······はっ! ここは!?
「ユタさん、気が付いた?」
俺にピッタリ寄り添っている聖がいる。
「勇大さん、10分ほど気が抜けておりましたよ。大丈夫ですか?」
逆側には紗々ちゃん。
Lの字型のソファーに腰かけている。
斜め向かいには、見たような2人が。
「うむ、気が付いたようじゃな、妾は三葉じゃ、良しなに旦那様よ」
え? 旦那様って?
「良かったですの! 心配しましたですの! 未亡人になるところだったですの! あっ! 葉月ですのユタ様宜しくですの! お茶入れますの!」
へっ? 未亡人? 何があった? 確か······聖が不安がってたのを悪戯して······キス!
しちゃったよなぁ······そんで紗々ちゃんも······その後は良く覚えてないが······。
「えっと、良く覚えてないが、聖と紗々何かすまん。」
「ユタさん! あっ、あの、私嬉しかったんです! ずっと······好き······だったから······きゃぁ!」
聖は左腕を抱き込み顔を脇に埋めてしまった。
「勇大さん、私もお祖父様と仲の良い勇大さんの事を幼少の頃よりお慕いしていました。聖とはお友達として何度も相談していましたのよ。同じ方を好いてしまいましたもの。日本国内では達成出来ない事柄でしょうが、この異世界では先ほどお聞きしたところ、一夫多妻が良いとの事です。男女比は、ほぼ同じなのですが、男性は10歳から冒険者等で働きだすそうで、命を落とす方が少なくないそうです。なので年齢を重ねるにつれ男女比が女性に傾き、20歳だと男女比が1:2程度になるそうです。なので最低お嫁さんは、2人はいるそうです」
マジか······。
「それでの、妾と葉月も同じにして欲しいのじゃ。」
「お願いしますの!」
2人は頭を下げ、お願いしてくるのだが。
「ちょっ! ちょっと頭を上げて! お願いだから! とりあえず? 一夫多妻は、理解した、それでなぜ2人共なのかな?」
聖はまだ顔を埋めてるので不参加だが、紗々ちゃん、三葉ちゃん、葉月ちゃんがお互い顔を合わせ頷き合い話し出す。
ちなみに今はこの5人だけだ。
「ん~そうですね、こちらの三葉、葉月なのですが、少々クラスの中で浮いていると言うか······」
「そうじゃ。妾と葉月は病気なのじゃ。重度の。中学で治れば良いが、この病気の大先輩に話を聞いたたのじゃが、病気と認識している者は治らない可能性が高いとの事での、小学生の時分より既に5年もの月日を共にする病ゆえ、ほぼ諦めておる」
「そうですの。小学生2年生の冬休みからですの! みっちゃんのお姉ちゃんが持ってた本に魅せられましたの!」
あっ何かわかってきたかも。いわゆる中二病? だったかな? それが私生活、学校内にも持ち込んじゃったら引いちゃう子もいるよな。
まぁ、俺もアニメはさすがに卒業したが漫画はまだ読むしなぁ、男のヲタより女のヲタのが可愛くて良いんじゃないかな。
と、思ってる同級生も居るかもだが、入って行ってヲタヲタしてたら陰キャ認定とか前に漫画で見たな。
「うん。女の子のヲタ? そう言うのも可愛いと思うよ」
よし、うまく言えた感じかな。
「本当ですの! 嬉しいですの! 小学生4年生振りに認められましたの!」
「良かったのじゃ~、もう先は無いと思っておったのじゃ~」
聖が抱き抱えている手を外してもらい、三葉ちゃんと、葉月ちゃんの頭を撫でてあげた。
2人は頬を赤くしうるうる······ヤバっ!
