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第8話 お姫様です! 王様です! あれ??

「ふぅ、朝はもう少し脂っ濃いの控えて欲しいよな。まぁ、そこそこ美味しいから仕方ないか。それより葉月ちゃんのご飯楽しみやね! 何せ調理士やし!」


「そだね! 葉月ちゃんいつもお弁当美味しそうだもん!」


「分かりますわ。それに彩りも考えて詰められていましたから、目で見ても美味しそうなのが凄いです」


「そうじゃぞ! こやつは小学校の低学年から給食不味い! って自分でおにぎり作って持ってきたのが始まりでの、4年生の時点で家庭科の先生に花丸貰って表彰されとったぞ」


「ママさんにはまだまだ負けますの、パパさんはママさんの料理に胃袋捕まれてますの!」


「ははっ! 良し、謁見もうすぐだと思うから、片付けるか!」


「んでは、ごちそうさまでした!」


「ごちそうさまでした!」


 お皿を軽く水洗いし重ね、台車に乗せまだ少し時間ありそうなので


「葉月ちゃん、ジュース出す?」


「出しますですの!」


 俺と葉月は顔を見合わせニヤリと笑い頷き合う。


「えっ! ジュースあるの!」


「まぁ!」


「ほぅ!」


「朝、旦那様と作りましたの! 持ってくるの!」


「手伝うよ!」


 葉月の後を追うため席を立つ。


 すぐに追い付き冷蔵庫からボールを出し、ポットへ人数分移すと後は冷凍庫から氷を出しポットへイン!

 冷やしてあった水のポットは冷凍庫から冷蔵庫へ移動しておいて、氷のボックスを冷凍庫へ戻した。


「塩はこの入れ物ごと持っていくか?」


「はいですの!」


「洗ってあったコップも綺麗に乾いてますの!」


「んじゃ、コップとお塩持って行ってくよ」


「メインの生ジュースは持っていきますの!」


 慎重に足下を注意しリビングへ戻ると。


「きゃー!」


 聖が感激のあまり立ち上がり、胸の前で手を結んでいる。


「ほら座ってろ! 今から入れてくれるから」


 葉月は、俺がコップを表向きにした後、少しずつ全てのコップへ入れていく。


 ほぅ。大人数に入れる時のルールかな? これなら多い少ないが出にくいって聞いたことがあるな。あれはお茶だったか? 濃い薄いのが出にくいだったか?


 まぁいっか、それを聖、紗々ちゃん、三葉ちゃんが、わくわくした感じでじっと葉月の手元に集中している。


 5つ全てのコップにジュースが良い感じに入った。


「生ジュースですの! 甘酸っぱいから美味しいの! お塩ちょびっと入れると甘さが引き立つの! どうぞ召し上がれですの! あれ? この果物どこから持ってきたですの?」


「あっ、それはまた後でって事で」


「では、どうぞですの!」


 ゴク


 美味!


