプライズ』がお好き




 そして時間は午後11時になり、『双葉かのん』の配信が始まる。


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『始まった!』

『こんばんは~!』

『かのんちゃん!』


「こんばんは~。Fmすたーらいぶ3期生、Fmすたーらいぶの風紀を守るがんばり屋の妖精『双葉かのん』だよぉ」


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『おつかれさま~』

『おつ』

『おつおつ』


「ありがとね~。今日はね~みんなからの質問に答えちゃおうかな~」


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『お!きた!』

『待ってました!』

『どんな質問でもおけまる?』


「もちろんおけまるだよ~。じゃあ早速1つ目の質問いくね」


 軽快なトークで配信が進んでいく。やはり『双葉かのん』なら上手く話ができそうだな。そしてそのまま質問を受け答えしながら配信は1時間が経過していた。


「次の質問は……『かのんちゃん、ましろん先輩のことどう思ってますか?』だって。うぅ……やっぱりきたかぁ。緊張するよ……」


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『切り抜きにもあがってたよ』

『ましろ姫に想いを告げるんだ!』

『かのんちゃん頑張れ!』

『オレたち見習いフェアリーがついてるぞ!』


「えっと、憧れの先輩です……あと、その……大好き……です……言っちゃった!」


 その言葉を聞いてオレはディスコードに『今話しても大丈夫?』と連絡を入れる。もちろん相手は配信中の『双葉かのん』にだ。ちょっとしたサプライズはこれだ。これならきっと彼女のリスナーも喜んでくれるだろう。


「ん?えっ!?ちょちょちょちょとまっ!……ちょっと待って……嘘?……え。そ……ど……え?」


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『かのんちゃん?』

『いきなり発狂ww』

『草』

『大丈夫?』


「あ。ごめん。その……今……あのメッセージが来て……えっとましろん先輩から……『今話しても大丈夫?』って……これ夢じゃないよね!?」


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『おお!これは夢じゃないぜ!』

『ましろ姫。配信みてるのかも』

『凸感謝』

『さっきの直接伝えよ!砕けよ!』


「砕けたくないよ!どうしよ……でも……待たせるの悪いし……とりあえず返信しないと。えっと……『今配信中です。よろしいでしょうか?』……送信。……送っちゃった。」


 声が明らかに緊張気味だ。コメント欄は大盛り上がりを見せている。さて……行こうか。オレは水を一口飲んでから話を始めることにする。


「え~!!?本当にかかってきたんだけど!!?ととと……とにかく出ないと……あ。あの……もしもし……」


 《もしもし?》


「あぁ~……まっまま!ましろん先輩ですか!?」


 《どうも、姫宮ましろです。見習いフェアリーの皆さん、ごめんなさい配信中にお邪魔しちゃって》


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『キタァアア!!』

『キターーーーーーー!!!』

『ましろ姫の声きたぁあああ!』

『ましろ姫降臨!』


「あわわ……どうしよ……えっと……えっと……こっこここっちこそ……配信中で……すすいません!」


 《いえ。こちらの方も大事な用事だったので……》


「は、はい……それであの……その……なんでしょう?」


 《かのんちゃん。コラボ解禁したんだよね?良かったらましろとコラボしてほしいの》


「コラボ!?」


 《そう。しかもオフコラボ。ダメかな?ましろの初めてのオフコラボはかのんちゃんがいいなと思ってね》


「え……えぇえええ!!?うぅ……嬉しすぎて吐きそう……」


 オレの急な提案に彼女はパニック状態になっているようだ。まぁいきなりこんなことを言われたらそうなるよな。


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『吐くな吐くなww』

『ましろ姫コラボきたぁ!』

『ましろ姫のオフコラボ!』

『速報。かのんちゃん天に召す』

『まだ生かしてやれwww』


「はぁはぁ……あっあの……かのんなんかでいいんですか……?」


 《うん。かのんちゃんだからお願いしたいの。ましろとオフコラボしよ》


「よっ……喜んで!」


 《じゃあまた連絡するね。配信頑張ってね。あ。切り抜き師さんここ切り取ってくださいね?》


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『了解です!』

『任せてください!』

『切り抜き師の本気見せるとき』

『切り抜き師いて草』

『歴史が動いた瞬間』


「うぅ……嬉しすぎて……泣いちゃ……だめなのに……」


 コメント

『かのんちゃん!よかったね!』

『頑張れ!オレらは応援しているぞ!』

『おめでとう!』


「ぐす……うぅ……みんなありがとう……頑張るよ……」


 こうして、オレのサプライズは成功した。Twitterにも『#ましろ姫オフコラボ解禁』がトレンド入りしたり、切り抜き師たちの切り抜き動画の再生数も伸びたり、ファンアート絵師によるカップリング『ましのん』のてぇてぇイラストもSNSに上がるなど、なかなかの大成功だった。


 そして、コラボの期待値が高いのが分かるかのようにこの日を境に『姫宮ましろ』と『双葉かのん』は登録者数を爆発的に伸ばしていった。

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