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Episode21 - PP2


「……さて、と。一応概要は把握したけど……改めて、ルプスから教えてもらってもいい?」

「畏まりました。……と言っても、従者の時とあまり仕様自体は変化していません」


ルプスが語る『紫煙人形』の仕様は、私が先程装備を着せる為に確認した内容とほぼ同じだ。

まず、従者が中に入った『紫煙人形』は自律行動を行う事が出来る。

但し、燃料として煙質……今回の場合で言うならば私の【狼煙】が必要となってくるのだ。

今までマイスペース内という事で特に要求されていなかったST類の消費関係も、『紫煙人形』として行動する場合、その燃料としている煙質から支払われる事となる。

つまるところ、私の持つスキルを熟練段階そのままに使えるものの、あまり派手な動きをしてしまうとすぐに燃料が空となって動けなくなってしまうのだ。

……それでも中々便利ではあるけどね。

燃料の充填方法は、私が『紫煙人形』のどこかしらに触れながら煙質を発動させる事。

戦闘中でも行えるだろうが、安全に行うならば戦闘前や戦闘後になる事だろう。


「うん、やっぱり十二分に便利だねぇ。昇華煙とかは使える?」

「いえ、使えそうにないですね。煙草を吸うというアクション自体が行えそうにありません」

「成程……じゃあこれからは回復薬系は基本的にルプス持ちだねぇ。……使えるよね?」

「えぇ、恐らくは。HPという概念はありますし、流石に使えない事はないかと」


私にとって、HPを回復させる薬に関してはそこまで価値があるものではない。

上薬草の煙草を作る過程で、必要のない普通の薬草などを一応加工し作っている代物であって、インベントリ内の肥やしになっている代物だ。

だからこそ、ルプスに全て預けるくらいの勢いで渡してしまって良いだろう。


「武器は……あー、この前買ってきた模擬戦用の刀って全部使い潰しちゃったっけ」

「そうですね。今度買いにいこうと言っていましたが……どうしますか?私としては刀でも斧でも使えますが」

「私とスキル共有してるんだからそうだろうねぇ……」


ここで私の武器事情が問題となってくる。

そもそも、私の使っている武器は2種類共にユニークな代物であり、他人に渡して使ってもらうなんて事が出来るのかも怪しい。

……下手に『想真刀』渡して『紫煙人形』が変な事になったら怖いしなぁ。

方や、紫煙外装。方や、怨念の塊。

汎用性があるとは言えず、汎用性のある武具に関しては練習で使い潰しているか、そもそも紫煙等で作り出してしまうのが常となっている以上……今までこうなっていなかっただけ運が良かったのだろう。


「……んー、おっけ。メウラくんに連絡しよう。後は音桜ちゃんにも」

「メウラ様は分かりますが……音桜様は何故?」

「いやまぁ……簡単な話、分かりにくいじゃん。今の私達」

「あぁ……確かに」


メウラには、余っている素材で適当な汎用武器を。

音桜には、今ルプスが装備している防具も含め、全てを彼女に合う様にデザイン変更してもらう為に連絡を行う。

正直、ほぼ同じ姿形であっても私は気にしないのだが……周りが気にするのだ。

私だと思って絡んだらルプスだった、とか。ルプスと思って絡んだら私だったとか。

それが後々共有されるのも面倒だし、そうなるのならば初めから別々の姿にしておいた方が良いはずだ。


「さ、忙しくなるよ。元々次のイベント用に色々準備しようって話があったんだから」

「そういえば、次のイベントはどのようなモノなのですか?普段は参加していませんでしたが、次からは私も出ますし……」

「あぁ、そうだねぇ。次のイベントは――」


一息。

満面の笑みをもって答えよう。なんせ、次の大型イベントの舞台は、


「――海だよ、海!」


ゲーム内で見られるとは思っていなかった、大きな海なのだから。



――――――――――

プレイヤー:レラ


・紫煙外装

『外装三式 - 杯型ニ種』


・所有スキル

【煙草製作】、【観察】、【フィルター加工】、【背水の陣】、【回避】、【魔煙操作】、【隠蔽工作】、【複製】、【状態変化】、【投げ斧使い】、【多重思考】、【酒精操作】、【酒気展開】、【酒精生成】、【居合】、【疑似腕】、【投擲】、【斧の心得】、【剣魂一擲】、【心眼】、【紫煙の眼吹】


・装備

『死水魔女のボディス』、『隠矢小娘のドレススカート』、『死水魔女のグローブ』、『隠矢小娘のロングブーツ』、『死骨王者の外套』、『信奉者の指輪』、『怨斬の耳飾り』、『解体者の指輪』、『切裂者の指輪』、『酒呑者の指輪』、『狂道化師の指輪』、『私が被った4人の人格』


・煙質変化

【狼煙】、【怨煙変化】


・紫煙人形

『紫煙人形:ルプス』

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