サッと手を放しL字ソファーではなく1人掛けに座る。
聖と紗々ちゃんはニヤニヤ。
三葉ちゃん、葉月ちゃんはうるうる。
どうしたもんか······。
「とっ! とにかくパーティーになるって事で良いのかな?」
「ぶぅ~ユタさん誤魔化したぁ~」
「うふふっ。聖、今は良しとしましょう。そうですね、まずは役割分担ですが、職でほぼ決まりますね」
「ああ。まず俺はこのメンバーの装備品だな」
「ユタさん! 私お薬造るね!」
「私は回復魔法の修練が急務ですね。まぁ、ほぼ使える状態の様ですので素早く正確に行使するように、ですね」
「妾はポーション系じゃの。素材が必要じゃが、そこは相談じゃな」
「料理! いっぱい美味しいの作りますの! アイテムボックスって時間止まってますの?」
「いや、時間は進むみたいだな。それにLv1だと小さいな、1メートルの立方体位だな。後」
皆に手招きし近くに寄って貰う、そして小さな声で。
「実は俺、無限収納持ってる。更に時間の停止、早める、遅くする事も入れた品物ごとに調節可能みたいだ」
神眼で自分の無限収納を見ながら話す。
「なっ!」
「し~」
三葉ちゃんの口に人差し指をあてる。
「内緒にね。この国怪しいからなるべく自分達の力は内緒にした方がいいよ。後、力の報告もしないとダメだと思うから下方修正して報告する方が良いかな。そうだ、その腕輪、奴隷にする魔法も付いてるけど俺が解けるから心配しないで良いよ」
良し、今はこんなもんかな。
「なので、じゃんじゃんじゃん作れるだけ作って保管しちゃいましょう!」
「「
「では席に戻ってくださいな」
声を戻して促した途端、コンコンコンとこの部屋の戸がノックされた。
「夕食をお持ちしました」
おっと、聞かれてないよね? まっ、とりあえず夕食か。
「はい。あっ! 開けますね、ちょっとお待ちを」
ドアまで素早く移動しノブをひねり扉をあけた。
「ご苦労様です。ソファーの所のテーブルにお願い出来ますか?」
「はい。ではそちらに、こちらのポットは温かいお茶をご用意しております。魔道具でしばらくは温かいままですのでお食事終了後も美味しく頂けると思います。」
「ありがとうございます」
「「ありがとうございます!」」
「では後程、お食事終わりましたらドア横のベルを鳴らして頂きますと食器を下げに来ますので宜しくお願いいたします。後、寝具は隣の部屋に5組、既に用意がありますので、分からない事があればお気軽に相談してください。では失礼します」
そう言ってメイドさんは深く礼をした後、出て行った。
ふう、なんか疲れたけど飯でも食べるか······席には皆が付き俺を待っていてくれたみたいだ。
「ごめん、待たせたな、良し食べるか! あっ!」
危ない、鑑定一応しとかないとな。
皆に、し~と口に人差し指をあて待てと手のひらでナイフとフォークをとろうとしていた皆を止める。
一つ頷き鑑定開始!
ふむふむ、ヤバいね。何がヤバいって変な薬っぽいのが入ってる、それも、すぐ効く物じゃなくて何度も口にすると多分50~100日位かな? 効きやすい人と効きにくい人が居るからだけど、飲み続けると自己判断が出来なくなってくる効果が有るようだ。
それも、ご丁寧に全ての料理に、飲み物も見てみると同じだった。
これは、錬金術でいけるのかな?
ちょいちょいと三葉を呼び耳元で話をすると。
「うむ。出来そうじゃが、全て抜くには魔力が足りんな。旦那様、魔力補助が必要じゃな」
「私出来ますよ。三葉に補助すれば良いのですね、回復魔法に有りました」
おうっ! 今気づいたが皆の顔が引っ付くくらい近い。
「うむ。頼むのじゃ! 行く! 分離! 良し補助頼むのじゃ! 分離!」
数度の分離で小指の先くらいの量の薬が分離出来た。
まぁ、それは俺の無限収納に死蔵しましょうかね、ほいっと!
考えたら他の皆は食べちゃってるんだよなぁ、50日以内に解決しなきゃあかんね。気張るかな!
