泰田さんの母親の車で陽葵の家に戻って、お持ち帰りの寿司やフライドポテト、それに唐揚げをダイニングテーブルの上に置いた。
俺たちはホッとする暇もなく、お風呂にお湯を入れたり、陽葵の両親が帰ってきたら、すぐに夕食の準備ができるように、取り分ける小皿などを用意して帰りを待った。
まだ、時間があるので、俺と陽葵は明日の大学の準備を整えて、陽葵は俺の家に泊まる準備も始めた。
明日は実行委員チームのコンパがあるから、少し夜が遅くなるから、あらかじめ着替えなどを用意しなくてはいけないだろう。
逆に俺は、家に帰るので、長期の休みで無い限りは俺の着替えなどは容易にあるから、準備などは全く要らない状態だ。
陽葵の家に寄る前に、車で寮に寄ったら、月曜日の講義の準備や、実家に泊まった時の用意をザッとするぐらいで大丈夫だろう。
どのみち借りたレンタカーで寮に戻るから、不要になった物を実家に持ち帰りたいので、好都合だろう。
寮生活が始まって、1年半程度が経ったが、入学時に宅急便で送ってもらった、組立式の棚が寮の部屋が狭すぎるから置けずに箱の状態でベッドの下に置いてあるから、このさい、実家に持って帰ることにした。
俺は陽葵が俺の家に泊まるための準備をしている間に、リビングで陽葵のお父さんのノートパソコンを開いて、200件あった住所登録を全て終わらせようとしていた。
陽葵の家に泊まっている間に、颯太くんと一緒にゲームをやりながら、やり方を説明しているときに、陽葵と交代しながら住所録を登録していたので、あと20件程度、登録すれば終わりだった。
しばらくして、住所の登録が終わったので、年賀状のデザインを考えていた。
お父さんの会社で取引がある方々への年賀状と、親戚や親しい人に宛てた年賀状の2パターンを用意しなければいけない。
陽葵が慌ただしくバッグに着替えを入れている間に、ササッと年賀状のデザインを作って、幾つかの案を出すことにした。
俺はA4用紙をハサミではがきサイズに何枚か切ると、プリンターに年賀状のサンプルを幾つか印刷した。
ご飯を食べながら、両親と一緒に決めて形が良いだろうと思ったのだ。
どのみち、来週からは週末しか陽葵の家にいられないから、後に延ばすと厄介だ。
それでも時間が余ったので、ついでに俺は自分の家のデザインをここで起こしてしまって、データをメモリカードに入れて、会社の事務所のパソコンにあらかじめ入れておくことにした。
俺が冬休みに入って実家に帰った直後から、会社の事務所にあるパソコンで俺が年賀状を作ることが、お約束になっていたから、手間が省けたのでホッとしていた。
余談になるが、俺たちは結婚してからも、陽葵の実家の年賀状に関しては、颯太くんがパソコンが使えるようになるまで面倒を見続けた。
陽葵が相当にPCの扱いができるようになってからは、俺は陽葵に、その役目を投げてしまっている部分が多かったのだが…。
その話は置いといて…。
俺が年賀状のレイアウトを幾つか印刷をしていると、ブラジャーとパンツを持ちながら俺の様子を見に来ていた。
どうしても陽葵の下着に視線がいってしまうのは、男として仕方がない。
目のやり場に困って、陽葵に注意をしようと思ったら、俺が恥ずかしそうに頭をかいていたので、陽葵は自分が手に持っているものを察して、顔を少しだけ紅くした。
陽葵の両親や颯太くんもいなかったのが幸いした。
陽葵はクスリと笑って、その場を誤魔化すように、下着をバッグの中に急いで入れると、恥ずかしそうに体を少しよじらせながら、人差し指で俺の頬を軽くつついた。
「もぉ~~、恭介さんったら…♡。エッチ♡」
「陽葵さん。無意識のうちに下着なんて持っていたら、目線がそこにいくのは男のサガです。ただ、それを見ても、少しは冷静でいられるようになってきたので、可愛すぎる陽葵さんに、私は慣れてきたと感じています…。」
俺は陽葵に対して奇妙な敬語を使って、その場を誤魔化そうとしたが、陽葵には、誤魔化しなんて通用しなかった。