「美味いなこれ」


「本当。いくらでも飲めるよ」


 いやいや遠慮しなさい、お腹痛くなるよ。


「うん、凄く美味しいわね、私、塩をひと舐めして2口目飲んだけど、凄く甘さがスッキリする!」


 俺もやってみよ、 甘っ! 俺は無しでそのままのが好きだな。


「ふむ? この果実は美味いな、葡萄のようじゃが、以前飲んだ物と段違いに美味じゃ!」


 同感。これ、そのまま食べても絶対美味しいやつだ。


「異世界ブランドの葡萄ですの! 種無しでしたの! 皮も剥きやすいですの!」


 わいわい飲み終わり、コップやポットを洗いさて落ち着くかって時にコンコンと戸がノックされ、メイドさんが来た様だ。


「はい、今開けますね」


 ドアを開けると、メイドさんと兵士さん。


「食器の引き取りと、謁見の為に案内役引き合わせの為参りました」


「ありがとうございます。食器はそちらの台車に乗せましたのでお願いします、後、謁見はこの格好で良いのですか?」


「ありがとうございます。女性の方達は、そのままでよろしいですが、ユタ様は、お召し物をお持ちしました」


 流石に、シャツがワンピースで袖まくり、ズボンも裾捲りまくってますからね。


「ありがたいです。流石にこの格好では恥ずかしかったので助かります」


「ではどうぞ。」


「ありがとうございます」


 ふむ、質素だがシンプルなデザインでドレスコードあるお店でも、子供ならOKな感じかな。


「では、私は先に失礼しますね」


 と、台車を押し部屋を出ていった。


 残った兵士さんが。


「では、お着替えをお願いします、まだ少し時間はありますが」


「了解しました。すぐ着替えて来ますね」


 寝室に向かい、着替えようとして、ふと思い出した! ヤバい! 寝室鑑定し忘れてる!


 焦って鑑定しようとすると。


『大丈夫ですよ。寝室には仕掛けがありましたが、昨晩勇大様をベッドヘ4人で運ぶ際に、枕元にあった聞く耳ドールが落下し、聖様が踏み潰しました。そちらのゴミ箱に入っていますよ』


 ゴミ箱を確認し、聖ナイスだ! 後で頭撫でてやろう。


 とりあえず着替えやねっと、パンツ迄用意してくれてあるやん! ってか、カボチャパンツ······でやっぱり紐ね······


 はぁ、とりあえず脱ぐか······ふむ?


 パオン→パオォォーン?


 おかしいぞ、待機状態が、臨戦態勢に?


 ふにふに······。


 うん、今は見なかった事にしておこう!


 そそくさとカボチャパンツ、シャツを羽織り、ボタンは同じ感じでズボンも紐で縛ると、おっ! 靴下と靴もあるな、靴下は······これは足袋かな? あっ! 下から結んでと、ん? 難しいな、きちんと中に折入れて絞って行くと······おお!


 思ったより履き心地良いんじゃないかな!


 親指と人差し指がわかれてるから慣れないと違和感少しあるが、ズレる事も無さそうやし、これは良いな。


 後は靴は? 編み上げ? ギリシャの歴史の写真に出できそうな? とりあえず足を入れて、おおっ! 爪先が親指と人差し指で挟む様になってるのか!


 掃いてみると踝まであるしハイカットスニーカー? スニーカーではないが、それでこの紐で爪先側からこうかな?


 右左右左右左と金具に引っ掛けながら、締め込みながら足首まで丁寧にっと、余った紐はおっ! かかと側に袋付いてる? 分からん!


 長さ的に2週回して後ろで結ぶ? 結び難いやん! 前で結ぼう。


 んじゃ、もう片方も······


 良し、履けたっと! 立ち上がり少し足踏み、もも上げ、反復横跳び!


「ぷふっ」


 え? 後ろを振り向くと皆さんが······。


「おい······何見てる? いつから見てる?」


 低い声が出てしまったがまぁいい。


「パパさんより大きかったの!」


 俺は、orz 状態······。


「あっ、ありがとう? ございます······」



 そうじゃない、そうじゃない······。


「なっ、何覗いとんじゃぁぁぁー!」


「「きゃー♡」」


「賑やかですね(苦笑)」


「止めて下さいよ」


「すみません、いつもこうだと勘違いをしてしまいました」


「はぁ、時間は大丈夫ですか?」


「はい、少し早めですが頃合いですね。」


「では行きましょうか」


「よろしくお願いします、後、私よりも大きいのでちょっとショックです」


「グハッ!」


 立ち直りかけたのに······orz。




「も、申し訳ない······」


 何とか立ち上がりリビングへ、そして扉前で皆が集合し、扉を開け部屋から出た。


「謁見中に部屋の掃除をすることが出来ますがどうしますか?」


 ん? そうだな、また聞く耳ドールって言いにくいし、聞く耳君でいいか!


