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コード・エターニティ ~ 俺は遺伝子操作で生まれた少女に恋する
鳴海真央
異世界恋愛フューチャーラブ
2024年08月22日
公開日
20,194文字
完結
近未来の日本では、遺伝子操作によって生まれる人間が一般的になっていた。
自然妊娠によって生まれた高校生、高月陸斗は、小学生時代のある出来事と、妹である陽夏の誕生をきっかけに、遺伝子に強い関心を抱いていた。
ある日、彼は高校生とは思えないほど大人びた少女、綾辻風音と出会う。
風音は遺伝子操作によって生まれた存在であり、その秘密を打ち明けることに恐怖を感じていた。
しかし、陸斗は風音の告白をありのままに受け入れ、彼女を人間として尊重し続ける決意を固める。
二人は次第に惹かれ合い、恋人関係へと発展するが、彼女の抱える困難に立ち向かうべく、陸斗は彼女を支え続ける。


※手直しの段階で『ChatGPT』の力を借りています。ご了承ください。

第1話

 放課後の図書室で俺は一人、生命科学や生命工学の本をひたすら読み漁っていた。

 ページをめくる音だけが響く、静寂に包まれたような空間。このひとときが一番好きな時間だったりする。


 図書室の本棚には、古びた紙の本と最新鋭のホログラフィック・ディスプレイが並んでいる。

 ディスプレイは触れると即座に反応し、遺伝子の二重螺旋や細胞分裂の過程を3D映像で浮かび上がらせる。

 色鮮やかに回転するDNAの模型は、まるで生命の秘密を目の前で解き明かしているかのようだ。

 俺は時々、このディスプレイを触りながら、生命の神秘に対する畏怖と興奮を覚えるのだった。


 俺が通う『理新りしんサイエンス学園』は、隣接する『ライフコード探求センター』が出資する私立高等教育機関だ。

 科学に特化したこの学園は、日々最先端の技術が飛び交う場所だ。

 『ライフコード探求センター』では、遺伝子操作を中心に研究が進められており、特に人工的に生命を創造する分野で世界的に注目されている。

 研究所のガラス張りの建物は未来的なデザインで、内部では白衣をまとった研究者たちが忙しそうに行き交っている。

 この私立の高等教育機関は、まさに未来の生命科学の最前線に立っているのだ。


 俺がこの学園にいる理由は明白だ。小学生の時、遺伝子操作で誕生したクラスメイトと出会い、彼の能力の高さと特異な存在感に圧倒された。

 そして、5歳の頃に生まれた妹、高月陽夏たかつきはるかは俺と同じ自然妊娠による誕生だったが、もしかすると人工的な手段で生まれてきていたかもしれないことを知り、俺の中に「生命とは何か」という問いが強烈に芽生えたのだ。

 遺伝子操作による生命創造の神秘に対する探究心は、学園側からの招聘しょうへいを受け入れる大きな動機となった。


 ――さて、俺は、一つ本を読み切ったので、元の棚に返そうと立ち上がり、戻ったとき、棚の前に一人の少女が視界に入った。

 彼女は一際目を引く存在だった。身長は170センチはあろうかという長身で、しなやかな体つきは高校生離れしている。

 瞳の奥には、年齢不相応な知性の輝きが宿り、肌は人工的なまでに完璧だ。

 まるで遺伝子工学の結晶のような美しさに、思わず息を呑んでしまう。

 こんな存在が本当に人間なのか、それとも最新の生命工学の産物なのか、俺の中で疑問が湧き上がった。


「あの、ちょっといい?」

「うん?」

「その本、私も読んでみたいんだけど、貸してもらえる?」

「あ……もちろん。どうぞ」


 戻そうと思っていた本を美少女が読みたがっていたらしいので、手渡した。

 その瞬間、彼女の瞳が一瞬きらめいたように感じた。俺はその瞳に引き込まれそうになりながら、本を渡した。

 その美少女は、俺から本を受け取ると、空いている席に座り、読み始めたようだ。

 俺はその美少女が気になってしまい、本を読んでいても、あまり内容が入ってこなかったのだ。


 △▼△▼△▼


 翌日の放課後も同じような本を選び、読書にふけっていた。


(そういえば、明日の授業は探求センターの研究員が講師として来るんだったっけか……)


 本を手に取りながらそんなことをぼんやり考えていると、昨日出会った美少女を見つけた。


(うーん……。やっぱり、彼女は本当に高校生なんだろうか?)


 なにか人を惹きつけるような見た目をしているのに、この図書室にいるというのが不思議だった。

 彼女もまた、俺と同じジャンルの本を手に取り、その本に目を向けている。

 同じようにそういうジャンルに興味があるんだろうか。

 近づいてみてもいいかな?

 そんなことを考えながら、俺は彼女に近づいてみた。


「……あ、昨日の」

「隣、いいかな」

「いいよ」


 俺は心臓が少し早く鼓動するのを感じながら、彼女の隣に座った。

 彼女はちらりと俺を見てから、また本に目を戻した。その仕草がなんだか愛おしかった。


「……そうだ」

「なに?」

「ねえ、君の持ってきた本、私も読んでみたいんだけど、いいかな」

「いいよ。そのかわり、俺もそれを読んでみたいんだけど……」

「いいわよ」


 彼女は微笑みながら答えた。その笑顔に、俺は少しだけ勇気をもらった気がした。

 俺たちは、お互いが持ってきた本を取り替えっこしながら読んでいた。

 そうしているうちに、下校時間が来て、図書室を出ることになった。


「明日の放課後、よかったら図書室で会いたいけど、どうかな」

「あなたがそれでいいなら、私はそれで構わないわ」


 俺はこの美少女がどんな女の子なのかすごく気になっていた。


 △▼△▼△▼


 夜、ベッドに横たわりながら、今日読んだ本の内容を反芻していた。

 遺伝子操作技術の進歩は、人類に無限の可能性をもたらす。

 病気のない社会、長寿、さらには超人的能力さえも。

 しかし同時に、それは人間の本質を変えてしまうのではないか。

 『人間らしさ』とは何なのか。

 進化と倫理の狭間で、我々はどこに向かっているのか。

 そんな問いが、俺の頭の中を巡り続けていた。

 そして、図書室で出会う美少女。

 彼女が生み出された経緯はわからないが、高校生離れしている体躯からして、大方遺伝子操作によって生まれたのだろうと思う。

 そうでなければ、俺の中で納得することができないからだ。

 ……そのあたりは、おいおいわかってくるだろうと思い、俺は眠りについた。

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