陽葵は俺を悪戯っぽく見ると、少しばかりドギマギしているの見て、後ろからギュッと抱きしめた。
「もぉ、お互いに裸を何度も見ているのに、わたしの下着を見ただけで意識しちゃう恭介さんが可愛いのよ♡。」
今日の陽葵は、なんだか妙に色っぽく感じる。
アーンをしようとした時もそうだったが、こんなに可愛い子に艶っぽく迫られたら、俺だって理性が崩壊してしまう。
だけど、このまま陽葵を押し倒してしまったら、両親や颯太くんが帰ってきた時に、まずいので、お互いに理性を抑えることに専念した。
俺は陽葵の耳元で本音をささやいた。
「このまま押し倒したいけど、みんなが帰ってきたらマズいから、寝るまで我慢するね♡。」
陽葵は再び、俺を後ろからギュッと抱きしめると、耳元でささやいた。
「このままだと激しく愛し合ってしまうわ♡。今日の恭介さんはかっこよすぎたから、わたしも抱かれたいのを我慢しているのよ♡。今夜も激しく抱いて♡」
俺と陽葵は、これ以上のことを我慢しながら軽くキスをすると、互いに名残惜しそうに少しだけ距離をとって微笑みあった。
陽葵は泊まりるときに使う小さいシャンプーや歯磨きのセットをバッグに詰めていた。
そして、俺の家に泊まるときの準備を終えると、俺が印刷した年賀状のデザインをチェックしたり、住所録に誤字脱字がないかを確認している。
しばらくして、陽葵の携帯に、お母さんから電話がかかってきて、あと30分程度で家に着くと連絡があった。
電話を切って、陽葵はニコッとしながら、フライドポテトをリビングのテーブルに置いた。
「恭介さん、すこしお腹が空いたから、このフライドポテトを2人で食べましょ♡」
俺は陽葵が語尾にハートマークをつけたので、とても嫌な予感がしていた。
さっそく、陽葵が俺に本音をぶつけた。
「恭介さんったら、恥ずかしがり屋さんなんだから♡。わたしはズッとアーン♡がしたかったのよ。今は誰もいないから、ここでアーン♡をさせてね♡」
陽葵は顔を赤らめながら、フライドポテトをさしだした。
「恭介さん♡、た・べ・て♡」
俺は陽葵ちゃん大好きを全開にしながらフライドポテトを食べた。
そのお返しに、俺は陽葵にもフライドポテトを差し出して、アーン♡を求めた。
陽葵はためらうことなく、俺の差し出したフライドポテトをパクリと食べた。
「これじゃぁ、わたしも、たくさん食べてしまうわ♡。恭介さんのいじわる♡」
こうなったら2人の勢いが止まらない。
陽葵はフライドポテトを口にくわえて、俺にそれを食べるように迫ってきた。
フライドポテトはポッキーと違って短いから、もう、陽葵と俺の顔の距離はすぐそこだ。
これじゃぁ、食べているのか、陽葵とキスをしているのか訳がわからない。
しかも、理性が飛びそうになって、いまにでも陽葵を押し倒してしまいそうだ。
俺たちは、陽葵の両親達が帰ってくる時間をを気にしながら、2~3回それを続けて、ようやく愛が詰まりすぎたお食事にストップをかけた。
「陽葵、このままだと、夕飯どころではなくなってしまうから止めよう。それに、大学でこんなことをやったら、マジに大変なことになるよ。」
俺と陽葵はそれを想像して、お互いにクスッと笑って微笑みあった。
2人きりの状況になると、大好きすぎて歯止めがかからない状態になってしまうから、とても危険である…。
◇
陽葵の両親と颯太くんが帰ってきて、買い物の一式を所定の場所に置いたところで、夕食になった。
俺と陽葵は、ある程度、回転寿司屋で食べてきたので、そんなに箸をつけることはなかった。
どのみち、お寿司が余れば、俺のところにやってくるので、颯太くんや両親は、すきなものを食べてもらえば良いと考えていた。
陽葵の両親は、お持ち帰りのお寿司を食べながら、俺の作った年賀状のサンプルを見て、あれこれと思案しているようだ。
「印刷した年賀状よりも少し劣るのは仕方ないですが、普通紙に印刷するよりも、インクジェットの年賀はがきなら、もう少し綺麗に印字できますから、実質はもう少し画質はマシになりますよ。」