 仕掛けるだろうし、要らないか。


「あっ、私物も置いてありますし、今日は良いですよ」


「わかりました。では、そちらの札をお取り下さい。それで外出時の鍵になります」


 ほうほう、これか、テレホンカードサイズって古いな、名刺サイズの方が良いか、抜き取ると、カチャッ。音が鳴ったな、扉のノブを捻ると。


『外出中です』


 と音声案内が!


「おお!」


 ガチャガチャと扉を開けようとしても、しっかり鍵がかかっているようだ。


「しっかり施錠されてますね」


「貴重品などは持ち歩いて貰った方が良いかと思いますが、ある程度の物や、大きな物でアイテムボックスに入れるほどの物でも無い時には安心出来ます」


「なるほど。容量少ないですからね」


 俺は一杯入るけどね。


「皆さんのLv 1でも購入には、金貨10枚です、一般の男性が1年間働いて稼ぐ金額くらいですかね。冒険者の銀クラスになると1か月くらいで稼ぎますが、金クラスなら1回の依頼報酬で稼ぐ事もありますよ、ちなみに私は兵士になる前は銀でした」


「冒険者?」


「ほぉ、やはりあるのじゃな」


 三葉ちゃん?


「やった! 私は冒険者になる! です!」


 葉月ちゃんはちょっとヤバげですが。


「おぉ。冒険者になられるのですね、確かに支援職と聞いておりますが、冒険者の依頼で討伐依頼があります。最初は簡単で安い依頼しか受けられませんが、ねずみ色っと、正式には灰色ですが、駆け出し、半人前の可愛いやつって事で、ねずみ色と呼ばれてます。そして、ねずみ色→鉄色→銅色→銀色→金色→白金→黒とランクがあります」


 ほぉ。ランクで受けられる依頼ってのが違って金額も変わるって感じかな?


「何じゃ、ABCタイプでは無いのか」


「ふん! 俺のギルドカードだ! 『なっ!Sクラスだと!』とか言わせたかったですの······」


 何だかわからんが残念だったな。


「ははっ。その伝承は、前回、70年前かな、その時の勇者様がランク表記を変えろと粘ったそうですが、その方は銅ランク迄しか上がれなかったそうです、魔法剣士だったが、修練を真面目にやらなかったのでしょうね」


 やっぱり、真面目にやらないと強くはならないのね。


 こいつらは、危なくないように俺の目の届く所でできるだけ強くなって貰わないとな。


「おっと、そろそろ良い時間ですね。では私の後に続いてください」


 兵士さんが歩きだし、俺達は、続いて歩きだした。


「言わせかったですの······」


 小さな声で、葉月ちゃんが、本当に残念そうやね、仕方ないので頭を撫でてあげた。


「じゃったら、早々に黒? ランクに上がり、絶大な力を我らが手により示してやらねばな」


「やってやりますの! 調理士の力を知らしめてやりますの! ドラゴンでも一捻りですの!」


 いやいや葉月ちゃん。ドラゴンさんはお強いと思われますよ、それとも胃袋掴み? 何だかやれそうで恐ろしい。


「ははっ、ご期待してますね、その際はご相伴に」


 兵士さんも、料理でドラゴンにって思っちゃったね(苦笑)


「任せるの!」


 頑張ってね。


 そして歩く事数分、葉月ちゃんは鼻息ふんす! ふんす! って感じで興奮気味。


 三葉ちゃんは『くふふふふ』とか邪悪そうな笑みをしている様で、見ているこっちは可愛く微笑んでいる様にしか見えない。


 残りの聖と紗々ちゃんは何を話しているのかわからないが楽しそうに微笑んでいる。


 曲がり角を右に曲がると前方に、まだ50メートルくらいあるがデカい両開きの扉が見え、えっと、ひい、ふう、みい、よっ······12人かって事は全員で17人も拉致されたのか、何て奴らだ。


 後15メートルくらいで向こうも気がついたみたいだ。


 おっと、結構良い子にしてるじゃないですかね、もっとガヤガヤしてるかと思ったが、どれどれ、糞ガキでいいか、鑑定!


