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悪役令嬢が黒猫に獣化したら、嫌われるはずの推しの王子が寄ってきた⁉︎ 〜オオカミ王子は"お布団"好き黒猫を離したくない。
にのまえ
異世界恋愛悪役令嬢
2024年08月21日
公開日
101,836文字
完結
ブラック企業に勤めながらも、乙女ゲームとふかふかお布団が好きな主人公。ようやく仕事が終わり、お布団の上で推しがいる乙女ゲームをしようと、お布団へ飛び乗ったあとから記憶がない。

気付けば。獣人系乙女ゲームの悪役令嬢に転生した主人公。前世の推しの王子と婚約すれば、婚約破棄のあとに破滅が待っている。

破滅を回避しようとしていたが、自分の失態で推しの王子に気に入られ、婚約者になってしまう。

ミタリアは乙女ゲームのヒロイン、婚約破棄を気にしながらも、優しい推しの王子が気になっていく。

プロローグ

 私が転生に気付いたのは5日前のこと。王城から婚約者候補に選ばれたと屋敷に届いた封書。その封書を触ったとき、体にビリビリと電気が走り私は意識を失った。


 それから3日間ものあいだ高熱で寝込み、前世の記憶を思い出した。――私は早く事故で両親を亡くして、高校卒業後はブラック企業に勤めていた。デスクに並ぶ期限がギリギリの業務「誠にすみません、もう少しお待ちください」が口癖になる程の謝りの電話とメール……一日中そんな仕事ばかりで、まともに睡眠とったのはいつのことだろう。


(はやく遊びたい! すぐ帰って、ふかふかなお布団の上で乙女ゲームがしたい!)


 毎日、毎日、退社は0時過ぎ終電ギリギリだ。――その日も私を含めた社員たちは眠い目をこすり、パソコンのキーをながめ、一心不乱に直しの書類を入力している。


 もう少し。あと、もう少しでお布団が待ってる〜。


(出来た! 後はこの書類データーを向こうに送れば……終わり!)


「……終わった、ご苦労様でした」

「お疲れさま、こっちも終わったよ……」

「自分も、終わりました!」


 みんなは仕事を終えて帰って行く。私も終電でアパートに帰り、明日は休みだから夜通しで乙女ゲームを遊ぶと。ゲーム機と一緒に、お布団へ飛び乗ったまでしか記憶がない。


 目を覚ましたら……いま、まさに遊ぼうとしていた、獣人系乙女ゲームの悪役令嬢。艶やかな長い黒髪と琥珀色の瞳、黒猫族のミタリア・アンブレラ(10)子供の頃に転生していた。

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