今日の学園は休み、私はリチャード殿下に会いへと王城へ来ていた。最近、舞踏会の準備などで忙しい殿下と、学園、王城で会えずにいた。
(いま、リチャード殿下は忙しいのだもの、仕方がない)
まったりと、お布団の馬車に揺られて城へと到着した。
王城に着いても、しばらくはお布団の上で欠伸して、ゴロンゴロン、ウネウネ、気分を変える背伸びした。
――そろそろ迎えが来るわね。
ナターシャが準備してくれた1人でも着れるワンピース、それを手に取りモソモソ着替え始めた。私を出迎えに来る側近リルは気を利かせて、十分ほど遅れて迎えに来てくれるから、私ものんびりしていた。
(リチャード殿下とまったり過ごしたいなぁ)
殿殿下と過ごす時間を考えながら、ワンピースの着替え途中に、バーンと乱暴に馬車の扉が開いた。
「ミタリア嬢、会いたかった!」
そこに嬉しそうなリチャード殿下と、ワンピースに着替え途中、恥ずかしながら下着丸出しの私。
「きゃっ、リチャード様ぁ!」
「下着姿……すまん」
「大丈夫です、すぐ着替えるので目を瞑っていてください」
「わかった」
目を瞑ったリチャード殿下の前で、サッと着替えた。
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それから王城に登城すると、側近のリルではなく、殿下が自ら出迎える様になった。今日はブラッシングの櫛を二本も持って現れる。
「リチャード様の部屋でブラッシングをなされば、いいのではないでしょうか?」
「それはそうだが……近頃ますます忙しくてな……この前、昼寝中の途中でリルに呼ばれたろ?」
「えぇ、呼ばれましたけど……」
五日前『陛下がお呼びです』と、ぐっすり眠っていたところを起こされた。殿下は寝起きで、不機嫌な顔で向かって行った。
二時間後、王妃様と妹の王女様に会えたらしく、戻ってきリチャード殿下は機嫌が良くなっていた。
本日の馬車の中。
「ふうっ、可愛い妹に会えるのは嬉しいが。ミタリア嬢との二人の時間が減る、スキンシップが足りない……コレでは頑張れない」
「リチャード様、舞踏会が無事に終われば学園でも、王城でも会えます」
「それはそうだが。俺は今ミタリア嬢に甘えたい。甘えさせろ、ブラッシングしてくれ!」
ブラッシングの櫛を側に置き、馬車の中でブレスレットを取り、オオカミの姿になってしまったリチャード殿下は私専用の櫛まで持ってきていた。