 状態 打撲·緊張·(奴隷)


 ふむ、緊張してるだけか、奴隷で喋れなくしてるかと思ったがなぁ。

 しかし、この奴隷やけど、押せるかポチっ


(奴隷)

 off状態

 奴隷解除しますか YES/NO


 どわっ! なるほどこの状態で解除出来るんやね。

『はい、すぐ解除しますか?』

 いや、まだ良いよ、も少し様子見かな。

『わかりました。現状ここに皆揃ってますのでデータを記録しておきます。そうすれば、離れていても解除することが出来ます』

 了解。それは個人別かな? 一斉に解除?

『個人、全体、識別してのグループ解除も出来ます』

 それは便利だね。宜しくお願いします。

『中の人員が整列しだしましたね、そろそろの様ですよ』

 了解っと。


 扉の両サイドにある扉から1名づつ出て来たと思ったら、大扉の前で、取手に手をかけそこで一時停止。


 しかし、ごっつい人やね。


 するとまた右の扉から今度は、ひょろっとした人が出てきて


「では、ご案内いたしますので3列に、戦闘職の方は真ん中に7名、魔法戦闘職の方は右に5名、支援職の方は左に5名でお願いします。先頭は暫定のリーダーでお願いします。では並んでください」


「誰がリーダーやるんだ?」


 と、振り向いて聞いたらもう並んで俺を指差していた······


「はぁ、了解やっとくよ」


 他の所を見ると、おぉ! あいつデカいな! 何か話してるみたいだが、あいつが先頭なら後ろの奴は隠れられるなって思ってたら先頭に行ったな、俺の推理は完璧だ!


 もう一つグループは女の子だけなんだなって、デカい奴のグループは男だけじゃん!

 また綺麗に別れたな、男子組に頑張って貰う感じで。


 おっと、女の子組も決まった······背の順? 低い子から綺麗に徐々に高くなっていく······


 その並び順は予想出来なかったわ! 出席番号順くらいで決まると思ってたのに! ヤられたよ、脱帽だ。


「そろいましたね、もう少し間を開けて、はいそれくらいですね、前後もも少し広くても大丈夫です、では扉が開きましたら、私が先導します、そして私が途中で横にズレますのでズレた位置まで先頭は進みそこで停止してください。その後、跪く事はしなくて良いとの事なので、そのまま立ったままでお待ちください、もし、何かあるようでしたら私は皆様のリーダーさんの横におりますのでお声掛け致しますから安心してください、後は、王、王族、その他の者へも直言のお許しも皆様には出ておりますが、手をこのように肩より上に上げ、指して貰ってから話して下さい、指してくださるのは王からですのでわかりやすいと思いますが、よろしいでしょうか?」


 俺は後ろの皆の方を見ると全員頷いてくれた。


「支援職大丈夫です」


 その後に続いて女の子組


「魔法戦闘職大丈夫です」


 そしてわたわたしながら


「戦闘職大丈夫です」

「はい、では入って行きます」



 すうっ、と息を吸う音が聞こえる。


「勇者様方入ります!」


 と、馬鹿デカい声が、あのひょろっとした人物から出るとは思わずちょいビビってしまったじゃねえか! と思ってたら、扉が開きだしていた。


 隙間が広がる中、前方に数段······6段の階段が見えデカい椅子がある、チラチラと目だけで左右見てみると何だか高そうなきらびやか? ちょい金のモールみたいなのが付いてる服を着ている方が沢山、んと、王様だから、貴族とかそんな感じかな?


 視界を前方に戻すと、王座? ドンとある椅子に猫さん?


 ぬいぐるみ? にしてはリアルなって、ひょろっさんが方向変えたあそこまでやねよしよし、1、2、3、ストップ!


 良し、止まれたし、後ろの皆も止まれた感じ。


 戦闘職組は、後ろの奴が止まれなかったらしく、前方に詰まってきてるし!