俺が陽葵の両親に年賀状について細かい説明をすると、陽葵のお母さんが微笑んだ。
「陽葵が色々と恭介さんにお願いをしていたお陰もあったと思うけど、恭介さんが作った年賀状を見ると、お父さんの会社向けと、親類や親しい人に向けたものがシッカリとあるから、感心して見ていたのよ。それに幾つかのデザインの中から選んで欲しいとか、業者に頼むのと変わらないから、少し迷ってしまっているのよ。」
そうしているうちに、サンプルの中から、どれにするか決まったようで、サンプルで印字した紙にボールペンで丸がつけられていたのが見えた。
陽葵のお父さんが、年賀状のデザインをジックリとみながら、俺に話しかけた。
「恭介くんがいて今年は助かったし、私が強引に買ったノートパソコンが活きてホッとしているよ…。恭介くんには頭が上がらないなぁ…」
俺はお父さんの言葉を聞いてとても慌てた。
「いっ、いや、大したことはしてないので、そんなに褒めないで下さい。こっちが恥ずかしくなっちゃいますから…。」
それを聞いた陽葵は、両親たちが口を開く前に、恥ずかしがって慌てている俺を否定する言葉をかけた。
「恭介さん、そんなに謙遜しないでね。これでわたしが毎年のように200件ある住所のリストを手書きすることはなくなったし、年賀状のデザインも12月に入る前から決まってしまっているから、ホッとしているのよ。」
俺は、唐揚げを食べながら、陽葵が褒めちぎっている様子を黙って見ているだけに留めた…。
その後は色々な雑談をしたが、颯太くんは、かなりお腹が空いていたようで、お寿司を嬉しそうにパクリと頬張りながら、俺や陽葵、それに自分の両親の話をズッと黙って聞いていた。
そして、俺は、残ったお寿司を俺は平らげると、陽葵のお母さんがホッとした表情を見せた。
「やっぱり年頃の男の子がいると、残り物を捨てることがないから、ホッとした気分になるわ。」
俺はそれについても謙遜した。
「折角、お母さんが作った料理ですから、捨てるなんて勿体ないから食べますよ。」
「わたしは料理が好きだから、つい作りすぎてしまうのよね。でも、恭介さんが来てから、余って捨てることがなくなって、わたしは嬉しいのよ。」
陽葵のお母さんは俺をみて嬉しそうに笑っていた。
それを見た陽葵も、陽葵のお父さんも、颯太くんも含めて笑顔になっていた。
◇
食事が終わったあと、颯太くんとゲームをして、それが終わると颯太くんが少し寂しそうにしていた。
「これで、恭介お兄さんとゲームができるのは、来週の金曜日だよね?。明日は大学の用事でお姉ちゃんと一緒に出かけちゃうし、土曜日と日曜日は、恭介お兄さんの家に行くからゲームができないよね?」
そんな寂しそうな表情をしている颯太に、俺は優しく話しかけた。
「大丈夫だよ。そのかわりね、一緒にバーベキューをしたり、温泉に入ったり、楽しいことをしようね。今は寒くなってきたから、夜になって蛍とかは見えないけど、星が綺麗だから、星の位置の絵が描けるかもね。」
それを聞いた颯太くんは嬉しそうにしていた。
「恭介お兄ちゃんが宿題を手伝ってくれるのね?。美人なお姉ちゃんたちが、紙に星の位置をかいてくれたから、もう宿題が先にできているんだ。でもね、よく見えない星もあるから、お姉ちゃんたちが書いてくれた紙を見ながら星を見たいよ。」
颯太くんは嬉しそうにして、明日の用意をして、パジャマに着替えていた。
そして、いつもの如く、俺と陽葵は一緒にお風呂に入って風呂掃除まですると、陽葵の部屋で2人きりになった。
陽葵が部屋の電気を暗くすると、すぐに俺に身を寄せてきた。
「恭介さん…♡。愛してる♡」
「陽葵、俺も愛してる。」
俺と陽葵は、互いに微笑みあうと、ギュッと抱きしめあって、激しいキスを繰り返した。
そのあと、どうなったのかは、皆さんの想像にお任せするが、この日は2人の愛が、とても激しかった事だけは明記しておく。