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第6話

 眠ったふりはフカフカなお布団には勝てず、いつの間にが爆睡へと変わった。――いま、リチャード殿下のメイドに髪を直してもらっているが、私の心はバクついていた。


(恥ずかしい! 家族以外に獣化を解くところを見られるなんて……)


 ――目は瞑ってくれたけど、推しの前で裸だった!


 初めての経験と、2度とリチャード殿下の前では自由化しないと決めた。隣の部屋で着替えていた、リチャード殿下が戻ってくる。


 崩れた髪がステキ――じゃない!


「フフ。ミタリア嬢、今日は楽しかったな」

「は、はい、楽しかったですわ……では、失礼します」


 リチャード殿下に礼を言ってデートは終わり、私は御者に馬車で屋敷に戻ると。シュガールお父様とリリアンナお母様が「おかえりなさい」とエントランスに笑顔で出てきた。


「ただいま戻りました。お父様、お母様? 何かいいことがあったのですか?」


「ああ!おめでとうミタリア。リチャード殿下から婚約申し込みの書類が届いたぞ」


「良かったわね、ミタリア」


(えっ、ええ――婚約の申し込みが届いた⁉︎)


 驚く私を両親は書斎へと連れていき、書斎机の上に置いてあった、王家の封蝋が押された封筒を渡した。


 ――王家の封蝋といい、この書類はリチャード殿下との、ホンモノの婚約の書類だわ。そして保証人の欄には近くに住む、親戚の虎叔父様の名前と判子が押されている。


(リチャード殿下は私と一緒にお昼寝をしていたのに、この婚約の書類はいつきたの?)


 書類を持ったままの私に。


「さぁミタリア、書類のここに名前を書くのだぞ」

「ミタリア、ここですよ」


 と教えた。


「……は、はいお父様、お母様」


(リチャード殿下と婚約か……乙女ゲームと同じになったわ) 


 覚悟を決めて、自分の欄にペンを持ち名前を書き書類を早馬で送った。その夜の夕食は――婚約祝いのためか豪勢で、両親は滅多に飲まない高級なワインを開けていた。


「ミタリア、良かったわね」

「リチャード殿下に、沢山愛してもらいなさい」


「はい」


(婚約は嬉しいけど。忘れてはいけない、リチャード殿下には私ではない、運命の相手がいるということを……)


「いやぁ〜めでたい、めでたい!」

「ほんと、めでたいわ!」


 婚約を喜び、ワインを一本を仲良く飲み干して。

 両親は食堂の空いたスペースで、仲良くダンスを踊りだした。


(お父様とお母様仲が良いわ。終わりの日まで――前世の分まで、たくさん両親に甘えよう)


 リチャード殿下との婚約を喜ぶ、両親を眺めた。




 ほろ酔い気分でダンスを楽しむ両親に『疲れたから、先に寝ます』とお断りを入れて部屋に戻り。ナターシャにお風呂の準備をしてもらった。


 脱衣所でドレスを脱いで驚く。姿見に映る自分のお腹の右下に今朝までなかった、赤いアザの様なものができていた。


 ――なにこれ、書庫でぶつけたのかしら? このアザに触っても痛くない。どちらかというとむず痒い感じがした。


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