 ってそだ!

 猫! やっぱりいますやん! 欠伸してますやん! 可愛いですやん!

 おいでー!

 念力ー!

 おいでー!


「王の御臨席っ!」


 椅子より奥のカーテン? みたいな所からイケメンさんが出て来たよ。


 王冠あるし王子様?


 その後に、王冠? ティアラ? 乗っけた美人さん! 王女様かな?


 その後ろは、ちっこい男の子と女の子がって、身長は、今の俺と一緒くらいか、て事は第2王子&王女様って所やね。


 おっと、最後にお爺ちゃん、王様? 王冠無いよ? 杖は持ってるけど、あれ!? 王子さんが王座の前で苦笑いしてるね、猫さん座ってますもんね。


 どいてあげてね、お爺さん王が座るんだよ。


 と俺も目で訴えていると猫と目があったような気がしたが、王子さんの方を見て、しかたにゃいにゃぁ~って感じで伸びをして王座? からおりこっちに歩いてくる。


 とことこと、真っ直ぐとことこ······ちなみに足音はしません。


 とことこピタ


 なぜ俺の足下?


 猫さん?


『抱っこして欲しいそうですよ』

 マジですか!

『お久しぶりともおっしゃってますね』

 へ?

『猫缶持ってる? と、聞いてますね、とりあえず抱っこ~って』

 はぁ、まぁ抱っこくらいは。


 俺はしゃがんで猫さん両脇に手を入れ持ち上げ左胸辺りに抱き抱える様に抱っこすると


 ゴロゴロ······


『ありがとうにゃ~とおっしゃってますね』

 まっ、まぁ良くわからんが、とりあえず謁見に集中っと前を見ると、王子様が、王座? に、あれ? 


 王座? の横にまた豪華な椅子が用意され王女様が座る。


 反対側に豪華ではあるが小さめの椅子が用意されちびっこ王子&王女が座る。


 お爺さん王様は、あれ? 1歩下がった所に立ったままだけど良いの?


 王子様が主役?


「では王様、宜しくお願いします」


「うむ」


「よくぞ参った勇者達よ!」

 え!?

 王子様✕→王様○って事!

 若っ! めちゃ若っ!

 ってか間違えてゴメン!

 って事は、王女様✕→王妃様○なのね!

 ちびっこはそこまでの間違いではないが、第2ではなく第1ですね。

 申し訳ないです! ペコリ


 おっと、話しに集中やね


「アモルファス王国国王バランスト·フィフス·アモルファスである!」


「此度の召喚まことに申し訳ない」


 王様が頭を下げる。


 壁際の高そうな服を着た人達が、ざわざわしだし。


 王の後ろに控えていた王様と間違えたお爺さんが慌てて


「王様、王がみだりに頭を下げてはなりません!」

「いかん! いかに事情があれど、勇者達は、まだ成人前だと言うでは無いか! 成人前の子達を我等は拉致したのであるぞ!」

「そうではありますが、どうか頭を上げて下さいませ」

「ならん!」


 そう言い王妃と王子&王女に目配せをし立ち上がった。


 そして、揃って階段を降りてきて最後の段を降りきった所で止まり。


「今から王命を出す」


「王命である!」


「勇者達以外、勇者達に向かい跪き謝意しゃいを示せ!」

「なっ!」


 お爺さんがビックリ顔


 王様、王妃様、王子様&王女様が揃って跪き頭を下げる。


 それを見た壁際の人達も慌てて跪き頭を下げる。


 お爺さんも顔に手のひらを当て横に顔を振った後、跪き頭を下げる。


「何をしておる騎士団、魔道士団! お主達もだ!」


 騎士団は、腰の剣を外し跪き剣を前に置き頭を下げる。


 魔道士団は、ローブの前をはだけ横に流し跪き杖を前に置き頭を下げる。


「誠に何と取り返しの付かないことを、勇者達よすまぬ!」


 スゴいまともな王様なんやね。


 若いからってのもあるかもだけど、中々出来る事では無いよな。


「更に、まだあるのだ、魔道士長、その体勢のままこちらに来い!」

「はっ!」


 ズルズルとローブを引きずりながらって、昨日の白髭お爺ちゃんやん! 何か顔色悪そうやけどどしたの? 昨晩飲みすぎたの?