「良し食べるか!」
おうっ! 美味いやんか! せっかく美味しい料理なのに勿体ない事するなぁ、それにしても、早い段階、1か月位かな? 長くて1か月半って所だな勝負は。
それまでに地力上げて、情報集めて······転移魔法みたいなの無いのかなぁ······
調べるか、ステータス&職業▼ポチっとな!
おっと、色々有りすぎて、魔法系はと、整理出来たら良いのに、か、検索とか?
OK Go···あかん!
良し、OK God! 転移魔法検索!
とかしたら!
ピコンッ!
『1件の検索結果があります』
『表示しますか? YES/NO』
出来んのかい!
神様、引っ掛からないレベルでのおふざけでお願いいたします。
とりあえずYES! ポチっとな!
古代魔法:転移
現在使用不可
【修練により解放されます】
ほう! 古代魔法ね。どないな修練でっしゃろ?
【修練により解放されます】
を押してみる!
ポチっとな!
『初回ボーナスにより解放しますか YES/NO』
おっと! これは欲しいよなぁ、何にしても移動手段としては優秀だし、YES!
『古代魔法:転移のスキル解放しました』
『初回ボーナス使用に付きLv MAXに上昇、最適化開始します』
『最適化終了迄1時間です』
何と! これはこれは神様ありがとうございます。
これで複数人での転移が可能なら逃げるの完了したも同然やね!
良しまっ食べ残しもあかんし、残りも食べちゃいましょう!
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「どうにか腕輪着けられましたね」
「うむ、あのガキになったおっさん、ユタとか申したか、あやつの足首と言い出した時は焦りはしたが、問題なく機能したようだ。この成功例は中々良い、足首で効果有りならバレる事無く増やし、他国に潜り込ませる駒が······誰だ!」
コンコンコン
「メイド長殿を、お連れしました!」
「入れ!」
「はっ!」
ガチャ
「良し! お前は下がれ! 明日はガキ共の、王への謁見がある、準備を進めよ!」
「はっ!」
兵士は、そのままバックし、扉まで下がりドアを閉め、カチャカチャと遠ざかる音がした。
「勇者様方への夕食の配膳完了いたしました」
「うむ、問題無しか?」
「はい。戦闘職様方は、男女別の部屋を用意し滞りなくお食事を、開始しました。支援職様方は、男性? 幼児であった為5人同室にし、配膳後まだ話をしていたみたいですが、数分後には食事の音が聞こえてきましたので問題無いかと」
「良し。戦闘職は、城内での修練になるが、支援職は、ギルドと教会での修練。朝晩の食事の用意は戦闘職より少し多めにな。調理士は、執事·メイドギルドのマスターに連絡を、良し、ギルド地区で纏めておいた方が良いな。」
「はい。ギルド地区であれば治安もほどほど良いと思われます。」
「城の東門から出入り出来る様に手配だな、早速頼めるか?」
「うむ」
白髪の騎士が立ち上がりドアをくぐりドアを閉め立ち去って行く。
「ふむ、騎士団長も、もう少し頑張って貰わないとな」
「うふふ、魔道士長様、騎士団長様はお歳ですし、全ては把握していないのでしょ。奴隷は、王家への危害の恐れと納得させましたが」
「堅物じゃからな。騎士団長には薬も精神安定の為、精神耐性が付くまでと言うておる」
「うふふ。この手の事は騎士団では難しいでしょうね。暗部はいかがですか?」
「暗部か、奴等も使えん! あれ達は、王命のみでしか動かん! ワシですら誰1人とも会ったことが無い! 本当に在るのか? と考えが出るほどだ! 忌々しい!」
「うふふ、そうですね。では、今宵はいかが致しますか? お酒でもお持ち致しますか?」
「あぁ。少し強いものを頼む」
「はい。では後程」
メイド長は、音もたてず立ち上がり部屋から出て行った。
「魔道士長も困った方ね。まぁ、もって半月位ですかね、うふふ」
メイド長の独り言の後、静寂に包まれた······。