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第31話

 昼下がりに招待された国王陛下とのお茶会。

 庭園に準備されたテーブルには、ジャガイモ料理と果物デザートが並んでいた。


 シリウス陛下はテーブルに着くなり、ニコリと笑った。


「リチャード――嬉しいことがあったようだな」


 その陛下の言葉に、ハッとするリチャード殿下。


「まさか、父上にまで……この事が知れ渡っているのですか?」


「先程、執事が嬉しそうに語っていた。ミタリア嬢を収穫祭に誘って、良い答えをもらったと聞いた……よかったな」


「はい、ありがとうございます」


 昨夜からリチャード殿下の初めて見る表情ばかり、それが嬉しくて顔が緩んでいた。もちろん用意されていた、果物たっぷり使った、デザートも格別に美味しいのもある。


「ミタリア嬢、これ美味いぞ食べてみて」


 油で揚げずにオリーブオイルをひいた、フライパンで焼いたポテトを勧められた。一つ取り食べてみた、これは外は焼かれてカリッと焼かれていて、中はほくほく、ほんのり薄塩味だった。


 ジャガイモの本来の味を楽しめる。

 ジャガイモ好きには堪らない、カリカリ焼きだった。


「外はカリッとしていて、中はほくほくで美味しいです」


「なっ、美味いだろ!」


「それは、リチャードの一押しだったな」


「そうです父上、これを初めて食べ時に病みつきになりました。父上も召し上がってください」


 リチャード殿下はお父様の、シリウス陛下がお好きなんだな。一緒に過ごせて嬉しいと、殿下の尻尾も言っているけど。どれどれ陛下は? 同じく揺れていた。


「リチャード様、他の、オススメはないのですか?」


「他か? あるぞ、この桃のコンポートも絶品だ。ミタリア嬢も食べてみて」


「コンポートですか? いただきます」


 リチャード殿下が食べてみてと渡したのは、冷やされたガラスの器に、半分に切った桃とシロップが入っていた。


 それを桃をフォークで切って、食べやすく切り口に入れた。ほんのり甘くて桃が口の中に溶けていく、シロップも桃の味が溶け込んでいて美味しい。


 ――この味、前世で食べていた桃の缶詰に似てる。


「その桃はな砂糖をいっさい使っていないんだ。その甘さは本来の桃の甘さなんだ」


「こんなに甘いのに砂糖を使っていないのですか? 知らなかった……とても、美味しい桃の食べ物があるのですね……リチャード様、もう1つ食べてもいいですか?」


「ああ、好きなだけ食べていいよ。なんなら僕のもあげる」


 笑って、リチャード殿下は自分の桃のコンポートを私にくれた。


「ふふっ、ミタリア嬢はなんでも、美味しそうに食べるね」


 シリウス陛下は微笑んで、ご自分のコンポートを一口分取る。それを見た殿下は、陛下の前に手を出した。


「失礼ですが……ち、父上、それはダメです。ミタリア嬢はは僕の婚約者です。それをしていいのは僕だけ!」


「知ってるよ。少しくらいはいいだろう? ミタリア嬢に桃のコンポート食べさせたいな」


「父上、やめてください」


 私の前で始まった、じゃれあいの様な言い合い。


 ――お2人とも仲がいいわ。ンンっ、桃のコンポート美味しい、今度ウチでも作ってみようっと。

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