 王様の数メートル、2メートルちょい位かなって所で停止


「騎士団長! お前は立って近くへ」

「はっ!」


 騎士団長は立ち上がり、流れる様に剣を腰に着けると、スタスタと、魔道士長の横に。


「騎士団長! 構え!」


 王様の号令で剣を抜き、正面に、そのまま上に持ち上げたと思ったら腰を落とし右足をすらしながら後ろに引き、真上に上げていた剣を右肘を曲げ切先は上に向いたまま真上から右側に構える形になった。


「良し!」


「魔道士長!」


「はっ!」


「王命である!」


「今すぐ勇者達の腕輪を外せ!」


「なっ!」


「動け!」


「なぜでありますか!」


「騎士団長! 切れ!」


「なっ!」

「はっ!」


 ギィン


 魔道士長は、結界を張ったようだが


 ピシッ


「ぎゃっ!」


 騎士団長の剣は結界を破り魔道士長の腕を杖毎切った。


「ぐわっ! ど、どうしてでありますか!」


 左手で、切り落とされた右腕を押さえながらプルプル震えている。


「どうしてだと? 解っておるだろぅ? 副騎士団長! 前へ」


「はっ!」


 跪いたままするすると、移動してくる。


「魔道士長にあれを」

「はっ!」


 魔道士長の右腕に何やら薬の様なのをかける。


 するとうっすら光ったと思ったら切り口がみるみる塞がっていく!


 多分1分位で塞がりそうだな。


「もう一つだ!」

「はっ!」


 と、副騎士団長は、薬の瓶を床に下ろしグリーンのマントの下、腰の辺りから何かを取り出し瞬きの間に魔道士長の首に巻き付けた。


「なっ!」


 驚いている魔道士長を横目に副騎士団長が


「奴隷魔法発動!」


 副騎士団長の発声が終わった瞬間、魔道士長の首に巻かれた首輪が光、首のサイズピッタリになり継ぎ目も消えた。


「副騎士団長、王命である!」

「永続でしばれ!」

「はっ!」

「奴隷魔法発動! 永続!」

「くそっ!」


 と、立ち上がり逃げ出そうとした魔道士長に向かい副騎士団長が


「動くな!」


 言った途端立ち上がりかけた姿勢のままこけた。


「グギッ!」


 顔から落ちたね。痛そうだ。


「先ずは、腕輪を外させねばな、副団長! 頼む」

「はっ! 魔道士長、勇者様達の腕輪を外せ! 素早く動け!」


 魔道士長は立ち上がり鼻血が垂れても顔を拭う事もせず、左手でローブの中を探り腰から鍵束の様なのを取り出し、その中から3本の鍵みたいなのを外すと床に置き、切られた杖の大きい方を勢い良く叩きつけた。


 ピシッ


 足下と後ろ側と横から音が聞こえた。


 カランカラン


 グチャボテッ


 等色んな音がしたので横を見ると、鉄製のカップや、食べ残した物や、衣類、バスタオル? 便座っておいコラ!


 アイテムボックスに入っていたのが出ちゃった訳ね。


 うちのメンバーは······何も落ちてないね?

『この子達は既にスキル習得しております』

 何と!

『昨晩、色々入れたり出したり楽しまれてましたよ(ズボンとかシャツとかパンツとか)』

 修練ってそんな感じで行けるんやね。後、顔色戦闘組は青ざめてるけど、うちの子達大丈夫そうやね?

『はい。そちらも昨晩に (ツツいたり、つまんだり、ゴニョゴニョ)、今迄に経験したことがない経験をしたようですね』

 そうなんや、精神耐性この世界だと大事だもんね。

『はい。命の価値が元の世界に比べ、相当低いと』

 だよな。

『王様が話を再開しそうです』

 了解! 聞きますかね。


「うむ。これで良い、もう一つの方は昼食時に中和を!」

「はっ!」

「言葉だけ喋れる様に」

「はっ! 奴隷魔法発動! 偽らず喋れ!」


「良し。では先ず、魔道士長! 今、この時を以て魔道士団、魔道士長の任を剥奪! 私財、家、土地、金銭、魔道具、貴金属、全ての没収! 貴族位、子爵の剥奪! 家族、妻、貴族位、男爵の剥奪! 長男、貴族位、男爵剥奪! 次男、貴族位、騎士爵剥奪! その他親戚その家族に至るまでの私財没収! 爵位、剥奪! 領地、国直轄領とする! 騎士団第7隊から13隊! 捕縛開始! 30日で完了する事! 宰相! 3領地直轄だ! 全ての資料精査! 全ての罪を洗い出せ!」


「はっ!」×多数


 兵士さん達が動き出したと思ったら壁際の人達の中の3人が押さえつけられ縄で縛られあの首輪が付けられ光を放つと思ったら兵士さんも数人同じようにその兵士さんは自分で手を後ろにやり縛られてる。


 流石兵士さんは潔いね。


 100人位いた兵士さんは1/3位迄減った?

 そっか、逮捕に行く部隊の方達が出て行ったのね、んで、最初の3人はさっき剥奪された家族の方達なのね。


「騎士団長」

「はっ!」

「勇者様達の椅子と机を用意、私共は、王族4、宰相、騎士団長、副騎士団長、副魔道士長の分だ、後、メイド長!」

「はっ!」

「茶を」

「はっ!」


「速やかに用意!」

「「はっ!」」


「勇者様、すまぬが頭を上げて良いか?」


 えっと誰が返事するんだ?


 ちょいちょい


 ん? 猫さんがつついてくる。


『勇大様が返事してって、おっしゃってますよ』

 マジですか······


 しゃーないか、んじゃ手を上げるやったねっとひょい!


 手を上げてるのだけど皆下向いてるから気が付く訳無いやん!


 しゃーないかって2回目やん!


「直言よろしいでしょうか?」

「うむ、直言を許可する」

「では、どうぞ顔を上げて下さいませ」

「すまぬな」


 王は、顔を上げってかイケメン(爆)


「直に用意が出来るであろうが、此処だと用意の邪魔になる、移動しても良いかな? 我も含めて同じ高さで話さねばならぬのでな、同じではないな我達が下だ! あぁ、我達と壁際の貴族達も顔を上げ立たせて貰っても良いかな?」

「はい、お子様達もその姿勢は辛いと思いますので」

「配慮痛み入る」


「王命! 跪き頭を下げる速やかに解除! 元の位置で待機!」


 王達も立ち上がり


「すまぬ、少し移動だ。副騎士団長! その屑を引きずり連れてこい!」

「王座前の階段近くで待機にするか?」


 と王様、何か軽いな


「はぁ、そこに椅子と机並べるんでしょ! 避けるなら、王座に向かって右側が1番邪魔になりません」


 宰相さん、その言葉使い良いの? 剥奪っ! とか言われない?


「おい爺、皆の前で恥ずかしいではないか」

「後で説教ですな、その後は勉強も3倍、修練もですぞ!」

「なっ! くっ、仕方がないではないか。はぁ、すまぬあちらの右側の方に移動宜しく頼む」

「はい」


 何やら背中が愁いを醸し出した王様がとぼとぼと歩き、移動、俺達もちょっと顔を見合せ苦笑し後を追いかける。


 さてさて何だか展開が予想外過ぎて何が何だかやねぇ~


 元魔道士長さんのあの魔道具も副団長さんに教えないとだけどこのスキル説明したくないしどうするかなぁ。






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